1925年に発表されたアメリカ小説『グレート・ギャツビー』。何度も映画化やミュージカル化を経て世界から愛されてきた名作である。
‘13年に公開されたレオナルド・ディカプリオが主演を務めた映画『華麗なるギャツビー』の印象が強い人も多いだろう。日本に大勢いる“ギャツビーファン”が待ち望んだ本作は、物語の舞台を「東京」に移し、2022年版としてリメイクされた。
6月17日から東京・日本橋にある『三越劇場』で行われるこの舞台にトム・ブキャナン役として出演する俳優・大橋典之に、役どころと作品の魅力について、緊急インタビュー!
「トムと似てるところ…ないです(笑)」
「僕は主人公のギャツビーと対立するトムを演じています。派手に言い争いをする場面があるのですが、僕としてはいちばん見てほしいシーンかもしれません。結構、衝撃的なので……(笑)。
演じる上で立ち振る舞いには気をつけていますね。トムは優しい面もあるんですけど表に出ないタイプなので、気持ちを緩めてその部分が出ないようにって。僕はいわゆる“陽キャラ”ではないと思うのですが、彼は自由奔放で少々傲慢、体育会系のノリもあるので演じることに難しさも感じます」
役どころと自分のキャラクターが重ならない部分が多いというが、対人へのスタンスに関しては、似ている部分があると語る。
「仲の良い身内や後輩の前だと、思わず強い自分を演じてしまうところがあるんです。仕事でうまく言えないことを身内だと強めに言っちゃうみたいな。トムに関しても、自分ができていないのに他人には説教してしまうような部分があって、自分を大きく、強く見せたい人なんだなって感じます。
あとは全然似てるところないです(笑)。トムは超がつくほどのスポーツマンで、僕も高校は野球部でしたけど、至って普通のいち選手。彼はガツガツしてる感じですが、僕はどちらかというと消極的なので真逆のタイプですね」
豪華絢爛、一方で人間の儚さも描く舞台
先日30歳を迎えた大橋は、『グレートギャツビー』で演じるトムのように「大人の魅力を出したい」と意気込む。
「見た目で幼く見えることが多いので、大人の男性としての魅力を出していけたら、と思っています。まだ全然ダメなんですけど……。
30代になって、気持ち的には寿命とは関係なしに“人生折り返した”という感じがしていて。あくまで感覚なんですけど、改めて人生を見直すときがきているというか。“やべえな、オッサンだな”みたいな焦る気持ちもありますしね(笑)」
あくまで控えめ、一方で芯に宿る役者魂を感じさせる回答だが、舞台を作る上で“自分にしかない強み”を聞いてみると……。
「着飾らないところですかね。中学や高校などの学生時代に培ってきたと思っているのですが、そのおかげで他人との距離をつめるのが得意というか、割とすぐに仲良くなれるかな。
それは仕事現場でも生かされていて、特に舞台は役者同士や演出家と話し合って作り上げるので。別にカッコつけないし気取らないので、人と自然に接することができて、いつの間にか距離が近くなって作品について意見を出し合っている感じですかね」
最後に東京版『グレート・ギャツビー』の魅力をどうぞ!
「とにかく豪華絢爛、とってもきらびやかな世界観が楽しめる一方、人間の儚さや繊細さを描いているところが、この舞台の最大の見どころです! さらに、今回は2022年の東京を舞台に落とし込んだ作品になっているので、まさに“今”に通じている。皆さんが感じることも多い舞台なのではと。いろいろな側面で心揺さぶる作品になっていると思うので、感情がいい意味で揺れ動いて、日々の活力になると思います!」
“華麗なる”感動を与えてくれる舞台になるはず!
大橋典之
俳優。フリー。現在、ドラマや舞台で活躍中。過去出演作品:「おおきく振りかぶって」阿部隆也役、「改札を抜けて」山田信二役、「ちむどんどん」テルヤリョウタロウ役、「The Great Gatsby In Tokyo」トム・ブキャナン役、「DANPRI STAGE-アイドルランド・オブ・ザ・デッド-」めが兄ぃ役ほか
舞台『The Great Gatsby In Tokyo』(クリックすると公式サイトに飛ぶことができます)
頻繁に開催される豪華なパーティーに集まる男女。そのパーティーの主催者はジェイ・ギャツビー。ある日その会に招かれたニックは、ギャツビーが5年間秘めていた思いを知ることになる。なぜ彼は華やかさを見せびらかしているのか?そこに秘められた思いは…。
構成・文/綾部和也