'95年に初放送された大ヒットドラマの新シリーズが始まった。名探偵の孫が、幼なじみや警部らと難事件を解決していく。改めて振り返ってみると、今となっては意外な出演者たちや、撮影現場での㊙︎エピソードが盛りだくさん!
秘密1 もはや“伝説”!売れっ子役者もチョイ役で出演
5代目・金田一を演じるのは、ジャニーズの人気急上昇グループ『なにわ男子』道枝駿佑。約27年に及ぶシリーズの中では、今やすっかり売れっ子となった俳優たちも過去に出演している。 '95年、第1シリーズに出演したのは、当時“金子信昭”名義だった金子ノブアキ。
「アメリカからやって来たIQ180の天才少年を演じました。今ではワイルドなイメージですが、当時は14歳。パッチリした目が印象的な美少年でした」(テレビ誌ライター、以下同)
『金田一』がテレビドラマ初出演だった俳優もいる。
「“ヨースケ”の名義で、窪塚洋介さんが出演。いじめを苦に自殺したとされる学生の役でしたが、これが役者としてのスタートでした」
同じシリーズで高校生の真壁誠役で共演した元ジャニーズJr.の佐野瑞樹が振り返る。
「いじめグループに言われて、僕が窪塚さんを殴るシーンがあったんですが、覚えていなくって。後に『池袋ウエストゲートパーク』で窪塚さんは不良のリーダーである“キング役”。なので“真壁がキングを殴った”と、まわりから言われました(苦笑)」
'97年公開の劇場版『上海魚人伝説』でデビューを飾った女優もいた。
「水川あさみさんの女優デビュー作なんです。ヒロインの文通相手を演じましたが、当時は高校生で上京前。大阪に住んでいたころですね」
松本潤と鈴木杏による2代目第3シリーズには、主人公が所属する『ミステリー研究会』に、あの有名モデルが。
「テレビドラマ2作目の出演となった山田優さんです。すでに『CanCam』専属モデルとして活躍していましたが、ドラマ出演が増えたのは、この作品以降ですね」
第3シリーズで頭角を現したのは、彼女だけではない。
「第7話で、綾瀬はるかさんが女優デビュー。前年の『ホリプロタレントスカウトキャラバン』で審査員特別賞を受賞して芸能界入りした直後でした」
今では主演クラスの顔ぶれが支えてきた『金田一』。最新シリーズからもスターが!?
秘密2 “脇役”からメインどころに!“出世”タレント
《感慨深い気持ちと、初心にかえるような気持ちが入り混じり、今から撮影が楽しみです。過去の作品を見ながらも、自分なりの美雪像を作っていけたらと思っています》
今回のヒロイン・七瀬美雪役を演じる上白石萌歌。公式サイトでのインタビューからも熱意を感じられるが、実は以前にも登場していた。
「山田涼介さんが主演を務めた4代目シリーズの第1話で、金田一の後輩生徒として登場。犯人役として、確かな存在感を残しました。7年ぶりのカムバックは準主役としてですから、本人もうれしく思っていることでしょう」(テレビ誌ライター、以下同)
松本潤主演の2代目シリーズの美雪役・鈴木杏も、実は初代にも出演している。
「犯人ではないものの、物語のカギを握る重要な役どころで登場。彼女も上白石さんと同じくメインキャストに“昇格”しました」
現在は『平宮博重』の名で活動している成宮寛貴も、カムバックを果たしたひとり。
「2代目シリーズでは脇役で登場した後、4代目では金田一と対決する“犯罪プロデューサー”として物語にたびたび登場。視聴者の心に残るキャラクターを熱演しました」
名俳優が、時を超えて複数の役を演じ分ける─そんな演出が見られるのも『金田一』の魅力なのかもしれない。
秘密3 出演者が振り返る最も過酷だった“事件”現場!
「撮影自体がハードでした。撮影の終了が深夜3時というのもよくあって、それでいて朝が早かったり。スタッフさんはもっと大変だったと思いますけど、とにかく1話1話を丁寧に作っていました」
そう振り返るのは、初代でアイドルの速水玲香役で出演していた中山エミリ。
「視聴率がいいとスタッフさんが和菓子の『きんつば』を持ってきてくれたのがうれしかったのを覚えています(笑)」(中山)
4代目で警視庁の刑事で剣持の部下役として出演していたのは、北京五輪で水泳の銅メダリストに輝いた宮下純一。タレントとして活躍中だが、テレビドラマの出演は、これが初めてで唯一だ。
「同じ刑事役の佐藤二朗さんとのシーンで、台本には佐藤さんが“はじめー!”と呼ぶと書いてあったのに、本番で“小僧ー!”って。僕は佐藤さんが間違えたのかと思って流れを止めてしまったんですが、それがアドリブで(笑)。そういうのがわからずに、恥ずかしい思いをしました」
前出の佐野にとって、とにかく過酷と感じたのは“プレッシャー”だったという。
「謎解きのシーンは、とにかく長ゼリフ。剛はドラマ以外でも忙しいのに、ちゃんとセリフを覚えていました。剛の後に僕のセリフがあるのですが、それがプレッシャーで(苦笑)。どこで言えばいいのか、わからなくなることも。剛の苦労を近くで見ているぶん、僕のたったひと言でNGが出たらと思うと……」
それぞれが感じる過酷な現場を乗り越えて、ヒット作が生まれるのだ。
秘密4 再放送できない!お蔵入りになった幻の“事件”
8年ぶりとなる新シリーズ放送を記念し、日本テレビは『春の金田一祭り~歴代傑作イッキ見せ!~』を開催。2月26日に山田涼介の主演シリーズ第1話を放送し、それを皮切りに過去の傑作エピソードを続々と再放送している。
映像配信サービス『TVer』および『Hulu』では、地上波で放送されていないエピソードを含めた全シリーズが配信されているが、実は1話だけ公開されていない回があって……。
「堂本剛さんが主演を務めた第1シリーズで、記念すべき第1話だった『異人館村殺人事件』が“お蔵入り”扱いになっているんですよ」(テレビ局関係者、以下同)
人気ドラマの初回となれば、もう1度見たいファンも多いはずだが、なぜ?
「'95年7月に放送されましたが、2年後に一部週刊誌がエピソード内のトリックに“盗作疑惑”があると報じました。盗用元とされる推理小説の作者が《この問題は民事訴訟に発展する》という内容の文章を週刊誌に寄稿して、騒動に発展したんです」
報道後、原作コミックには“『占星術殺人事件』のトリックを用いています”という文章が明記されるように。加えてドラマ版にも影響が。
「当時リリースされたビデオの初版には収録されましたが、以降は『異人館村殺人事件』は入っていません。DVD版には収められておらず、『春の金田一祭り』でも再放送の予定はないようです」(番組制作会社スタッフ)
秘密5 CGじゃない!当時だからできたセット&ロケ地
ロケで地方の山奥へ行ったり、遠出も多かった。前出の中山エミリに印象深かったロケ地を聞いてみると、
「北海道の大雪山で撮影したときは、すごく寒くて大変だったのを覚えています。このドラマは、セットもとにかく大がかりでした」
北海道ロケは、前出の佐野も印象に残っているという。
「あまりの寒さだったから、外で濡れたタオルを振り回したら固まるんじゃないかって、みんなでやったら本当にカチカチに凍りました」
CGが、それほど発達していなかった時代だからこそのエピソードもある。
「'95年放送の『雪夜叉伝説殺人事件』というスペシャルドラマで、トリックで使われる“氷の橋”があったのですが、それもちゃんと実際の氷で作っていました」(佐野)
撮り方についても、かなりのこだわりがあったとも。
「同じシーンを何度も撮影したり、時間をかけて丁寧に撮ってました。それに、今でも見たことのないカメラワークがよくありましたね。そのぶん、撮影スケジュールはすごく押していましたが(笑)」
メディア研究家の衣輪晋一さんは『金田一』が採用していた演出について、こんな評価をする。
「堤幸彦監督は『金田一』シリーズで画期的な演出手法を取り入れていました。撮り方にしても、あえて“安っぽい”映像にして、怖さを増すようにするのも、当時は斬新なテクニックでした。その場で台本を書き換えて、アドリブを多用したりするので、唐突なギャグなんかも多いんですよね」
場所も手法もこだわった映像は今でも色あせない!
秘密6 みんな気になった!剛の「もみあげ」“進化”秘話
初代・金田一の堂本には、当時から指摘されていた気になることがあって……。
「ともさかりえさんが、'19年に『KinKi Kidsのブンブブーン』にゲスト出演した際、当時から剛さんの“もみあげ”がとにかく気になって仕方なかったと話していました」(スポーツ紙記者、以下同)
いまやネタのようにされているけど、当時はまねをする若い男性もいた。
「そのころのテレビ雑誌が“はじめのもみあげシール”という付録をつけたことも。剛さんはドラマの中だけでなく、他の番組出演時もあの“もみあげ”でした」
近くで見ていた佐野にも“剛のもみあげ”について聞いてみると、
「たしかに、僕が見るかぎりでも、常に気にしてました(笑)。ワックスでしっかり固めてたので、雨だろうが崩れなかった。なぜ、あんなもみあげにしていたのかわかりませんでしたが」
今となっては奇抜に見える髪型かもしれないが、そこはおしゃれ番長こと堂本剛。
「ファッションリーダーですからね。アシンメトリーの髪型を流行らせたのも剛くんです。彼の身近なスタッフも剛くんが髪型を変えるたびに、まねしていました(笑)」(前出・衣輪さん)
秘密7 唯一! 連ドラにならなかった金田一は誰?
人気ジャニーズによって25年以上にわたって受け継がれてきた主人公だが、連続ドラマとして放送されなかった金田一もいる。
「3代目に抜擢された亀梨和也さんです。彼が主演の『吸血鬼伝説殺人事件』は、'05年9月に1回放送されたのみで、連ドラは制作されず。翌年6月に1度だけ再放送されて、今回の『金田一祭り』が2度目の再放送でした」(スタイリスト、以下同)
堂本、松本、山田はスペシャルドラマの放送を経て連続ドラマへとつながっているが、「亀梨さんだけ、映像ソフト化もされていないんです」
その理由はというと……。
「亀梨さんが演じた金田一が茶髪のロン毛で“じっちゃんとオレは別”と言い放つなど、原作やそれまでのドラマでの“金田一像”とは大きく異なる設定。これには原作ファンから否定的な声もありました。また、亀梨さんのスケジュールの問題で連ドラ化できなかったとも聞いています。原作者の天樹征丸さんも、自身のブログでそのことを明かしています」
今回の再放送に向けては、こんな“災難”も─。
「亀梨さんのエピソードには、元KAT-TUNメンバーの田中聖さんも出演。ですが、今年2月に田中さんが覚醒剤取締法違反で逮捕された影響で、出演シーンは全カット。再編集が必要になり、同じく出演していた中丸雄一さんのシーンも丸々カットされることに……」
画面に映らないところでも事件が起きる『金田一』、これからも目が離せない!
一緒に住んでいた剛と現場入り
金田一の同級生・真壁誠役 佐野瑞樹インタビュー
「'95年放送の『雪夜叉伝説殺人事件』は、極寒の過酷なロケだったから、みんなで苦労した思い出がありますね」
堂本剛演じる金田一と同じ『ミステリー研究会』に所属する高校生・真壁誠を演じた佐野瑞樹。
「剛は関西人だから、現場でもボケたりしてみんなを笑わせてましたね。謎解きシーンのときは集中してるからみんなも話しかけないようにしてたけど」(佐野、以下同)
剛と佐野は、まさに“同じ釜の飯を食う”仲だった。
「当時は同じ宿舎に住んでいたから、撮影現場の行き帰りが一緒のことも多かった。剛は僕より若いのに、ちゃんと考えて演技していたし、アドリブもすごかったから、僕も“負けてらんない”という思いはありましたね」
“対等に頑張らなきゃ”という思いから、佐野も熱をもって撮影に臨んだという。
「演技に関して相談したり、2人のシーンについて話し合ったり。でも、剛の金田一は、嫉妬するくらいカッコよかった。宿舎も現場も一緒だから、剛の忙しさや頑張りもわかっていました」
共演以降も、剛と顔を合わせる機会が。
「4~5年前、お元気だったころのジャニーさんの誕生日で会ったとき、久しぶりに話しました。『金田一』のころから何でもできるセンスはあったけど、今はより洗練されたんじゃないかな」
それぞれの道を歩む日々も、青春をともにした記憶が色あせることはない。
「『金田一』への思い入れはすごくあります。泊まりのロケも多かったから、いつも修学旅行みたいでしたよ(笑)」