フリーランス女子の天国と地獄 イラスト/大塚さやか

 

 2021年の調査によるとフリーランス人口は1500万人超。独立、転職でフリーランス=個人事業主をめざす人が増えている。稼ぎは?休みは?精神的にきつくない?週刊女性でもおなじみ、人気イラストレーターが「ここだけ話」をトーク!

てか今更だけどフリーランスって何?

 フリーランスとは会社や団体などに所属せず、仕事に応じて自由に契約する「個人で仕事をする人」のこと。つまり個人事業主!

フリーランス女子の真実!? イラスト/大塚さやか

 2年前からフリーランス人口は拡大。

 私にとってはライバルが増えたということですが、むしろそんなの大歓迎!

 ブラック企業を辞められず心を病んでしまったり、さらには過労死なんていう話を聞くたびに、本当にいたたまれなくなり「そんなことならフリーランスになっちゃえばいいのに!」とずっと憤慨していたからです。

 もしかすると会社にいる時よりは稼げないかもしれない。けど、人生が嫌になるほどならちょっとくらい収入減ってもよくない!? と私なんかは思っちゃいます。(まあ、これは私が独身子なし無責任軍団の一員だからかもしれませんが汗)。

 とはいえ、フリーランスもすごい楽!というわけではないのはおそらくご想像どおり。不可抗力で締め切りが重なって眠れないとか、休みが取れない……などは日常茶飯事です。

 要は「好きなことだから何でも我慢できるぜ!」というのが大前提かと思います。

てっぺん上り詰める!とか考えなければ始められちゃうかも?

 かくいう私も脱サラ組。

 デザイン事務所・編プロ・出版社を数社渡り歩きました。

 最後の出版社が本作りから広告制作のほうに方向転換したあたりから、あんなに楽しかった仕事が急につまらなくなり、あと先考えずに会社を飛び出しました。

 手始めに、憧れだった失業保険をもらって昼からビールを飲んでふざけていましたが、そのうち「何もしてないならあれやれ、これやれ」と古巣の会社から仕事依頼が来るように。

 失業保険生活は早々に終了
。私の場合はそのままぬるっとフリーランスになったというわけです。

 会社にいたときは案件がかぶると、手隙の同僚に手伝ってもらえていたのが、全部自分ひとりの肩に。肉体的にも精神的にもキツい、間に合う気がしない!が、絶対病気になれない!

イラスト/大塚さやか

 仕事が重なる時期というのは、例えば、(1)今月スタートの案件があり (2)先々月の案件が筆者さんの都合で延びて、これまた今月の作業に。

(3)さらに恩があるお客さんからどうしてもと頼まれ今月作業の案件を受注。(4)前月から動いていた案件の修正がまだ続く……など自分の力の及ばないことが立て続けに起きるものです。

 さらに1年目は、前年の会社員のときの年収で課税されるので、たいして稼いでないのに税金がエグかった!

正直大変なときもある!だからこそ楽しい仕事を請けよう!

 フリーランスとひと言でいっても、生活スタイルや収入などは人や職種によってさまざま。

 私のようなデザインやイラストなどの業種は超有名とかでない限り、そんなに目立って儲けている話はあまり聞いたことないかも。バリバリ稼ぎたい人はみな会社を設立しています。

 仕事の請け方も人によってです。私なんかは来た仕事からやりたさを優先して請けてますが、自ら営業をかけて金額優先で請ける人ももちろんいます。

 私の仕事の場合はお客さんの活動時間がバラバラ。9時に電話をかけてくる人もいれば、23時にメールをしてくる人も。

 元気だった身近な人が急に亡くなったりするような年頃になって、自分もいつか死ぬんだよなあって思うと、つまらない感情を持つ時間をなるべく短くしたいと思いました。

 長丁場になることが多い業種なので、長時間やっててもずっと楽しい!みたいな案件を優先して請けています。

イラスト/大塚さやか

でも食いつなげてれば大成功〜!

「今月はあんまり忙しくないぞやったー!」なんて素直に喜んでるフリーランスはいない。いたらのんきか、アホか、ほんとは働かなくていいほどの金持ちです。

 忙しくなかったら、そりゃあうれしいけど、忙しくないってことは、仕事がない、仕事がないってことは、売り上げがないってことです。

 その逆で、ここ3か月は仕事たくさんでお金に余裕があるぞ!さあ、パーッと使おう!ってことにもならない。だって、お金使う時間もないんだもん。私たちはいつ幸せになるんだろう!(泣)

フリーの人にもそうじゃない人にも笑いながら勇気もらえます!!

 出版業界で人気のデザイナー&イラストレーターである著者が、独身フリーランス女子の実態をすべて、ぶっちゃけます。「営業しない」「後悔しない」をモットーに、イラストとマンガ、写真、エッセイで赤裸々に告白。思わずツッコミたくなる、フリーランスの日常がまるわかりです。はたして、天国か、地獄か?だらだら読んだら、いつの間にかほっとする本です。

『フリーランスの生活をぶっちゃけてみました。』
大塚さやか (著)/内外出版社  1430円

 教えてくれたのは…デザイナー・イラストレーター 大塚さやかさん ●1977年、茨城県生まれ。独身。お酒と山をこよなく愛すフリーランスのデザイナー&イラストレーター。東京工芸大学芸術学部デザイン学科卒業。デザイン事務所や編プロ、出版社を転々として、29歳でフリーランスになる。大手から中小出版社まで、書籍の装丁、雑誌のイラスト、マンガの仕事をこなす。

〈文/大塚さやか〉