インタビューに答える女性(YouTubeより)

「月に250万ホストに使っている奴が生活保護受けてるってどゆこと?」

 そんなコメントが寄せられているYouTubeチャンネルがある。

YouTubeチャンネルで不正受給を告白するも

 生活保護受給者の自動車保有を原則禁止とする制度について、見直しを求める声が出ている昨今。生活保護費は受給者にとって命綱とも言える。国民の税金から賄われる生活保護費をホストに貢いでいるとなれば、怒り心頭のコメントが続出するのも無理はないのかもしれない。

 当のチャンネルは、街の様々な人々にドキュメンタリータッチでインタビューをし、フォーカスを当てている。中でも再生回数が伸びているのは、生活保護費を受給していると話す女性Aさんのインタビュー動画だ。彼女についてWebライターはこう話す。

「月13万円の生活保護を受けながら、今年4月にはホスト通いで250万円を散財したそうです。5月半ばに受けたインタビューでも“(ホストクラブで今月は)まだ80万円しか使っていない”と答えていました。

 他の動画では、ホームレス生活をしながら路上で援助交際やパパ活をしていたみたいですが、知人から生活保護の申請を打診され、保護費がもらえるようになったみたいです。その時は“援助交際はもうしない”と言って話していましたが、インタビューの後半で援助交際やパパ活を継続していると明かしていました」

 Aさんは、新宿のアパートに家賃5万8千円で住み、手元に残るのは7万円ほどだそう。ホスト通いするために、生活保護費を使い、足りない分は援助交際やパパ活で稼いだお金で払っているという。

「YouTubeに出演したことをきっかけにケースワーカーから生活保護の打ち切りを打診されたそうですが、ホスト通いは未だ継続しているようで、その資金は身体で稼いでいるそうです」(同上)

 その上で、生活保護費を受け取り、ホスト通いをしていることについて、「なんとも思わない」という。「国民の人、私のために働いてくれてサンキューみたいな感じ?」と問われると、「うん」と頷いていた。

 援助交際などで得た収入を隠して生活保護を受けていたとしてたら、不正受給にあたる可能性もある。もしAさんの不正受給と認められた場合、どのような刑罰があるのか? みずほ中央法律事務所の代表弁護士である三平聡史氏に話を聞いた。

「生活保護法85条1項に基づいた、生活保護法違反となります。刑罰は3年以下の懲役、または100万円以下の罰金になることもあります」

 ちなみに援助交際については、

「対価ありの性交渉ということを前提にお話しすると、一方の年齢が18歳未満である場合は青少年育成条例違反(刑罰あり)、そうでない場合は売春防止法違反(刑罰なし)となります。

 “不特定の者を相手とする”+“性交渉”+“対価”、のすべてがあった場合。(売った側が)売春防止法違反となりますが、罰則はありません。なお、売春をする者を募集して売上を管理する、という場合には、管理している者は管理売春として刑罰の対象となります」

*   *   *

 一方で、Aさんには抱えているものがあるとWebライターは話す。

ホスト通いから抜け出せない理由

「彼女には軽度の知的障害があるようで愛の手帳(療育手帳)を持っていると話しています。加えて、統合失調症を発症したことが過去にあり、入院したこともあったようです」

 このチャンネル以外にもインタビューを受けているAさん。Webライターは続ける。

「高校卒業後、都内の実家を出て正社員として事務の仕事をしていたが、あまり稼げなかったようです。その後、“縛られたくない”との思いから退職し、キャバクラや風俗店で稼ぐようになったんだとか。ホストをしていた男性と同棲しながら3年間で2000万円を貢いだと話していました」

統合失調症であることを明かした女性(YouTubeより)

 親の反対でそのホストとは別れさせられたというが、その後、漫画喫茶や風俗時代のお客の家などを転々とするホームレスになったそうだ。父親はいつからか無職で、母親にも病気があるため実家には「帰ってくるな」と言われ、風俗で働いていたことやホームレスになったことも知らせていなかったと話している。

 70円しか持ってないときも、ホストクラブに行って「スナック盛り」を頼んで、それで飢えをしのいでいたAさん。ホストに嫌われるのが怖くて通うのをやめられず、お金が無くても「売掛(ツケ)」、つまり借金をしながらクラブに通っているという。抜け出すことがなかなかできない状況にいるようだ。

 これまでに、援助交際をしようと街にいたところを2回、警察に現行犯逮捕されたことも語っていた彼女。今はバレないように風俗時代のお客やネットで知り合った人に営業をかけ、援助交際やパパ活を続けているという。

 生活保護の制度にはこんな趣旨がある。

《生活保護制度は、生活に困窮する方に対し、その困窮の程度に応じて必要な保護を行い、健康で文化的な最低限度の生活を保障するとともに、自立を助長することを目的としています》

 生活保護に詳しい関係者へ話を聞いた。

「生活保護の支給に関しては、一人一人個別に審査をしているようです。個々の置かれた状況や抱える問題に寄り添いながら自立に向けたサポートをしていると聞きます」

 収入を隠しながら、生活保護費を受給することは許されることではない。しかし、知的障害や心の病を抱え、正しい判断が出来ないAさんが、一方的に悪いとも言い切れない部分もある。彼女のような人々に対し、行政としてどのような対応が正しいのかは根深い問題となりそうだ。