※写真はイメージです

「バッグに何が入っているか、中身を当てるゲームをしませんか」

 ユーチューバーと名乗る中年男は、東京都江戸川区の路上で会った20代女子大生にそんなふうに切り出した。動画撮影に協力してほしい、という。

 街頭インタビューなど滅多にない住宅街の真ん中のため、怪しまれないように“下町編”であると装った。

バッグの側面に開けた穴に自分の性器を

「男は小ぶりのトートバッグを抱えており、手探りだけで中身を当ててと女子大生をゲームに引き込んだ。仕込んでいたのはソーセージとみられる食べ物。“ほかにもまだありますよ”などと言って勝手に2問目に進むと、手に触れたものをしっかり握るよう要求。そうやって女子大生に握らせたのは、バッグの側面に開けた穴から中に差し込んだ自分の性器だった」

 と全国紙社会部記者。

 握らされたものに気づいた女子大生はその場から逃げ、交番へ。約3か月後の4月20日、警視庁小岩署が強制わいせつの疑いで逮捕したのは葛飾区高砂の無職・熊澤弘次容疑者(43)。

 容疑者は取り調べに対し、

「無理やり握らせてはいない」

 などと容疑を一部否認しているという。

「犯行は正月休みが終わった次の日曜日の昼すぎだった。住宅街でターゲットの女性を見つけるのは難しかったとみられ、現場周辺の防犯カメラは数時間うろつき回る容疑者の姿を捉えている。都内では1〜3月にかけて同様の被害相談がほかに3件あり、容疑者は“全部で4件くらいやった”と関与をほのめかしている」(前出の記者)

 熊澤容疑者は築約30年の賃貸アパート暮らし。間取りは1Kで家賃は月約5万〜6万円。同じアパートの複数の住人が「付き合いはない」と話す。

「ひとり暮らしだと思います。洗濯ものはまったく干さないし、いつも雨戸を閉め切っていて生活の匂いは感じませんでしたが、そんな変態とは知りませんでした」(住人男性)

 薄くなった頭髪を茶色に染めるなど若づくりしていたが、ふだんは黒い帽子をかぶるスタイルだったという。

「他人の家を覗きこむように、身体を左右に何回も揺らして食い入るように凝視する姿を目撃したことがある。周囲が見えてないようだったし、尋常でない様子が怖かった」

 と近所の住民。

 ユーチューバーとしての動画投稿は確認できず、犯行をカモフラージュするために偽った可能性が高い。

 どうして、このようなトリッキーな犯行を思いついたのか。

20代女子大生に“動画撮影に協力してほしい”と迫って…(写真はイメージです)

 アダルトビデオ(AV)業界に詳しいライターはこう話す。

AV作品をヒントに模倣した犯行

「箱の中身を当てるゲームを題材に男性の局部を触らせたりハレンチな行為に誘導するパターンのAV作品は、昔からマニアに根強い人気があります。たいていは路上で女性に声をかけるシーンから始まり、屋内に移動してからゲームに挑戦する流れ。中身を当てたら賞金を出すと約束し、リアリティーさをにじませますが、出演しているのは素人っぽく見せたセクシー女優です。こうした作品をヒントに模倣した犯行ではないか」

 模倣に必要なのは箱と中に入れるものだけ。そもそも“箱の中身は何だろなゲーム”は、テレビのバラエティー番組やホームパーティーに使われるなど知名度があり、恐怖感をあおる手触りや、気持ち悪い感触がゲームを盛り上げる“お約束”なのも一般に知られるところ。実際に入っているのは人畜無害のなんでもないものだったりする。

 前出のライターが続ける。

「最近でも、箱の中に差し入れた局部やアダルトグッズを女性に触らせ、驚いたり戸惑ったり恥ずかしがる反応を見て喜ぶような作品は複数リリースされています。もちろんすべてフィクションです。視聴者もそれをわかっていますし、実行したら法律に触れることもわかっているはずです」

 変態じみた“ドッキリ”が許されるはずがない。