お笑いトリオ『ダチョウ倶楽部』の上島竜兵さんが、突然この世から去って早1か月が経とうとしている。さまざまな番組で追悼企画が組まれ、親交のあったタレントたちが在りし日の思い出を語るなど、あらためて上島さんが多くの人々に愛された芸人であったことを実感させられる中、“愛弟子”の一人・有吉弘行が明かした上島さんの葬儀でのエピソードが、ネット上で物議を醸す事態となった。
5月11日午前0時頃、自宅で倒れているのを妻に発見された上島さん。その後、救急搬送された病院で死亡が確認され、帰らぬ人となってしまった。
僧侶をトイレまで追いかけた
「朝のワイドショーで上島さんの訃報が伝えられると、日本中が大きなショックを受けるとともに、深い悲しみに包まれました。それは番組出演者も同じことで、例えば、上島さんと同じく“芸人”である加藤浩次は、MCを務める『スッキリ』(日本テレビ系)で、『上島さんが? ウソでしょ?』と語るなど、動揺を隠せない様子でした」(芸能記者)
そんな中、上島さんを慕う芸人たちが集う「竜平会」の一員で、“愛弟子”として知られる有吉を慮る声が、SNSを中心に飛び交うことに。訃報が流れた直後から、有吉の名前がTwitterでトレンド入りするほど、注目を集めていた。
「有吉は1996年、お笑いコンビ『猿岩石』時代に、『進め!電波少年』(日本テレビ)の『ユーラシア大陸横断ヒッチハイク』企画で大ブレイク。しかし、その後は人気が低迷し、仕事もなくなり、コンビは解散……と、絵に描いたような“転落”を経験しました。
そんなどん詰まりの時に、有吉を救ったのが上島さん。竜平会の飲み会に呼び出してはご飯を食べさせ、タクシー代を渡すなど、精神的、経済的にも有吉を支えていたというエピソードはあまりにも有名な話です。上島さんの突然の死に、有吉がどれほどのショックを受けたのかと心配した人は、業界内外問わず大勢いたと思います」(同・前)
有吉は、5月15日放送のラジオ番組『有吉弘行のSUNDAY NIGHT DREAMER』(JFN系列、以下『サンドリ』)に生出演し、上島さんを追悼。通夜と葬儀、また火葬場にも参列したほか、「二人きり」の時間も設けてもらったといい、「ちょっとツッコんでやろうかなとか、茶化したりとか、『バカだな』とか言おうかなと思ったけど、ダメだね、やっぱ。お礼しか出なかったね。本当にもう『ありがとうございます』っていうことしか」と、涙をこらえながら明かしたのだった。
そんな有吉がテレビで語った上島さんの葬儀のエピソードが、一部ネット上で批判されているというから驚きだ。
有吉は6月3日放送の『マツコ&有吉 かりそめ天国』(テレビ朝日系)で、タレントの松村邦洋が葬儀で見せた“奇行”を暴露。松村は上島さんの葬儀で、「お焼香の数がわからない」と言って、参列者に「何回やんの?」と聞いて回り、ずっと練習していたとのこと。また僧侶のお経を大声で真似し、島崎和歌子から叩かれていたとも話していた。
「さらに松村は、僧侶をトイレまで追いかけて行って、どこの宗派なのかを聞いていたそうで、有吉は『異常でしょ?』『みんな泣いてんのに、お坊さんに夢中』と言って大笑い。有吉は『サンドリ』で、上島さんの葬儀は“笑っちゃうようなこと”もあったと話していましたが、これもその一つなのでしょう。
共演者のマツコ・デラックスは、突然、葬儀の話題が出たため少し驚いていたものの、最後には松村のことを『尊敬している人の一人』として、話をまとめていました」(テレビ局関係者)
しかし、この有吉の話がネット上で物議を醸すことに。上島さんのことを「タブーにしたくない」という有吉の気概を感じ取った視聴者がいた一方、亡くなってからまだ日が浅く、また自死であったことから、
≪これ笑い話なの?≫
≪ちょっと年数経ってからならまだしも今ネタにするのは…≫
≪どういう意図で話してるのか分からないけど、笑えないよ…≫
といった戸惑いを訴える人が散見され、また、
≪お経一緒に読む事は信心深い人や年配の方は普通≫
≪お焼香の回数も宗派に合わせてちゃんとしたかったのかと≫
≪松村さんなりにきちんとした形で上島さんを送ってあげたかったんでしょう
その姿を異常として笑い話にしようとするのは如何なものかと≫
など、松村の行動は「おかしくない」と指摘しつつ、有吉の笑いのスタンスに疑問を呈する人が多数見られたのだ。
死者を“聖人化”することが許せない
「おそらく、松村の行動が上島さんの葬儀での話ではなかったら、有吉の発言は特に問題視されなかったのでは。上島さんの死に大きな衝撃を受けていたであろう松村の行動を、一方的に“笑う”という行為だけに、『受け入れられない』という人は少なくなかったのかもしれません」(同・前)
またそれとは別に、そもそも有吉が上島さんの葬儀の話を、バラエティでネタにしたという点に、疑問を抱いた人もいた様子。
「というのも、訃報が流れた後、有吉が今年1月2日放送の『サンドリ』で、ゲスト出演していた上島さんに対して『志村(けん)さんが亡くなってもう1年半になりますけども、志村さん寂しくて「竜ちゃん寂しいよ」って天国で呼んでるんじゃないですか?』とイジッたことがネット上で掘り起こされ、『こんなこと言うもんじゃない』『後悔しているのでは』などと、ちょっとした騒ぎになっていたんです。有吉の上島さんイジりが酷いと感じていた人は、葬儀の話で笑いを取ること自体に、違和感を覚えたのかもしれません」(スポーツ紙記者)
しかし、有吉は、「今後もメディアで、上島さんのことはもちろん、葬儀をめぐる話も、笑い話として伝えていくだろう」(編集者)との声もある。
「有吉は、死者を“聖人化”することが許せないタイプなんです。2021年1月24日放送の『サンドリ』では、志村さんの死後、Twitterで『人を傷つけない笑いやっていた』といった声があることに対し、『違う違う。志村さんはいっぱいそういう笑いもしたし、めっちゃエロいネタもやってます』と真っ向から反論。そんな下品なネタがあったからこそ、『我々は大好きになった』と熱弁を奮いながら、『ふざけんなよ、何言ってんだ、バカがよ』と激怒していました」(芸能プロ関係者)
また2020年9月27日の放送回でも、やはり志村さんの笑いが“美談”にされていることを不服であると訴え、天国の志村さんも「なんだよこれ」と言っているだろうと、「上島さんとも話している」と明かしていた。
「つまり上島さんもまた、死後に芸人が妙に聖人化されたり、そのエピソードが美談になったりすることに違和感を覚えていたわけで、有吉としては、その思いを大事にしようとしているのではないでしょうか。今回のケースでは、上島さんの葬儀をめぐるネタに、松村が“巻き込まれた”格好なので、その点に関して同情の声が出るのも致し方なしですが、今後も有吉は、上島さんのことを笑いのネタにして、イジッていくことでしょう」(同・前)
これもまた、有吉なりの“弔い”ということか――。