NHK連続テレビ小説『ちむどんどん』で主演の黒島結菜

 黒島結菜(25)主演のNHK連続テレビ小説『ちむどんどん』の第6週の平均世帯視聴率が、15.5%(ビデオリサーチ調べ/関東地区/以下同)という数字となった。

低視聴率が続く『ちむどんどん』

「週の平均視聴率が15.5%というのは、歴代の朝ドラでワースト4位の数字で“危険水域”です。このまま下がり続ければ、期間平均視聴率13.5%で朝ドラ史上ワースト1位の倉科カナ(34)主演『ウェルかめ』の数字を下回ってしまうかもしれません」(テレビ誌編集者)

 このように、低視聴率になってしまっている『ちむどんどん』なのだが、毎朝の放送終了後には「#ちむどんどん反省会」といったハッシュタグがSNSのトレンドに浮上するなど、ネット上では『ちむどんどん』へのバッシングの声が苛烈になっている。

当記事は「日刊大衆」(運営:双葉社)の提供記事です

 朝ドラと言えば、放送直後に始まるNHKの情報番組『あさイチ』で、「朝ドラ受け」と呼ばれる出演者たちの朝ドラへのコメントが定番となっている。

 5月24日放送回では、黒島演じる比嘉暢子が、勤務するレストランのオーナーに対して「料理を作ってないのに偉そう、うちと勝負して」と啖呵を切ったのだが、それを受けて『あさイチ』のMCを務める博多華丸・大吉の博多大吉(51)は「オーナーを心から応援する自分がいる」とコメント。相方の博多華丸(52)も「謝れ! まだ間に合う」と、暢子に対して厳しい意見を語っていた。

 その翌日の5月25日、大吉がレギュラー出演するラジオ番組『たまむすび』(TBSラジオ)では、再び『ちむどんどん』の話題に。大吉は「憎くて言っているわけじゃないんです」と語り、黒島演じる暢子について「ものすごく楽しみにしてたんですが、今のところ好かれるような主人公じゃないから。もうなんで……」「その辺のモヤモヤが(朝ドラ受けに)乗っかっているっていうのは正直あるんです」と続けた。

「朝ドラ受けを担う大吉さんが、NHKではないラジオ番組で“朝ドラ受け”についてさらに詳細を説明、エクスキューズをするようなことは今まであまりなかったですよね。

 ラジオでも大吉さんが触れたのは、『ちむどんどん』に対するネット上のバッシングの声や、ドラマへの悪評を少しでも落ち着かせたいという思いがあったのではないでしょうか。もしかしたら、朝ドラ受けをした博多華丸・大吉さんにも影響が及んでいるのかもしれない。

 それほどまでに『ちむどんどん』は嫌われてしまっていて、これまでの朝ドラには例がないほどの凄まじさです。“つまらないから見ない”に止まらず、ストーリーが許せない、登場人物がムカつく、といった意見が噴出し、ネットが炎上するという異常事態になっていますからね……。

 あくまでのドラマの話なのに、登場人物の言動が許せないという声が殺到している、というネットニュースが出ることなんてなかったですよね。そうした炎上の要因があまりにも多い、という状況なんです」(前同)

嫌われ炎上要素

『ちむどんどん』の嫌われ炎上の要因――まずは、黒島演じるヒロイン・暢子に対して「共感できない」という声が多く上がっているのだ。

共感できない主人公

 暢子は、子どもの頃からおいしい食べ物が好きで、食いしん坊という設定。家族の炊事を担っていたことや、高校時代に料理部の助っ人として料理対決に参加、チームを優勝に導くという経験から「料理人になりたい」という夢に気づき、上京して料理人を目指した。

ただ現状では、残念ながら朝ドラヒロインにはふさわしくない、視聴者から共感されない描かれ方をされている感じです。華丸・大吉さんも苦言を呈していましたが、レストランのオーナーに逆らって料理対決を挑んだことなどが、勝手すぎる、生意気すぎる、と見えてしまっていますね。

 主人公が突拍子もない言動をして、それが結果としてうまくいく、というのは“朝ドラあるある”な気がしますが、それでも今回、暢子が共感を得られないのは、彼女のキャラクターの“芯の部分”が伝わってきていないからなのかもしれません。

 “おいしいものが好き”で料理人を目指して上京したのですが、その理由づけのところが“あまりに弱い”という指摘もあります。そこには当然、これまでの朝ドラヒロインとの比較も生じているでしょう。

 朝ドラのヒロインは、運命に導かれるように自身の人生を歩み、もがき苦しみながら明るい未来を目指して生きていく――そうしたイメージがありますが、暢子はそのベースの部分がしっかりと構築されていない印象で、乗れない、共感できないのかもしれません。だからこそ、いちいち彼女の言動、態度が鼻についてしまう視聴者がいるのではないでしょうか」(前出のテレビ誌編集者)

 暢子以上に注目されているのが、竜星涼(29)演じる暢子ら姉妹の兄・賢秀だ。賢秀はトラブルメーカーで、暢子の内定先の会社社長の息子と暴力沙汰になり警察のお世話になったり、詐欺師に騙されたうっぷんを晴らすためにハンバーガー店を破壊したり、川口春奈(27)演じる妹・良子に求婚する相手の家族からカネをだまし取るなど、悪事の数々が作中で描写されている。

竜星涼演じる兄・賢秀の度を越す悪事

これも朝ドラあるあるで、ヒロインの家族のトラブルメーカーとして迷惑をかける、というのはよくあることだと思われますが、さすがに今回は度を越しているのか、演じている竜星さんのことまで嫌いになってしまった、という視聴者もいるようです。

 もちろんこの悪行三昧は演出で、おそらく最終的には賢秀は立派になって、迷惑をかけ通しだった家族を、そして視聴者をも感動で泣かせるという展開がありそうですが、現状は、“それにしてもひどすぎる”という意見が多いですね」(前同)

 そして、暢子ら兄妹たちの母で、仲間由紀恵(42)演じる優子についても多くの批判が寄せられているのだ。

優しすぎる仲間由紀恵演じる母・優子

竜星さん演じる賢秀が警察のお世話になったり、ハンバーガー店の器物損壊で賠償金を負ったりしたにもかかわらず、母の優子は𠮟らないんですよね。

 母としてすべてを包み込む、子どもたちのことを全部受け入れるという姿勢は、賢秀に限らず、暢子の強引な上京を許すなど作中の描写として一貫しています。どうしてこういう母になったのか、というのは今後、深く描かれるのでしょうが、そもそも賢秀を許し続けた優子のせいで多数のトラブルが起きている、とフラストレーションが溜まってしまう視聴者も多いようです」(前出のテレビ誌編集者)

『ちむどんどん』の視聴者からは、「兄はただの悪知恵働く詐欺師。ヒロインは厚顔無恥の礼儀知らずバカ。そいつらを生み出した優しいだけのバカ母」といった声や、「特に優子さん!お母ちゃん!あなたは1番賢秀を叱らないとダメでしょ!その甘い態度が賢秀をどんどんポンコツにしてるの、まだ分からんの」「沖縄の優子ママと賢秀の関係、これ無理」「脚本もあの脚本を通す演出も倫理観とかまともな感覚持ってないの??」など、かなり熱がこもった過激とも感じられる意見がSNSに寄せられている。

 主人公・暢子、兄・賢秀、母・優子の「ムカつきポイント」に加えて、『ちむどんどん』には、ドラマ全体の細かい設定が甘い、といった指摘も上がっている。

細かい設定が甘い

 具体的には、暢子が調理場で髪の毛を結んでおらず、衛生上あり得ないという意見や、一家は多額の借金を抱え貧乏だという描写の一方で、暢子は東京ー沖縄間で頻繫に電話できるのはなぜか、竜星演じる賢秀が東京から沖縄に帰ってくる旅費はどう工面したのか、といった金銭面でのリアリティについても疑問の声が上がっている。

それ以外にも、暢子が働くレストランの調理場で使われている醤油がプラスチックのボトルに入った現代社会でおなじみの容器だったのですが、劇中の1970年代は主にビンに入っていたのではないか、といったディテールについても指摘されていますね。そして、暢子がトイレ掃除をする際にコックコートを着たままなのも気になる、という指摘もあります」(前出のテレビ誌編集者)

 また、ドラマの演出面も視聴者が『ちむどんどん』に興ざめしている一因のようだ。

「しつこい」と受け取られる演出

「上白石萌歌(22)演じる末の妹、歌子と学校の音楽教師の下地響子役の片桐はいり(59)の“追いかけっこ”が“しつこい”と受け取られてしまっていますね。

 歌子は引っ込み思案なのですが歌が上手いということを下地に知られ、歌うように迫られるのですが、そのたびに逃げていたんです。そのやりとりが約3週間くらいに渡って続いたため、“もういいよ”と感じた人は多いようです」(前同)

 過去最低視聴率に近づき、ネットが荒れ、仕舞いには朝ドラ受けの大吉がエクスキューズをする事態にまで至っている“超嫌われ朝ドラ”『ちむどんどん』――。

「これまでの非常にフラストレーションがたまる内容、展開は、今後の大きな感動や共感を得るためのマイナスのフリで、見事な大逆転が待っている――ということを期待したいですね。

 ただ、現状ここまで視聴者離れ、そして視聴者からの反発があったのは、制作サイドとしては想定外だったのではないでしょうか。今後、ドラマも、登場人物のことも好きになる素晴らしい展開が待っていると考えられますが、肝心なそのときにはもう見る人がいない、ということにならないといいですよね……」(同)

 視聴者を「ちむどんどん」(=胸がワクワクする)させてくれるのは、いったいいつなのだろうか――。