チャンネル登録者数が120万人を突破し、いまだに話題が途切れない東谷義和氏のYouTubeチャンネル『ガーシーch』。
最近は新たな芸能人の暴露がなく、新田真剣佑や綾野剛と所属事務所社長に対する口撃が続いており、ここ最近は新たな暴露も停滞気味だ。そんななか飛び出したのが“政界進出発言”だ。NHK党の立花孝志党首に立候補を勧められ、政界進出への意欲が湧いてきたのだという。いわく、自身の影響力を高めることで今後の暴露に対する“芸能界の圧力”に対抗するのだという。
しかし、コメント欄は大荒れだった。《みんな暴露を期待しているだけ》、《ガーシーさんの手に入れた影響力は下世話な好奇心に支えれている部分がほとんどだと思う》《勘違いしてる》、など、引き気味の視聴者が多数だ。
そんな東谷氏は5月7日の動画でも『二代目井上公造』に指名(?)されている。今月7日、東谷氏がジャーナリストの丸山ゴンザレス氏とコラボした際に、親交のある島田紳助氏からメールが届いたことを明かしていたのだ。
「紳助さんからメール来てて、井上公造さんが引退するこのタイミングで『お前のポジション空いたぞ』って言われますね」
本人も半ば冗談のつもりなのだろうが、 丸山氏から井上氏との対談を促されると、「めっちゃしたい! でもイニシャルトークなしでガチでいきましょうって言います。もう(芸能界を)辞めるんで忖度する必要ないでしょ」とまんざらでもない様子だった。
しかし、その“芸能レポーター”という職業の存在が今、危うくなってきていることを彼は知らないだろう。
10年前は芸能人の「自宅取材」が当たり前だったが
ワイドショー華やかなりしころは、各テレビ局、各番組には専属の芸能レポーターがいた。芸能レポーターの主たる仕事と言えば、番組のエンタメコーナーで芸能ニュースの解説をすることだが、彼らが番組の主役となることもあった。
週刊誌でスキャンダルが報じられた芸能人に突撃取材を敢行し、本人にとっては触れられたくない話を聞きだしたり、時には独自ネタで張り込みをするなど、記者と同じような取材活動をすることもあった。芸能レポーターはテレビ局に出入りするため、芸能人の生情報を集めやすい環境にあったことも事実だ。どこも報じなかった裏情報をかき集め、テレビで披露するのが芸能レポーターの真骨頂でもあった。
だが近年、芸能界を取り巻く環境は大きく変わり、芸能レポーターの仕事にも変化が。
「昔はそれで数字(視聴率)が取れたから、少々過激と思われることも思われることもやりました。たとえば、レポーターがスキャンダルを起こしたタレントの家に行ってインターホンにマイクを近づけて取材する光景がよくあったかと思いますが、今はなかなか難しい。
そこまでする必要があるのか、とすぐ非難されますし、たとえボカシを入れても視聴者にタレントの自宅が知られてしまう危険がありますしね。そんなことをしたらタレントの所属事務所からすぐクレームが来る」(ワイドショースタッフ)
公正取引委員会とジャニーズの件以降は
今から約10年ほど前、自宅直撃がみられなくなったのと同じタイミングで、“きわどいネタ”の取り扱いもなくなった。テレビ局が事務所からクレームを受けるのを避けるようになったためだと聞く。芸能レポーターといえども、あくまで番組に雇われて出ている出演者であるため、テレビ局が不利になるような話をすることはできないだろう。あらかじめ芸能リポーターが話せる内容も制限される。
「例の公正取引委員会がジャニーズ事務所に注意した件以降、事務所からテレビ局に対して圧力をかけることは少なくなったと言われていますが、その分、忖度が増えただけな気もします」(同・ワイドショースタッフ)
インターネットの普及で、タレント自身が発信するようになってからは、披露してもいい情報は探せばネットに出ているし、悪い話はどこにも出せない。またコロナ禍で大きなイベントが中止になったり、囲み取材もなくなっていることで芸能レポーターの仕事はますます厳しい状況に置かれている。
「極端な話、取材に行くのはディレクターで事足りるようになったんですよね。最近は囲み取材に芸能レポーターじゃなくてディレクターを行かせるところが多いです。質問できることはだいたい決まっていますし、自局のディレクターじゃなくてスポーツ紙の記者が質問しても映像的には問題ないですしね。人件費も節約になりますから」(情報番組プロデューサー)
今後芸能レポーターのニューフェイスが誕生することは望めそうもない。ガーシーには二代目を襲名してもらいたいところだが、
「東谷さんがテレビ番組に出演することはまずないでしょうね。詐欺を行ったことなど、自身で犯罪者であることを公言しているのでスポンサー的にNGでしょう。ここ最近綾野剛が出演するCMを指して、起用しているナショナルクライアントを批判したりと、企業のウケも悪いです。
ただ、規制の少ないネット系の番組は彼に興味津々だそうです。暴露が落ち着いたらオファーをかける番組もあるとききました」(民放ディレクター)
“影響力”の行方やいかに。
<芸能ジャーナリスト・佐々木博之> ◎元フライデー記者。現在も週刊誌等で取材活動を続けており、テレビ・ラジオ番組などでコメンテーターとしても活躍中