ダチョウ倶楽部・上島竜兵さん(享年61)の突然の訃報に、多くの芸能人がショックを受けた。
多くの芸能人が別れを惜しむ中、有吉の胸中は
長年、トリオを組んできた肥後克広(59)、寺門ジモン(59)はもとより、ダウンタウンの松本人志(58)は「今日は仕事でテンションを上げるのに少し苦労しました。同世代の仲間やからね……」とコメント。出川哲朗(58)も「まだまだ竜さんとケンカしてチュ~したかったです」と定番のネタに触れて別れを惜しんだ。
そんななか、大きな関心を集めたのが有吉弘行(47)だ。故人とは同じ事務所の先輩後輩としてだけでなく、深い縁につながれてきた。猿岩石時代にアイドル的なブレイクを果たしたあと、一発屋としてくすぶっていた有吉を芸人として高く評価し、励まし続けていたのが上島さんだったからだ。
2014年には有吉が『マツコ&有吉の怒り新党』(テレビ朝日系)でこんな思い出を告白。ふたりで飲んでいたとき、上島さんが「俺はおまえのことが好きだ。それなのになんで仕事がないんだ?」と号泣、有吉も号泣したという。当時の胸中について「相当鬱屈していたのが解放されてね、唯一『愛情』を感じた」と、有吉は明かした。
また《涙をこぼすのは上島さんの葬式だけ。と決めている》(ツイッター)という言葉も。一方、上島さんからは「俺の葬式の時には、俺の顔に熱湯をブッかけてくれよ!」と言われたそうで、
《中々ハードな注文だ。かける方の世間体もあるし。。。でも、まあ世話になったし、やってみるか。。。(もちろん上島さんは存命中です。。。)》(ツイッター)
と、語っている。ただ、今回、有吉が注目されたのは、仲がよかったからというだけではない。芸能界有数の大物になったからだ。その存在感はかつて『スーパーJOCKEY』や『ビートたけしのお笑いウルトラクイズ!!』(ともに日本テレビ系)で、ダチョウ倶楽部のリアクション芸を開花させたビートたけし(75)にも通じるものがある。
というのも、今は亡きコラムニストのナンシー関さん(享年39)は1991年に、芸人たちから畏敬されるたけしの特異なカリスマ性に言及。それゆえ、若手にとっては「たけしを笑わせること」が至福につながり、どんなムチャもやれてしまうと分析した。その構造に誰よりハマったのが、ダチョウ倶楽部だったというわけだ。
ビートたけしと同じ構図の有吉
そんな構造を現在、活用しているのが有吉である。『有吉の壁』(日本テレビ系)は「有吉を笑わせること」が芸人としてのステータスを高めるという前提によって成立している。有吉もまた、芸人に畏敬され、その気にさせてしまう存在なのだ。
そこには、彼が「地獄を見た」と振り返る一発屋時代からの大復活を遂げたことが大きい。と同時に、芸能界の浮き沈みを味わったおかげで、ああ見えて情も厚いというキャラが共有されている、というのもある。
これもまた、フライデー襲撃事件やバイク事故による大ケガといった修羅場をくぐり抜け、面倒見のよさでも知られるたけしとの共通点だ。
とはいえ、芸人にも一般常識が求められる時代にカリスマであり続けるのは難しい。それこそ、恩人の葬式で顔に熱湯をブッかけても許されるような、それで笑いを生むことまで期待される生き方だからだ。
まさに「中々ハードな注文」だが、コロナ禍にも負けず『有吉の壁』のような番組を成功させた彼ならできたのではないか。また、そういう生き方を目指すことが、上島さんへの恩返しにもなるはずだ。