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 血管若返りや血圧改善、骨粗しょう症予防に筋力アップなど専門医たちがやってる「お手軽健康ワザ」を5つご紹介! なんと言っても無料なんだから健康グッズや薬に頼る前にぜひお試し

インターバル速歩

〜無理をせずとも筋肉は増やせる。秘訣は“ちょいキツ”歩きにあり!〜

筋力アップで10歳若返る『インターバル速歩』

歩き方を変えて筋力をV字回復!

「寝たきり予防に重要な筋肉。実は1日1万歩歩いても筋肉はあまりつきませんが、歩き方を少しだけ変えると効果抜群になることがわかったんです」

 そう語るのは、筋トレになるウォーキング「インターバル速歩」を考案した能勢博先生。 

「年をとるにつれ、筋力は確実に衰えていきます。“疲れやすくなった”という人は筋肉の衰えが進んでいるおそれが。放置すると、将来の寝たきり予備群になってしまいます」(能勢先生、以下同)

 とはいえ、筋トレは敷居が高いという人も多いはず。そのような人も続々と成果を上げているのがインターバル速歩だ。

 やり方は、ウォーキングのときに、3分間隔で速歩きとゆっくり歩きを繰り返すだけ。ポイントは速歩きのときに“ちょっとキツイ”と感じる速さで大またで歩くこと。筋肉をつけるには、その人の最大体力の70%以上を使う必要があるが、“ちょいキツ”だとちょうど70%程度の負荷になるという。

「体力に自信がない人も、自分の感覚を基準にすれば、無理なく、ちょうどよい負荷を筋肉にかけることができます。運動が苦手という人にこそ、おすすめしたいですね」

能勢先生ご自身も週に60分以上を継続中。先生は毎年、学生と一緒に富士山に登っているが、昨年は3か月前からいつもよりまじめにインターバル速歩を行ったところ、例年より30分も早く登頂できたそう。

「1回に10分とか20分でも、週の合計が60分以上になればOK。私は仕事の間の空き時間を利用しています。今年70歳になりますが、学生にはまだまだ負けられませんからね(笑)」

◆やり方◆

(1) 3分間ゆっくり歩く
 最初にふだんの速さで、3分間ゆっくり歩く

(2) 3分間速歩きする
 3分ゆっくり歩いたあと、自分でややキツイと感じる速さで、いつもより大またで3分間歩く。(1)と(2)を繰り返す

実践の目安:1週間に計60分以上
1日1万歩より効果絶大!

PROFILE●能勢博 先生●信州大学学術研究院医学系特任教授。専門はスポーツ医科学。無理なくできる健康法として、インターバル速歩を考案し、普及に尽力している。

パチパチギューまぶた体操

〜ドライアイの人に足りないのは水分ではなく実は脂。現代人の目の悩みに“目の筋トレ”を!〜

目を覆う“脂の膜”が乾燥を防いでいた!

 目薬を何度さしても乾き目が治らない。その悩みに応えてくれるのはドライアイ外来を持つ有田玲子先生だ。

「目の乾きを防いでいるのは、涙に1%含まれている脂でできた膜。ドライアイの85%はその脂不足が原因だとされています」(有田先生、以下同)

 この脂はマイボーム腺というまぶたにある組織から、まばたきの刺激で出てくる。ところが、まばたきが正しくできないと、目の脂が不足してしまう。

 例えば、まばたきの頻度は通常は1分間に約20回だが、パソコン作業中は約4回と5分の1に。また、まばたき時に、きちんとまぶたを閉じきれていない人も増えているという。

 解決にはまぶたを動かす筋肉を鍛える体操が効果的。先生の患者さんの多くは3日で目の乾きが改善してくるとか。

「私が効果を実感するのは、この体操をサボってパソコンに没頭したとき。てきめんにドライアイになりますから(笑)」

◆やり方◆

(1)2秒間目を閉じる

(2)軽く2回まばたきする
 上まぶたを下げて目の上の筋肉を鍛える

(3)ギューッと2秒間目を閉じる
 目のまわりにシワができない程度に

(4)パッと目を開いてまぶしい目をする
 下まぶたを上げて目の下の筋肉を鍛える

(5)「キツネの目」をして閉じようとする
 上まぶたを固定して下まぶたを上げて筋トレ

実践の目安:1日3回以上、パソコンや携帯電話の使用中は1時間に1回

PROFILE●有田玲子 先生●眼科医として、特にドライアイや涙の機能不全に対する治療・研究で成果を挙げている。著書や動画配信などによるわかりやすい説明が好評。

タオルグリップ

〜タオルを丸めて握るだけで血圧を下げる物質が増える!〜

タオル1本で高血圧改善『タオルグリップ』

専門医も驚いた運動並みの効果!

「最大握力の30%の力で握力計を握ると血圧が下がる」というカナダの研究を、タオルを使って応用したのが「タオルグリップ」。高血圧専門医、久代登志男先生の考案だ。

「最初は“握るだけで?”と半信半疑でした。でも、検証を重ねた結果、2週間で約10mmHgも血圧が下がり驚きました。これはウォーキングに負けない効果です」(久代先生、以下同)

 タオルを握っている間は筋肉が縮んで血管内を流れる血流が低下し、手の力をゆるめると血液が流れる。すると血管を広げる働きをするNO(一酸化窒素)が血管内に分泌され、血圧が下がると考えられている。

 高血圧改善には運動も大切だが、血圧の上昇や転倒が心配な人も多い。その点、タオルを握るだけなら問題ない。

「上の血圧が130を超えてきたタイミングで行うのもおすすめ。私もテレビを見ながら続けていますよ」

◆やり方◆

(1)タオルを丸める
 タオルを握ったときに指がつかないくらいの太さに丸める

(2)2分間握る
 指がつかないように2分間握り続ける。指先が白くなるくらいが目安。最大握力の約3割を目安に

(3)1分間ゆるめる
 手の力をゆるめ、1分間休む。※継続中は毎朝血圧を測り、効果を確認すると長続きしやすい

実践の目安:左右各2回を週3日

PROFILE●久代登志男 先生●ライフプランニング・クリニック(聖路加国際病院連携施設)所長。専門は循環器学。高血圧改善策のひとつとして「タオルグリップ」を考案し話題に。

かかと落とし

〜45歳から進む骨の衰え。骨折リスクを減らすには今からコツコツ骨トレを!〜

骨粗しょう症予防&改善『かかと落とし』

骨を作るスイッチが骨への衝撃でオン!

 女性は閉経の前後に骨を守っていた女性ホルモンが減ると、骨の衰えが一気に進む。骨粗しょう症患者の8割は女性だ。

「骨折も50代以降に徐々に増加します。60代、70代では背骨の圧迫骨折や、腿のつけ根の骨折が増え、要介護になるきっかけになってしまいます」と警鐘を鳴らすのは、女性医療が専門の太田博明先生。

「骨は常に古い骨が壊され、新しい骨が作られるという新陳代謝を繰り返しています。ですから日々骨によい生活を続けているかどうかが、将来の骨折リスク、さらには健康寿命を左右するのです」

 そこで、手軽に続けられる方法として先生がすすめるのが「かかと落とし」だ。

 実は新しい骨を作る“スイッチ”をオンにするには、骨に衝撃を加える必要がある。ストンとかかとを落としたときに、その衝撃が全身の骨に伝わり、骨を作る働きが促進されるのだ。

 身体のバランスに不安がある人は、転倒予防にイスの背などにつかまって行ってもOK。

この運動には、ふくらはぎの筋トレ効果もあります。私も座業が多いので、一石二鳥を狙って行っています。いい気分転換にもなりますね

◆やり方◆

(1)かかとを上げる
 背筋を伸ばして立ち、両腕を床と平行に上げながら、かかとを上げる

(2)かかとを落とす 
 両腕を下ろしながら勢いをつけて、かかとを一気にストンと落とす

実践の目安:1日に50回2秒に1回のペースで合計100秒

PROFILE●太田博明 先生●川崎医科大学産婦人科学2特任教授。女性のウェルエイジングとアンチエイジングをライフワークとする日本における女性医療のパイオニア。

足指じゃんけん

〜身体の隅々に栄養を運ぶ毛細血管の血流促進が健康と美を保つ決め手!〜

毛細血管ケアで「血流美人」に『足指じゃんけん』

毛細血管を保つには足先から血流アップ!

 全身に張り巡らされている血管。その末端で細胞の一つひとつに栄養と酸素を届け、老廃物と二酸化炭素を回収しているのが毛細血管だ。毛細血管の働きに詳しい赤澤純代先生は「健康と美を保つカギは毛細血管」と強調する。

「毛細血管は皮膚から内臓まであらゆる臓器にあり、血管の約90%を占めています。ところが加齢や血流不足によって、毛細血管は徐々に失われてしまうことが、さまざまな研究でわかってきました」

 毛細血管の衰えは、肌の老化や手足の冷えだけでなく、万病のもとになるのだ。

毛細血管の消失を防ぐには末端の血流が大切。方法としては、足指じゃんけんをおすすめします。靴の圧迫などで血流が悪化しがちな足先を動かして、全身の血流を促します

 赤澤先生も靴を脱いだときや入浴中に励行中だとか。

「家族で足指じゃんけんをしても、楽しく続けられますよ」

 足の指で「グー」「チョキ」「パー」を30秒間繰り返す

(1)グー
 足の指をぐっと曲げる

(2)チョキ
 足の親指と人さし指を前後に離す

(3)パー
 足指全体を広げる

実践の目安:1回30秒間を1日に5〜6回

PROFILE●赤澤純代 先生●金沢医科大学教授、同女性総合医療センター長。専門は女性疾患、高血圧など。特に毛細血管による微小循環の研究に基づいた健康法が話題に。

(取材・文/志賀桂子 イラスト/秋葉あきこ モデル/文月 写真協力/福島章公)