4月に突如として芸能界引退報道が流れた、Sexy Zoneのマリウス葉。昨年末に体調不良による芸能活動休止を発表し、現在もその状態のまま新たな動向は公式にはアナウンスされていない。
2000年生まれのマリウスは、11年にSexy Zoneのメンバーとしてデビュー。デビュー時の年齢は11歳7か月で、ジャニーズ事務所内史上最年少デビュー記録を更新、その後も破られていない。
「11歳というまだ小学生の年齢でのデビューはすごいですが、かつてはローティーンでのデビューは珍しいものではありませんでした」
と、ジャニーズに詳しいあるテレビ誌記者は言う。
声変わりする前の貴重な美声
過去の低年齢デビューを飾った主なジャニーズタレントを振り返ってみるとーー
元SMAPの香取慎吾は結成時はマリウスと同じ11歳で、14歳7か月のときにCDデビューを飾っている。元TOKIO長瀬智也が15歳10か月、V6岡田准一が14歳11か月でそれぞれデビュー。NEWSとしてデビューした手越祐也、草野博紀、森内貴寛は15歳だった。
そして2007年11月にデビューしたHey! Say! JUMPはというと、低年齢組のHey! Say! 7のメンバーは5人全員ローティーンデビューで、岡本圭人は14歳7か月、山田涼介が14歳6か月で中島裕翔が14歳3か月、知念侑李が13歳11か月、森本龍太郎が12歳7か月。ちなみに年長メンバーの薮宏太で17歳9か月という、驚きの若さだ。
さらに、中山優馬が15歳6か月でデビュー、Sexy Zoneもマリウスのほかにも佐藤勝利が15歳ちょうど、松島聡が14歳ちょうどという若さでデビューしている。
低年齢でデビューすることの背景を、前出のテレビ誌記者は語る。
「亡くなったジャニー(喜多川)さんは逸材を見つけると、一刻も早く世間に届けたくなる一面があったように思います。というのも、当時8歳だったマイケル・ジャクソン(『ジャクソン5』時代)の歌声のように、Hey! Say! JUMPの知念くんやSexy Zoneの松島くんが声変わりする前に、作品として残したいという気持ちがあったのかもしれません。声変わり前の歌声は、少年が成長とともに失ってしまう期間限定の美声ですからね。さらにジャニーさんは、記録を作ることが大好きでしたから、最年少記録をどんどん更新していきたいという思いもあったのではないでしょうか」
正式デビューではない期間限定ユニットだが、SixTONESのメンバー森本慎太郎を中心に、7 MEN 侍の中村嶺亜、HiHi Jetsの橋本涼、井上瑞稀らが所属し、シングルリリースや紅白へのコーナー出演を果たした『スノープリンス合唱団』は、8歳から13歳までの11人で結成された、ジャニーズ史上最年少ユニットだ。
16年に結成され、アニメ『忍たま乱太郎』のテーマ曲『勇気100%』をファミリーマート限定でリリースした『ジュニアBoys』も、現Snow Manのラウールや現在少年忍者のメンバーとして活躍する内村颯太、元木湧、安嶋秀生、黒田光輝らが所属したフレッシュなユニットだった。
若くしてデビューする子もいれば、ジャニーズJr.として長年活動するも、なかなかCDデビューというチャンスに恵まれない子たちもいる。また20歳を超えた“高年齢”でデビューできた人たちも。
「元V6の坂本(昌行)さんが24歳でデビューしたこともよくネタにされていましたが、キスマイの北山(宏光)さんが2011年に25歳10か月デビューでそれを更新、翌年にはA.B.C-Zの五関晃一さんが26歳7か月でデビューしさらに記録を更新しました」(同前)
ここ5年間でデビューしたグループを見てみると、King & Prince、SixTONES、Snow Man、なにわ男子の中では、ラウールが16歳という年齢でデビューしているが、キンプリもなにわ男子も最年少メンバーで19歳。Snow Manは五関の記録を更新する27歳デビューが3人存在する。
握手会で小学生のマリウスはフラフラだった
なぜ近年は“高年齢”でのデビューが増えたのだろうか。前出の記者は、デビューの“渋滞”が起こったことで3つの要因を挙げて分析する。
「人気や実力のあるJr.でもCDデビューまでの時間がかかるようになった。デビューしなくても大規模なコンサートやイベントを成功させることができるようになった。さらに最晩年のジャニーさんは、CDデビューにこだわらなくてもいいのではないかという考え方をしていたということなどが、デビューが遅れるようになった原因にあげられるのではないでしょうか」
かつてのように、経験値が少なくても低年齢でデビューできたはずだが、なかなかそうはいかない事情もある。マリウスが所属するSexy Zoneは、デビューシングル発売時に握手会を開催し、多くのファンが列をなしたことがある。前出の芸能ジャーナリストは言う。
「握手会は夜遅くまで続き、まだ小学生だったマリウスは終盤フラフラになっていたという証言がありました。松島くんも活動中に一時お休みを取りましたし、元Hey! Say! JUMPの森本くんもストーカー被害に悩まされていたといいます。
低年齢デビューは心身にかかる負荷が大きいという判断がされるようになってきた。そして学業との両立も重視される時代の流れもあると思います」
リスクを負ってまで低年齢にこだわる必要はない、ということだ。さらにこんな理由も考えられるという。
「ジャニーズは30〜40代になっても若々しいので、親子で同じタレントを応援するファンも多い。フレッシュでギラギラする少年よりも、安心感のある大人のほうが応援しやすい流れはあるのではないでしょうか」
とはいえ、ジャニーズ事務所は昨年1月「ジャニーズJr.22歳活動終了制度」を導入したと発表しているため、“高齢デビュー”もなくなる可能性が高い。
ファンは年齢よりも、アイドル自体の魅力に惹きつけられている。事務所の先見の明に期待したい。
〈取材・文/渋谷恭太郎〉