みよこ先生は週刊女性や『JUNON』で連載を持っており、最後の企画は『府中の神様・みよこ先生のお悩みレスキュー345』(4月26日号で終了)だった。これまでにも『みよコトバ』(2012年~’13年)や『キセキの扉』(’10年〜’12年)などを通し週刊女性の悩める読者たちに寄り添ってきた。
読者たちに寄り添って言葉をかけていたみよこ先生
連載のほかスペシャル企画として、歌手の加山雄三さんや世界的に有名なヒーラー(心身を癒す力)のウィリアム・レーネンさん、メイクアップアーティストのかづきれいこさんらと対談もしている。特に本誌でみよこ先生の連載を担当していたベテラン編集者A子さん、ライターのBさんはともに「加山さんとの対談が印象に残っている」と口をそろえる。
「小さいころから加山さんの大ファンだったそうで、対談が実現したときは目がハートになっていました。そのときは、ああ、先生も可愛らしいところがあるんだと微笑ましかったですね」(Bさん)
実はこの対談は、みよこ先生からの発案ではなかったという。
「先生には願ったことが叶う引き寄せの力のようなものがあり、私が加山さんのレコード会社の人と話していたときにたまたま先生の話になったんですね。
それで対談を打診したらトントン拍子に話が進み、対談が実現したんです。やっぱり先生は持っているなと思いました」(A子さん)
連載だけでなく、みよこ先生は主婦と生活社で9冊の書籍を上梓している。内容は予言のような発言のほか、死後の世界や輪廻転生、幸運を呼び込む具体的なアクションなどみよこ先生の視点から幸せに生きるためのヒントが紹介されていて、シリーズ累計発行部数20万部を超えるベストセラーとなった。
そんなみよこ先生と仕事を続けてきた歴代の編集者はその思い出を振り返る。
「人としてどうあるべきか、そして神社の参拝方法やお墓参りの礼儀などさまざまなことを教えていただきました」
そう話すのはA子さん。そしてみよこ先生との出会いについて聞いた。2007年春だった。
「当時からみよこ先生は府中の大國魂神社の近くに住んでいて、すでに“府中の神様”として知る人ぞ知るという存在でした。不思議な力がある人に初めて会うということでドキドキしていたのですが、やさしい笑顔に触れて緊張がほぐれていったのを覚えています」(A子さん)
前出のBさんも「そのときみよこ先生が、“私は霊能者でもヒーラーでもないの。ただ私が何げなく発した言葉で人の悩みが解決したり、フッと言ったことが本当になるだけ”と言っていたことが印象的でした」と振り返る。
また、書籍編集のCさんは、みよこ先生の人柄を「太陽のようにあたたかな人だった」と回想していた。
「『大丈夫』という言葉が口癖で、先生がきっぱりとした口調で言うと、本当に大丈夫という気になるんです。
また、いつもは温厚なお人柄なんですが、スピリチュアルの話や鑑定が始まると非常に厳しい目つきになるので、背筋がゾクッとしたことがありました。まるで心のなかを見透かされているようで」(Cさん)
“みよこは特別な存在”
そんなみよこ先生の鑑定スタイルは多岐にわたった。
「特に勉強をしたわけではない」と言いつつも、姓名判断、風水、パワーストーン、タロット、占星術、透視力、治癒力、霊媒、除霊、予言などあらゆる占術に精通していたという。
「ウィリアム・レーネン先生も“みよこは特別な存在。僕が知っている人のなかでいちばんエネルギーを強く感じる”とおっしゃっていたほどなんです」(Cさん)
不思議なパワーとカリスマ性を持ったみよこ先生だったが、自分の力におごることなく、相談者に寄り添ってきたという。だが、その人生は波瀾万丈だった。
「離婚してなければ離婚をしようか悩んでる人の気持ちもわからない、と先生はおっしゃっていました。ほかにも身体の痛みも、子育ての悩みもご自分が経験しているからこそ同じ目線に立って、相談者さんに寄り添ってこられたと思うんです。
それに“神様は無駄な経験はさせない。自分自身がいろいろな苦しみを体験したおかげで、同じ苦しみを経験している人の気持ちがわかる”とおっしゃっていました」(Cさん)
実は大企業の社長や有名タレントなど業界内にもファンの多いみよこ先生。普段はどんな人だったのだろう? 30年近くみよこ先生を見てきた所属事務所の関係者は、「びっくりするくらい普通の主婦でした」と証言する。
だが、うわさがうわさを呼び、メディアへの露出が増えだし、『金曜日のキセキ』(フジテレビ系 2010年放送)などの番組にも出演。しかし、知名度が上がっても普段の生活は変わらなかった。前出の事務所関係者は続ける。
「有名になっても先生は私たちが昔から知っている先生のままでした。“世間からはスーパーウーマンなんて言われるけど、スーパーはスーパーでもスーパーマーケットのほうよね(笑)”と冗談を言ってました。なので、スタッフや家族も特別な人という感じでは接していなかったです」
だが、そんなさなか体調を崩してしまい、最近は自宅療養を続けながら鑑定をこなしていたという──。
みよこ先生が亡くなる2週間前も電話で話したという前出のBさんは「その日も元気に話をしていたんです」と、今でも信じられないと哀傷をにじませる。
療養中、スタッフに幾度となく話していたことがあった。
「弱音を吐くことは一度もありませんでしたが、ある日、“私は死ぬのを怖いと思ったことはない、逆に神様のもとに戻れるからうれしい。
残された人は故人が見えなくなるから寂しいと感じるかもしれないけど、魂は生き続けるの”と、おっしゃっていたことがありました。なので先生は、私たちの近くに今もいてくれているような気がするんです」(所属事務所関係者)
みよこ先生は心のなかで生き続ける
連載や書籍を通して先生が一貫して読者に伝えたかったことは“感謝と愛”と、交流のあった関係者は一様に口をそろえる。
「“愛があればいじめも虐待も戦争もなくなる、平和な世界が生まれる。そのことを世界中に伝えたい”とおっしゃっていました」(A子さん)
みよこ先生のなかでは「ありがとう=愛」だった。著書のなかでも、「もっと愛が欲しいと言う人がいますが、それは相手の愛が足りないのではなく自分の愛が足りないから。究極の愛は与え続けること。ありがとうと言ってもらえる人になりましょう。そうすれば巡り巡って自分にも必ず愛は返ってきます」と、説いている。
「“足るを知りなさい”ということもよくおっしゃっていました。欲張らずに今の生活に満足して感謝すれば、自ずと道は開けるという意味です。ご自分の存在を通して読者だけではなく、私たち編集者の心も変えてくれたのかなと思っています」(Cさん)
みよこ先生は、スピリチュアルという敷居の高いと思われていた世界を身近に感じさせてくれた存在だった。あの天真爛漫な笑顔をもう見ることはできない。でも、目をつむればみよこ先生は微笑みかけてくれる。私たちの心のなかで、ずっと生き続けているのだから。
オフィスチロルより読者のみなさまへ
「今まで先生を愛してくださった読者のみなさま、ありがとうございました。私たちは先生の遺志を継いでオフィスチロルを継続することにいたしました。微力ながら先生が伝えたかったことを継承していきたいと思っておりますので、これからもよろしくお願い申し上げます」
(取材・文/花村扶美)