5月3日、自宅トレーニングルームで亡くなっていたことがわかった俳優渡辺裕之さん(享年66)。週刊女性では2010年、妻・原日出子との16回目の結婚記念日にツーショットインタビューをしていた。それはご本人の飾らない人柄と二人で築いた家庭の温かみが伝わってくる取材内容だった。端正なマスクと肉体美、荘厳さすら漂う演技、そしておしどり夫婦ぶりを偲び、インタビューを再掲する。
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――家事の分担など夫婦の間での取り決めはありますか?
原「家事は取り決めというのはしていないですね。“大変そうだな”って気づいたら、どちらかがやってあげるというかたちで。自然とパパの仕事になってるものはあります」
渡辺「屋根など、高い所の作業はやりますね。あとサルスベリの枝を落とすとか、木の手入れ、落ち葉の掃除」
原「私のほうでも、これをこうしてほしいというのはないんですよ。キッチリと決めてしまうと、“やってないじゃない”となってしまうし。そこは自然体で」
カチンときたら“ありがとう!”
――夫婦円満のためのちょっとしたコツは?
渡辺「なるべく口に出していうことかな。不満以外は」
原「悪いことはなるべく口に出さないようにね」
渡辺「カチンと来たら、飲み込むかわりに別のところへ行って“ありがとう!”と叫ぶ(笑い)」
――ありがとう、ですか?
渡辺「“ありがとう”っていうと、自分の気持ちのスイッチが変わるんです」
原「イライラしているとき、“ありがとう”っていうと自分のいやなところも見えてくるんです。いいたいことをいい合うから仲がいいっていうのは、うちにはあてはまらないかな。罵(ののし)り合ってしまったら、それは後々残りますよね」
渡辺「夫の失言に時効はない(笑い)。ずっと覚えてる」
原「妻の失言もそう(笑い)」
――渡辺さんは「今日キレイだね」と褒める?
原「まあ(笑い)。褒めたり感謝したり相手がうれしくなることはなるべくいい合いますね。誰に対してもそう」
渡辺「子どもたちなんてそれが当たり前だと思って育っているから、皮肉ったり卑下したりということがないですね」
なぐさめたりするときは“ハグ”
――お子さんの教育面での役割分担は?
渡辺「学校の教育、習い事なんかはほとんど女房が面倒を見ていますね。僕は子どもが決めたことで、ちょっとアドバイスが欲しいというときにどこか連れていって教える程度。何をやるにしても、基本的に反対はしないんですよ」
原「うちはなぐさめたり、癒やしたりするときはハグなんです。叱って教えなきゃいけないときも抱きしめながらいいきかせる。子どもたちは、友達の話をしても“自分が何をしてあげられるか”という話が中心なのでとてもうれしいです」
――渡辺さんが、最近いわれてうれしかったことは?
渡辺「買い物に行ったとき、女房にけっこう高いセーターを買ってあげたんですよ。“うーん、よし!”って」
原「そのとき“それは誕生日プレゼントでいいよ”っていったんです」
渡辺「そのことを忘れていて、先日“誕生日何がいいの?”って聞いたら、“もう買ってもらったじゃない”という。これ一番うれしかったですね」
原「アハハ。何それ。いわなきゃよかった!? 違うか」