片づけよう! と思い立ち収納アイテムを買いそろえるも、スッキリとはいかず、また新しいアイテムを買い足して……というループ。思い当たる人も多いのでは?
きれいに収納をするには何が大事?
「収納の見直しで重要なのは、まず“現状の問題点を洗い出す”こと。ものを減らしたい、取り出しにくさを解消したいなど、その場所をどうしたいのかを考えずに動き出すと、問題を解決できないまま、元の状態に戻すだけの作業になってしまいます」
そう語るのは、プチプラ収納術や生活感のない空間づくりをまとめた動画や、『スキマをうめる収納ルール』の著書が話題の、主婦YouTuber、森の家さん。
もともと片づけが苦手だったが、一軒家を購入したのを機に収納の勉強をスタート。整理収納アドバイザーの資格を取得した。
「家の中を整えられるようになってからは、心にゆとりができた気がします。おうち時間も落ち着いて過ごせますし、毎日の家事や片づけが劇的にラクに。また、食材や日用品の在庫管理ができるようになり、節約にも」
一度整えてしまえば多くのメリットがある収納の見直し。無理なくまねできる収納術で、心地いい空間づくりを始めよう。
収納までの脳内整理
実際に収納に取りかかる前に、まずはイメージの確認を。いきなり作業に取りかかるのはNG! 次の順を追って、ノートなどにまとめてみると、ゴールがイメージしやすい。
(1)スッキリさせたい場所の問題点を考える
最初から押し入れや納戸といった大空間ではなく、まずは、小さなスペースから始めてみよう。「スッキリ見せたい、取り出しやすくしたいなど。その場所に対してどんな不満があるか、どう思っているのかを明確に」
(2)解決方法を考えてイメージする
解決法を導き出すポイントは、収納後の状態をイメージすること。「私は見た目も大事にしたいので、『Pinterest』などのアプリを参考にイメージを膨らませます」
(3)サイズを把握する
ジャストフィットを目指すなら、スペースだけでなく、入れるもののサイズまで測るのがベスト。「サイズのメモ書きをスマホで撮影しておくと、出先でも確認できて便利」
(4)収納アイテムを探す
問題点と対策、サイズを踏まえて商品選び。「質感を確かめたいときは店舗、自宅にある収納や家具と見比べたいときはWEBをチェック。併用しつつ時間をかけて検討を」
【収納術1】キレイヘの近道はジャンル分け
問題解決に最適な収納アイテムが入手できたら、いよいよものの引っ越しを開始。見直したい収納場所の中身をすべて取り出し、ひとつひとつチェックしながら分類を。
「分類は、“使う”“使わない”“移動する”の3つに分けていきます。使わないものを収納しておくのはスペースがもったいないので、それが本当に必要があるものなのか、立ち止まって考えてみて」
手放す基準は、1年以上使っていない、あることを忘れていた、1年先を想像しても使わなそうだ、と思うもの。ただし、どうしても判断がつかない場合は、無理にその場で決めなくてもOK。
「1回ですべてを終わらせようと考えず、後日改めて見直しを。分類に慣れてきたころに見直すと、意外とすぐに判断できたりします」
そして「移動する」とは、別の収納場所へ移動したほうがいいもの。
「以前はここで使っていたけど、今は使っていないなど、ライフスタイルによって変わっていくことがあります。また、同じカテゴリーのものはこのタイミングでしっかりまとめておくと、探す手間も戻す手間も省けます」
森の家さん愛用! 使えるアイテム
●ポリプロピレンファイルボックス スタンダードタイプ「同じジャンルのものは、ファイルボックスにまとめて収納。色や素材をそろえると見た目もスッキリ」290円~/無印良品
●キッチンラベル用マスキングテープ「ラベリングしておけば、家族みんなが使いやすくなります。食品名や日付が書き込めるタイプは、食品管理にも重宝」110円/セリア
【収納術2】立てることで適量管理&出しやすさを実現
部屋や収納スペース、目的に合わせて収納方法を変えているという森の家さん。中でも薄いものや細いものが多い場所に向いているのが、「立てる」収納。
「私は主にキッチンで活用しています。お皿や鍋、カトラリーなどを、立てることで取り出しやすく収納できます。
取り出しやすさはかなり重要で、パッと見はキレイに収まっていても、取り出しにくいと毎回ストレスを感じて、使わなくなってしまうことも。それでは収納を見直す意味がないですよね」
また、横や上から“中身が見える”のも大きなポイント。
「ものの数や種類を常に把握しておけるので、買いすぎやストック切れを防ぐことにもつながります。レトルト食品や作り置き、食器や洋服なども、この収納方法で常に量やバランスをチェックするように心がけています」
森の家さん愛用! 使えるアイテム
●木製ディッシュスタンド「下の皿を取るのに上の皿を持ち上げて……というプチ手間を解消。木製を選んで棚になじませることで、よりスッキリした印象に」110円/セリア
●伸縮ざるボウルフライパンスタンド「鍋と鍋ぶたはこちらに収納。仕切り位置を変えられるので倒れず、真上から全貌が見渡せるのも便利」1790円/ニトリ
【収納術3】浮かせることで掃除もラクに
見た目のスッキリ感や取り出しやすさに加え、衛生面にも配慮したいのが、キッチンや洗面台、バスルームなどの水まわり。ここで活躍するのが、「浮かせる」収納だ。
「忙しい日々を送っていると、水仕事をした後にきちんと拭いたり、乾くまで待っていられないことも。そんな場所では、水けがあるものを浮かせて収納しておけば、定位置に戻すだけで自然乾燥させることができ、カビやヌメリを予防できます」
マグネットやつるすタイプなど、浮かせる収納で、さらなるメリットが。
「元は何もなかった空中に掛けたり、壁面につるしたりすることで省スペースになり、出し入れもスムーズ。ものをどかす作業も省けるので、掃除がぐんとラクになります」
浮かせることのメリットはとても大きいのだ。
森の家さん愛用! 使えるアイテム
●サイドポケット収納(ベッド用)「わが家ではソファの側面にセットして、置き場に困っていたリモコン類を収納。リビングのテーブルやソファもスッキリ」330円/ダイソー
●浮かせるスポンジホルダー UK! UK! mini「ツメの部分にスポンジを引っ掛けて収納できるホルダー。水切れ抜群で省スペースにもなります」110円/セリア
●ピタッとせっけんホルダー「石けんに金属を埋め込むことで、ホルダーのマグネットにピタッ。設置面がなくなったことでヌメリが気にならなくなりました」110円/セリア
【収納術4】ものひとつひとつの空間を仕切って作る
カトラリー入れや冷蔵庫など、細かなものを入れる場所や、雑多にものを詰め込んでしまいがちな大きめの引き出しは、「仕切る」ことで格段に使いやすさがアップ。
「仕切ることで、ものひとつひとつの空間ができて中身が見えやすくなるので、ほかのものをどかしたり、目的のものを探す手間がなくなり、時短になります」
仕切り作りには、ファイルボックスやトレー、収納ポケットなどのアイテムを上手に活用しよう。
「サイズ計測やアイテム選び、ジャンル分けがうまくいくと、ジャストフィットの気持ちよさを実感できます。手軽さを求めるなら、スペースに合わせて使える伸縮タイプの仕切りがおすすめです」
冷蔵庫内も仕切る!
ものが多く、多様なものが入る冷蔵庫内もマメに仕切って収納を。しっかり分類ができて、取り出しやすく、また在庫の管理もしやすくなる。
森の家さん愛用! 使えるアイテム
●冷蔵庫便利ポケット仕切り 伸縮式「ドアポケットに仕切りをつけて、調味料がぐらついたり倒れたりするのを防止。伸縮式ならフィット感も文句なし」110円/セリア
●薬味チューブポケット「わさびなどの薬味チューブは、100円ショップの収納アイテムでひとまとめに。6本収納でき、前後の段差で賞味期限も見やすい仕様」110円/ダイソー
【収納術5】壁や家具と同じ色のグッズで空間になじませる
同じ収納方法でも、見た目の印象を大きく左右するのが、実は色。
「部屋の壁や家具と同じ色の収納グッズを使うことで、ものがあっても空間に溶け込み、スッキリした印象に。逆に目に見える色数が増えるほど、ごちゃごちゃと散らかって見えてしまう。部屋全体で使う色は、多くても3色以内にとどめるようにしましょう」
【収納術6】束ねることでゴチャ見え回避
テレビ裏の配線や、スマホやタブレットなどのガジェット類も、ごちゃつきやすいポイント。
「複数のコードを簡単に束ねられるチューブや、ケーブルと電源タップを隠して収納し、充電中もスッキリ見せられる充電ステーションがおすすめ。どちらもホコリがたまりがちなスポットなので、整理しておけばサッと掃除ができ、管理もしやすくなります」
アイテム投入で手軽にキレイにできる小さな範囲の見直しは“手慣らし”にも最適だとか。
「コード系は思いのほかスッキリします。小さなところから手をつけて成功体験を重ねていくことでモチベーションが上がり、次につながります」
森の家さん愛用! 使えるアイテム
●簡単コードチューブスライドタイプ「複数のコードをチューブでまとめてスッキリと。付属のクリップでコードを挟んでスライドするだけの手軽さも魅力」110円/ダイソー
【収納術7】スキマを活かすことでスッキリが近づく
収納を見直し、ものが片づいていくほどに気になるのが、ちょっとしたスキマ。
「100円ショップにある突っ張り棒と突っ張り棒用の棚を使えば、デッドスペースを有効活用できます。幅18cmあれば収納できるストッカーも、収納力があっておすすめ」
キッチンや洗面所など、狭い場所では特に、スキマを上手に活かすことで使い勝手もスッキリ感もアップする。
「これまでに紹介した立てる、浮かせる、仕切る収納法で今まで以上に“スキマ”が生まれると思うので、ぜひ意識して活用を」
森の家さん愛用! 使えるアイテム
●ポリプロピレンストッカー キャスター付・2「幅18cmと細く、キッチンの棚と冷蔵庫のスキマにベスト。スキマ収納の強い味方です」3490円/無印良品
●白い伸縮式つっぱり棒、つっぱり棒用棚「コンロ下の引き出し上部にあるスキマに、つっぱり棒で棚を作成。立てて収納しにくいシリコン製の鍋ぶたを収納しています」各110円/ダイソー
多くの写真事例で、わかりやすくまとめられた著者初の収納本、『スキマをうめる収納ルール』(KADOKAWA)が好評発売中。
(取材・文/當間ゆうこ)