山梨県道志村のキャンプ場で当時小学1年生の小倉美咲ちゃん(9)が行方不明になってから2年7か月。ここに来て事態は急転している。
山梨県警は26日、同村の山中で子どものものと思われる頭部の骨が見つかったことを発表した。県警によると23日、40代男性が山道脇で人の骨のようなものを発見。写真を撮って確認し、25日に道志村の駐在所に届け出て、26日に人骨の一部と判明した。
警察は美咲ちゃんとの関連を調べるとともに、周辺を重点的に捜索。すると28日、頭部の骨が見つかった同じ沢で美咲ちゃんが履いていたものと類似する運動靴が見つかったのだ。右足側だけで、劣化していたという。
29日、母親のとも子さんは週刊女性の取材に応じた。「美咲ではないと信じています。だから大丈夫」と気丈に振舞っていたが、その心中には計り知れない苦悩があったことだろう。
それは今年中学生になったばかりの長女も同じだ。
「人骨が見つかったという話があったとき、私も長女も“美咲のはずがない”という思いでした。なのでそこまで気にしないで過ごしていたんですね。でも運動靴が見つかった時はさすがに長女がどう感じるか心配で……」(とも子さん、以下同)
美咲が戻ってきたら何を食べようか
事件が起きた当初は美咲ちゃんの「み」という言葉を聞くだけで敏感に反応し、泣きじゃくっていたという3学年上の当時小学6年生の長女。だが徐々に心境の変化が見え始め、母・とも子さんの捜索活動にも協力するようになっていった。
美咲ちゃんが行方不明になって1年ほど経つと、姉も現場となったキャンプ場の来場者に情報提供を呼びかけるちらし配りに参加するように。昨年夏の取材では、とも子さんは長女とこんな話をしていると答えていた。
『美咲が戻って来たら何を食べようか、何をしようか』
美咲のものじゃないから大丈夫
捜索をサポートしてきた姉にとっても、運動靴の発見は大きなショックとなるだろう。そう思ったとも子さんは長女がこのニュースに触れる前に、自身の口から伝えたという。
「“美咲の履いていたのと同じシューズが見つかったけど、美咲のものじゃないから大丈夫だよ”って。すると長女はひとこと“うん、わかった”と。それでも不安な思いでいるだろうし、ゴールデンウィークだというのにちっとも楽しませてあげられない」
そう話すと、とも子さんは視線を落とした。その先には美咲ちゃんが大事にしていた子犬のぬいぐるみが強く握り締められていた。とも子さんは希望を込めて続ける。
「美咲が履いていた靴は保育園の頃から履いていたもので、私が書いた名前があるはず。見つかったシューズに名前は確認できませんでした。美咲が自分のもとに必ず元気で帰ってくると信じているので、見つかるまで探し続けたいです」
そんななか29日午後、捜査関係者によると、28日に見つかった運動靴と同じ種類の左足側が発見されたという。警察は山中から見つかった骨とともに、新たに見つかった靴の鑑定を進めている。