寝耳に水とはまさにこのこと。『BTS活動休止』のニュースに、悲鳴をあげたARMY(BTSのファン)も多いだろう。ネット上には「9年目をお祝いしたばかりなのに残念すぎる」「7人揃ったバンタン(BTS)が好きだったのに」とBTSロスを訴えるARMYの声があふれた。
BTSといえば、世界の音楽シーンで数々の偉業を成し遂げ、今後は彼ら自身が自らの記録を塗り替えていくと期待されていたワールドスター。ファンならずとも同じアジア人として、グローバルに輝く彼らを誇らしく思っていた人は少なくないだろう。
さらに今月には最新アンソロジーアルバム『Proof』が発売されたばかり。ただ、このアルバムの発売にあたり、リーダーのRMは所属事務所のBIGHIT MUSICを通じて意味深な言葉を残している。
リーダー・RMの“意味深”な表現
「『Proof』はデビュー9周年を迎えたBTSが第1章を終える特別なアルバムだ」
第1章を“終える”と表現したことが何を意味するのか、今となっては今回の報道とオーバーラップする。
BTS自身が活動休止に言及したとされるのが、今月14日に公式YouTubeチャンネル「BANGTAN TV」を通じて公開された映像「防弾会食」。RMは「公式記事で伝えるには重すぎるし、Instagramに投稿するような軽いことじゃないから、この場を設けた」とし、続いて他のメンバーも、グループとしての成功が一人歩きしていくことへの戸惑い、義務感で活動を続けることへの葛藤、1人で考える時間を全員が必要としていることを涙ながらに訴えた。
これに対して所属事務所はすぐさま火消しに走り、活動休止説を否定。「音楽番組の出演も予定しており、グループ活動は継続する」とコメントしている。しかしこれに関しても気になるコメントをしているメンバーがいた。
リードボーカルのVが“涙の会食”公開前日に、動画配信サービスV LIVEの生配信でこう口にしている。
「今日、M COUNTDOWN(韓国の音楽番組)の事前収録を終えて、V LIVEをしにきました」
という挨拶のあと、
「(3つの)音楽番組の事前収録は全部終わって……ええと……終わりました」
言い淀むこと約20秒。何か思うところがあったのだろうか。収録が「全部終わった」という完了形の言い方が意味深だ。
時系列でいうと、配信はV LIVEの方が1日早いが、涙の会食はそれ以前に収録されたと思われる。VはV LIVEで「(1番最後の音楽番組のために)パーマをかけた」と報告しているが、会食時はヘアスタイルが違うことからも、それが見て取れる。沈黙の間に、メンバーとともに思いを吐露した会食を思い出していたのだろうか?
その会食ではRMが「しばらくはカメラの前で僕らが集まることはなくなる」と発言。それらの意味ありげなコメントにより、今後本当にグループでの活動が継続されるのか、確信が持てないでいるファンの声も多い。
「自分たちの成功のトロフィーを100%とすると、そのうち50%はARMYのおかげ。メンバー個人の功績はトロフィーの端っこにすぎない」
昨年、ロサンゼルスコンサートの記者会見でRMが発した言葉が表すように、BTSは世界のトップに立っても謙虚で勤勉、そして常にARMYへの感謝を忘れない。しかしそれゆえに自分を犠牲にし、大きすぎる成功に思い悩むことも多かった。過度な期待によるプレッシャーから、V、そして同じくリードボーカルのJINが、かつて“燃え尽き症候群”に苦しんだことを告白。リードラッパーのSUGAも、「15階まで行ければと思っていたら60階まで来てしまった」と、想定外の高みに違和感を語っている。
今回の活動休止説に対するファンの反応は、ショックであるとしながらも「あの映像を公開したのだから、事務所は彼らの思いを尊重すべき」「アウトプットさせ続けるだけというのは無理がある」「人気絶頂の中、勇気ある決断」と肯定的だ。今後のBIGHIT MUSICの対応に注目が集まる。
件の会食で、最後にRMはこう語った。
新曲の歌詞に込められた“匂わせ”
「私が言いたいことは、(新曲の)Yet to COMEに込めてある」
ニューアルバムに収録された同曲では、RM、SUGA、そしてリードラッパーでありメインダンサーのJ-HOPEも作詞に参加。歌詞は“音楽が好きな普通の人間”“肩書きだらけで不自由”など多忙を極めて身動きが取れなくなったBTSを象徴しているようで、メンバーが伝えたかったメッセージそのものにも思える。
結局のところ、メンバー自身はグループ活動の継続を望んでいるのか? そんな疑問に答えるように、活動休止報道の翌日16日に、メインボーカルのジョングクがV LIVEで発言。
「広まってしまった誤解を解きたい。僕たちにはまだ、グループとしての活動予定がたくさんある」
「BTSは永遠です」
コロナ禍で思うように活動ができず閉塞感にもがきながらも、メディアを通してファンにパフォーマンスを届け、世界中を勇気づけたBTS。新曲で彼らが発するメッセージ通り、「best moment is yet to come(最高に輝く瞬間はこれから)」と信じたい。