「犬の声をさせていただくと思ったとき最初に北大路欣也さんを思い浮かべました」
連続ドラマ『ナンバMG5』(フジテレビ系毎週水曜夜10時~)で、主人公・難破剛(間宮祥太朗)の愛犬・松の声が話題の津田健次郎。
愛らしい柴犬の松とは対照的な渋めの声という意外性がウケている要因だ。
「アニメーションではいろんな動物の声を演じていますが、実写の犬は初めて。レアな体験をさせてもらっています」
ヤンキーの剛が、普通の高校生に憧れて二重生活を送る痛快コメディードラマ。剛の傍らで本音やツッコミのセリフを吐く松は欠かせない存在で、台本にないセリフも多いという。
「ワンワンと吠える以外にも一生懸命でかわいい演技をする松の細かい動きや表情にも、できる限り声を当てたいと思いセリフが倍くらいに増えています。真っすぐな松の魅力を視聴者に伝えるサポートをしたいと思っています」
“脱ヤンキー”に奔走する剛だが、自身は高校時代「鬱屈していた」と語る。
「何者でもない自分にイライラしていました。突飛な行動やグレたりとかはなくて、心にぽっかりと穴があいているような青春時代を送っていました。そんなときに中学生のころに出会った映画の世界で生きたいと強く思い始めました」
『スター・ウォーズ』吹き替えや『新・情報7daysニュースキャスター』も
映画監督を夢見て大学に進学。在学中、役者に興味を持ち劇団の養成所に入り舞台を中心に活動していたが、アニメ『H2』のオーディションをきっかけに声優としてのキャリアがスタートした。
“ツダケン”の愛称で数多くのアニメ作品に出演。『遊☆戯☆王デュエルモンスターズ』『テニスの王子様』をはじめ、原作の連載が完結した話題作『ゴールデンカムイ』では主要キャラクターの尾形百之助役を演じている。実力と人気を兼ね備えた声優として長年にわたり活躍。昨年『第15回声優アワード』の主演男優賞を受賞した。
ほかにも『スター・ウォーズ』シリーズなど洋画の吹き替え、情報番組『新・情報7daysニュースキャスター』のナレーションなども担当している。
近年は声優としてだけでなく俳優でも注目が集まっている。
NHK朝ドラ『エール』ではナレーションに加えて“顔出し”が話題に。その後、連続ドラマ『最愛』(TBS系)に刑事役でレギュラー出演した。
「ターニングポイントはいくつかあります。アニメーションでいろんな作品をやらせていただけるようになったのも大きいですし、『エール』のナレーションや『最愛』で役者としても認知していただけるようになったと思います」
放送中の連ドラ『俺の可愛いはもうすぐ消費期限!?』(テレビ朝日系毎週土曜夜11時30分~)にも出演し、掛け持ちしている。
「声優の仕事は1日に数本の作品を掛け持ちすることが多く、その都度切り替えていく必要があります。慣れているので混乱することはないし、ストレスにもなりません。息抜きも必要ないです」
無精ひげの理由は?
渋い低音の美声は“イケボ”と形容される。
「褒めていただけるのはありがたいけど、自分ではちょっと変わった声だなと思っています。いわゆる低音のイケボとは違う声質、ヘンテコな声だと思う。でもそれが逆に(声を)聞いてすぐにわかってもらえることにもつながりよかったと思うし、ありがたいです」
声だけでなく無精ひげが似合う“イケメン”。
「ひげは好きで、海外の俳優が生やしているのを見てカッコいいなと思っていました。年齢を重ねてようやくなじむようになってきたので、ここ1年はこのスタイルです」
高まる認知度とともに活躍の場はさらに広がりそう。
「アニメーションは僕自身を世に送り出してくれました。海外でも人気で才能あふれる人がたくさんいる世界で、引き続き面白い作品、役をやらせていただきたいです。役者については芝居を始めたころのような気持ちです。芝居って何だろう、深くてなかなか面白い、でも難しい。もう一度、芝居と対峙したいと思います。
この1、2年はドラマの作品に呼んでいただけて演技をする機会が増えました。『ナンバMG5』は声の仕事だけど実写のドラマという面白さがあり、参加できて感謝しています。アニメで演じているような癖のある人物や狂暴なキャラクターを実写でも演じることができたらと思っています」
声優と俳優、両輪で花を咲かせる。
家族に会いたい!
主演の間宮とは誕生日(6月11日)が一緒。「運命的なものを勝手に感じています。ドラマは(松の映像を見ながら)単独収録が基本なので、いつか間宮さんはじめ出演者にお会いしたい。特に難破家。早く家族に会いたいです」
素顔は……
クールでシュッとしているイメージだが「計画性がなくておおざっぱ。物忘れも多い。家を出て忘れ物に気づいて取りに帰ることを3往復することもあります。3回目になると本当に自分が嫌になります(笑)」