夏までにやせたい! その願いとは裏腹に、お腹まわりの“浮輪“は、年々厚みを増すばかり……。そんな中高年女性にも絶大な効果を発揮するのが「glo(グロー)フィットネス」(以下、glo)、「短時間で効率よく身体を引き締める」とアメリカのエグゼクティブの間で話題となっているエクササイズだ。
およそ1か月にわたり、gloを試した神奈川県在住の主婦、伊藤彩さん(仮名、40代)は語る。
「スキマ時間に続けていたら、身体が軽くなって、家事がはかどるようになりました。それまではインターホンが鳴っても、ソファから立ち上がるのが億劫(おっくう)だったのですが、gloを始めてからはサッと立ち上がれる。足のむくみも減って、足首に靴下の跡がつかなくなったのもうれしいですね」
有酸素運動と筋トレが一度にできる
gloは、トレーナーのSayaさん(46)が考案したエクササイズ。Sayaさんは、米・シリコンバレーを拠点にGoogle、アップル、テスラなど名だたる世界最先端の企業をクライアントに持ち、指導している。
「gloはピラティスの理論をもとにしたもので、“効率よく引き締めたい”というGoogle社員からの要望を受けて生まれました。彼らは超多忙で1分、1秒もムダにしたくないという考えの持ち主。有酸素運動と筋トレが一度にできるので、忙しい人でも手軽に続けられると評判です」
gloとは、global(全世界の)とglow(輝き)の造語。スレンダーでほどよく筋肉のついたSayaさんのボディは、まさに“輝き”に満ちている。しかしそんな彼女も8年前までは、2人の子どもの育児に追われる専業主婦だった。
「37歳のころ、子育てが少し落ち着いてきたタイミングでジムに通い始めたんです。28歳で結婚したのですが、特にやりたいこともなく、なんとなく専業主婦に。日々どこか物足りなさを抱えていました。気分が落ち込むこともあったし、今思うと自己肯定感もかなり低かったですね」
しかしジムで定期的な運動をするようになると、ある変化に気づいたという。
「トレーニングを続けていくうちに、身体だけでなく、メンタルも変わっていったんです。周囲からも”前よりも明るくなった”と言われるようになりましたね。その後、トレーニング熱が高じてピラティスのインストラクター養成講座を受講し、資格を取得。子育てで忙しかった頃はまさかインストラクターになるなんて、思ってもいませんでした(笑)。かなりの遅咲きですが、”何歳でも変われる”ことを身をもって体感しましたね」
その後、主婦業をこなしながらも、トレーナーとしての活動を本格化。42歳でGoogle本社のトレーナーとなり、超多忙なビジネスパーソンを指導するようになった。
「最初はピラティスを教えていたのですが、社員の方から、”もう少し負荷のかかるレッスンを受けたい”というリクエストもあったんです。そこで、大きな動きと小さな動きを組み合わせるこのgloが編み出されたんです」
心はポジティブ、思考もクリエイティブに
gloでは、大きな動きで心拍数を上げて脂肪を燃焼し、小さな動きでピンポイントに筋肉を刺激して身体を引き締めるのが、ほかのエクササイズと大きく異なる特徴だ。
「これを1回3分、ちょっとした空き時間にこまめに行うことで代謝も上がり、脂肪を燃やしやすい身体に変わるんです。筋力がつき、体幹が鍛えられると、思わぬ転倒やケガも防止できますよ」
エクササイズ実際に試してみると(記事の最後で紹介)、やや息が切れる。この“ちょっとハード”なところがミソなのだ。
「少しキツイ運動ほど、脳からドーパミンとセロトニンなどのホルモンが分泌されて、心もポジティブになるんです。クライアントからも”ストレスが軽減した”、”仕事へのモチベーションも上がった”などの反響が多く寄せられました。フィットネスをすることで思考もクリエイティブになり、”運動なしで仕事をするのは、考えられない”という人もいるほどです」
gloでは、見た目も“心の筋力”も鍛えられるというわけだ。Sayaさんは語る。
「年を重ねると、どうしても”どうせ昔とは違うし”とか”今さら何をやっても仕方ない”など、自分の身体に対して、なかなか前向きになれないこともあります。そんなときは、『褒め日記』をつけてみるといいですね。”今日はウォーキングを長めにできた”とか”エクササイズを3分多めにできた”とか、ささいな内容でOKです。そして自分がその日にできたことを褒めて、自分の身体に”ありがとう”と伝えてみてください。自分の身体を受け入れ、大切なものと思えるようになってきますよ」
ありのままの自分の身体を受け入れることが、理想的なボディへの第一歩なのだ。
「SNSが好きな人は、gloを行っている様子を投稿してみるのもいいですね。記録に残すことで、エクササイズを終えたときの爽快感も長く味わえるし、家族やグループで励まし合いながら、楽しんでいる人もいるみたいです」
人によっては、「ダイエットに失敗したら恥ずかしい」と思うあまり、ダイエットをしていることを隠すことも。時に我慢して食欲を抑えるなど、つらくて孤独なダイエットの記憶がある人も少なくないだろう。しかしgloは、そのような不自然な減量法とは一線を画す。
「gloでは、きちんと食べて、しっかり動くのが原則、体重にもこだわりません。エクササイズで筋肉がつくので、大幅な減量はしませんし、私も筋肉がついたことで、体重は増えました。しかしボディラインが引き締まって、メリハリが生まれます。また見た目だけでなく、10年後、20年後も身体と心が健やかに過ごせるために、フィットネスをしてみてくださいね」
人は何歳になっても輝ける。この夏には、Sayaさんの初の著書も刊行される予定だ。身体と心も変わるglo、ぜひ試してみてはいかが?
〈Sayaさん〉2児の母、アフリカ生まれ。幼少時代をアメリカで過ごす。2013年からシリコンバレーを拠点にピラティスインストラクターとして活動を開始。現在もGoogle本社のエグゼクティブトレーナーほか最先端企業の幹部にフィットネスを指導する。インスタグラムは@glowithsaya
取材・文/アケミン
◆とりあえずはこれから!『スキージャンプ』
家事や育児、仕事などの隙間時間にまずは1つ。ぜひトライしてみて!
体幹を鍛えながらお尻、ハムストリング、二の腕も同時にエクササイズ!
始める前に
脚の間をこぶし一つ分開け、両腕は肩の高さ。手の平は内側に向けよう
※このとき肩が落ちて猫背にならないように注意!
体幹、お腹に力を入れながらスタート!
1.
大きく息を吸いながら手を半月を描くように身体の後ろにもっていく。この時、腕の動きに合わせてお尻を突き出すようにして膝を曲げる。お尻はなるべく低い位置をキープしよう。目線は1メ―トルくらい先を見て!
2.
息を吐きながら両腕を元の位置に戻し、膝もまっすぐ戻す。その後、腕を再び後ろにもっていき、膝を曲げる、元のポジションに戻すの繰り返し(10回)
※この時首はまっすぐ、首と尾てい骨が引っ張り合うようないイメージで。
3.
膝を曲げ重心をかかとに乗せ、腕を後ろにもって来た姿勢で腕と膝を上下に小刻みに揺らすパルシングを行う。(20回)
※膝がつま先より出ないように注意。脇をしっかりとしめて!
4.
最後にかかとを少し上げてバランスを取る(10秒)。難しい人はかかとをつけたままでもOK。
5.
最後はストレッチ。膝を曲げ、身体の後ろでつま先を持って太腿の前側を伸ばす。交互に両足で行う。