大谷翔平(エンゼルスのインスタグラムより)

「素直に、抑えられてうれしいです」

 5月21日、マツダスタジアムで行われた広島カープ戦。中日ドラゴンズの根尾昂(22)が、1-10と大きくリードされた8回、外野手登録ながら投手として登板した。

「1回を1安打無失点、ストレートの最速は150キロを計測。大阪桐蔭高校時代は2年春と3年春に甲子園で優勝投手となり、当時から“二刀流”で注目されていたので、今回の登板は大きな話題となっています」(スポーツ紙記者)

 プロでは野手に専念してきたが、SNSでは《『4番ピッチャー根尾』のコールがカッコ良すぎる》という声も。

 実はこのところ、アメリカで活躍する大谷翔平に続かんとばかりに、“二刀流”デビューする選手が相次いでいる。

エンゼルスのマイケル・ロレンゼンも“2刀流”に

大谷選手の古巣・日本ハムに所属する1学年上の先輩、上原健太投手(28)は、150キロを超えるストレートに加えて、打者顔負けの打撃センスと50メートル5秒台の俊足が買われ'21年11月に二刀流挑戦を表明。翌12月には“(練習の仕方が)全くわからない。そういう感じでアイツ(大谷)と接していなかったので”と悩みを明かしましたが、5月25日のヤクルト戦に“8番・投手”で初めて二刀流で出場。投げては4回1/3を無失点、打っては第2打席で左中間へ二塁打を放つなど、投打で活躍を見せました」(同・スポーツ紙記者)

大谷翔平の1つ先輩の上原健太投手(写真右)。'21年から“2刀流”を宣言した(本人インスタグラムより)

 メジャーでも同様の流れがあるようだ。スポーツライターの梅田香子さんは、

「現在は大谷選手と同じエンゼルスに所属しているマイケル・ロレンゼン選手(30)は、前チームのシンシナティ・レッズでのデビュー当時から“両方やらせてほしい”と希望を出していたんですが“疲労がたまってケガにつながる”と認められませんでした。ところが、'18年に大谷選手が活躍したことで風向きが変わり、同年の8月に二刀流で出場しました。“大谷がいなければ、レッズは僕に二刀流のチャンスを永久に与えなかっただろう”と感謝を語っていますよ」

 二刀流を認める動きを活発にした大谷の活躍。とはいえ、彼は特別な存在のようで、

「大谷選手クラスが続々と出てくるかというと、また違う問題。彼のように両方で一流になるのは困難だと考えられています。前田健太投手はメジャーでもホームランを打ってますが、“二刀流を目指していたら、日本でも2軍で終わっていたと思う”と話していました」(梅田さん、以下同)

 このところは、大谷のすごさが再認識されているという。

「ベーブ・ルースの時代と比べて、全体的に野球のレベルが上がっている現代に実戦でやることは難しい。エンゼルスのチームメートは伝説の生き物に重ねて“ユニコーンだ”と言っていますよ(笑)」

 負担が大きい二刀流は、疲労とケガとの戦いになる。

大谷選手はストレッチを絶えずやっています。日本のプロ野球のほうが試合数も少なく移動距離も短いので、根尾選手の挑戦は面白いと思います。日本の選手はすごく練習している印象ですし、可能性は感じますね

 '21年11月の会見では「そういう(二刀流に挑戦する)人の可能性を見てみたい」とコメントしていた大谷。大きな背中を追って、次のスターが誕生する日が待ち遠しい。

◎梅田香子 '86年、『勝利投手』で第23回文藝賞佳作を受賞。その後はスポーツライターとして、MLB、NBA、フィギュアスケートなど幅広く取材活動を行っている。'09年から在米