※写真はイメージです

 コロナ禍以降、売り上げ急増なのがハーブ。見て・かいで・食べてよし。買うと高い気がするけど、家で育てたらこんなに安い!梅雨前の今は、育て始めるのに絶好の季節です。コツさえ知れば、初心者でもガンガン収穫できちゃいます。

売り上げ急増のハーブ

 コロナ禍でおうち時間が増えたことがきっかけで、家庭菜園がちょっとしたブーム。なかでも「ハーブ」は売り上げを伸ばし、ホームセンターなどでは苗の売り切れや出荷制限が続くほどの人気ぶり。

「ハーブは初心者でも育てやすいことや、栽培したら料理やお茶などに活用できること、香りがいいことで人気ですが、最大の魅力は、健康をサポートしてくれる“薬草”としてのパワーにあると思います」と語るのは、ハーブコンシェルジュの小早川愛さん。

 小早川さん自身もハーブに出会う前はさまざまな不調に悩まされていた。

「40歳で第4子を出産した後は、まさに“不調のデパート”で。いつもイライラしていて、冷え性や不眠、PMS(月経前症候群)などの症状もひどく……。そんな中、ハーブ農場で働き始めたのを機に習慣的にハーブを食べるようになりました。

 半年くらいたったころ、あらゆる不調が気にならなくなっていて、いつの間にか心も身体も健康そのものに、そこからすっかりハーブの虜になってしまいました」(小早川さん、以下同)

※写真はイメージです

 いまやハーブはスーパーでも買うことができる身近な食材だけれど、春先から梅雨前のこの時期は、苗を育てるベストシーズン。 

「生育に勢いがついて、収穫しても次から次へと成長します。ハーブの苗は100円台で買えるものが多いので、何度も収穫すれば買うよりも断然お得、庭がなくても、太陽の光さえ当たればベランダや室内でも育てられます」

 料理やハーブティーに活用すると、ハーブの効果をダイレクトに身体に取り入れることができておすすめ。もちろん飾って香りをかぐだけでもいい。

「お気に入りのハーブを見つけて、上手に生活に取り入れてみてください」

初心者におすすめ!育てやすいハーブベスト3

1位ローズマリー

2位パクチー

3位ディル

 初心者でも育てやすくて料理などにも活用しやすく、不調に効くパワーも強いのがこの3つ。日の当たるところであれば、ベランダでも玄関先でも栽培OK。やや乾燥ぎみに育てるのがコツで、水の与えすぎに注意。水やりは土の表面が乾いてから行って。

楽しみ方いろいろ!ハーブの3大メリット

1.健康と美容にいい

 ハーブは健康と美容に役立つ成分を含有。リラックス作用や抗酸化など、心身に作用する。医薬品ではないので、即効性はないが、自然の力で穏やかに快適な状態に近づく。

2.かぐだけでも効果あり

 ハーブは香りをかぐだけでも、空気中に放たれた「におい分子」を鼻がキャッチし、その効果を体内に取り入れることが可能。「特に土耕栽培で育てたハーブの香りは格別」(小早川さん)

3.お料理をグレードUP

 料理にプラスすると、香り豊かで味わい深くいつもの料理がまるでお店の味に。ほんの少し葉をちぎってのせるだけでもOK。ダイレクトにその効果を体内に取り入れることができる。

ハーブの注意点

 妊娠中はあまり摂取しないほうがいいといわれているハーブもあるので、妊婦さんは主治医に相談&確認をしましょう。

梅雨時季の不調に合うハーブ、これをチョイス!

 不調のお悩みごとに効果のあるハーブを、おすすめの取り入れ方とともに紹介。

【不調1】ジメジメ、シトシト……「気分が沈む」「何もやる気がしない」

 おすすめ!→ディル

 気持ちを落ち着かせ、リラックスさせる作用があるディル。すっきりした香りで食べやすく、クセも苦みもあまりないので生食に向いている。「茎まで全部食べられるので、野菜のピクルスに細かく刻んで入れて、一緒に食べるのがおすすめ。酸味もおだやかになります」。お魚料理とも相性よし。

【不調2】天気が悪いと痛みが増しがち。「頭痛」「腰痛」「関節の痛み」に

 おすすめ!→ペパーミント

 約600種あるミントの中でも清涼感が強く、和名は「西洋ハッカ」。鎮静、鎮痛作用があり、痛みの緩和が期待できる。「葉を刻んでサラダに入れたりドレッシングにしたり。三つ葉やねぎなどの薬味のような感覚で使ってみて。ミントティーにしてもGOOD」

【不調3】湿気の多い季節に起こりやすい「食欲が湧かない」「夏バテぎみ」

 おすすめ!→スイートバジル

 消化器官を元気にする〝健胃ハーブ〟とも呼ばれているスイートバジル。バジルの香りには食欲を増進させる効果がある。「納豆に混ぜて食べるのが簡単でおすすめ。卵かけごはんに、スイートバジルをちぎって、オリーブオイルとピンク岩塩をかけて洋風にして食べるのもおいしい」

【不調4】梅雨から夏は要注意!「紫外線」や「毛穴」が気になる

 おすすめ!→イタリアンパセリまたは、モスカールドパセリ

 ビタミン&ミネラルがたっぷりで、美肌効果が期待できる。豊富なビタミンCにはコラーゲンの生成を促す作用があり、ハリのある肌に。また、メラニンの生成を抑えてシミやそばかすを防ぐ効果も。「クセがなく食べやすいので、サラダやスープに。よく料理のつけ合わせで出てくる“モスカールドパセリ”も、栄養素や成分はほぼ同じです」

【不調5】梅雨シーズン独特の不調!「身体がだるい」「むくみやすい」

 おすすめ!→ローズマリー

 血行促進効果のあるローズマリーは、疲労回復やむくみ、冷えに役立つ。清涼感と華やかさのある独特の香りが特徴。「全身の血の巡りがよくなるので免疫力もアップ! 生では食べにくいので、焼いたり煮たり、火を通してから食べるのがベター。ただし、スムージーなら生食OK」

※写真はイメージです

取り入れ方のヒント

「ハーブを日常に取り入れるコツは“いつもの習慣にハーブを足すこと”。朝食のサラダやスープに葉を2、3枚ちぎって入れる、といった具合に、日々の食事にハーブをちょい足しするのがお手軽です。

 加熱したほうが食べやすいハーブは、レモングラス、ローズマリー、セージ、オレガノ、タイムなど。これらもスムージーなら生で食べられます。硬い茎だけ取り除き、やわらかい茎はそのまま入れてOKです」(小早川さん)

簡単だから続けやすい!「効く」「美味しい」ハーブレシピ

 スーパーなどで手に入りやすいハーブでできる、ハーブコンシェルジュおすすめのレシピを公開!

集中力・やる気を高める!
納豆のスイートバジルのせ
いつもの納豆が味変!バジルのさわやかな香りと味わいで、思いがけない美味しさ

納豆のスイートバジルのせ レシピ・撮影/小早川さん

〜材料と作り方〜
 スイートバジル(2〜3枚)を手でちぎって納豆(1パック)にのせ、付属のたれとともによく混ぜ合わせる。好みでスイートバジルを飾っても。

アンチエイジングに効果大!
ローズマリーオイル
炒め物やカルパッチョ、ドレッシングなどに便利で重宝します。リピーターも続出しています

ローズマリーオイル レシピ・撮影/小早川さん

〜材料と作り方〜
 保存瓶にローズマリー(3本)と唐辛子(3個)、八角(あれば2個)、粒こしょう(黒、白合わせて50粒)、にんにく(2片)を入れ、オリーブオイル(200ml)を加え、約1週間寝かせれば完成。冷暗所で3か月保存が可能。

デトックス&便秘解消を狙う!
パクチーとアップルスムージー
整腸効果が期待できるハーブスムージーです。朝食や間食にヘルシーで罪悪感なし!

パクチーとアップルスムージー レシピ・撮影/小早川さん

〜材料と作り方〜
 パクチー(1束/約50g)は根元をきれいに洗ってから、ざく切りにする。ミキサーにパクチー、ざっくり8等分に切ったりんご(1個)、水(200ml)を入れて攪拌する。

消化に優れ栄養価抜群のパセリは残すとソン
モスカールドパセリとしらすチーズトースト
マヨとチーズではさみ焼きすることで、モスカールドパセリの苦みが消えて食べやすい

モスカールドパセリとしらすチーズトースト レシピ・撮影/小早川さん

〜材料と作り方〜
 モスカールドパセリ(2~3本)は茎から葉を取り、洗って水けをよく拭き取っておく。食パン(6枚切り1枚)にマヨネーズ(10g)、モスカールドパセリ、溶けるチーズ(20g)、しらす(10g)の順でのせ、オーブントースターで3~4分焼く。

不安や緊張を和らげたいときに!
ディルのクリームチーズディップ
不安な心に効くディルをクリームチーズに混ぜるだけ。クラッカーやバゲットにぴったり

ディルのクリームチーズディップ レシピ・撮影/小早川さん

〜材料と作り方〜
 ボウルにみじん切りにしたディル(3本/約5g)、常温に戻したクリームチーズ(100g)、すりおろしにんにく(小さじ1)を入れ、混ぜ合わせる。容器に入れて、冷蔵庫で1週間保存が可能。

【One Point Advice】
ハーブが苦手な家族には…こっそり料理に混ぜ込むべし!


 ハーブが入っているとバレずに食べさせるポイントは、チャービル、オレガノ、イタリアンパセリなど香りの強くないものを選ぶこと。そして、細かくみじん切りにして混ぜ込むとバレにくい。量としては、2人前で10gくらいと少量を目安に。生よりも煮る、焼く、揚げるなど火を通したほうが食べやすい。

小早川愛さん

「ハーブのおかげで30代や40代より50代のいまがいちばん元気!」
教えてくれたのは…ハーブコンシェルジュ 小早川 愛さん ●ハーブコンシェルジュ。ハーブ農場に勤務しながら、ハーブ関連事業や商品・レシピ開発など幅広く活動中。産経新聞にて『ハーブと暮らす』連載中。著書に『わたしに効くハーブ大全』(主婦の友社)が。

『わたしに効くハーブ大全』(小早川 愛著・主婦の友社) ※記事中の画像をクリックするとアマゾンの商品紹介ページにジャンプします

〈取材・文/鈴木恵理子〉