阿部光浩容疑者(SNSより)

「ご主人はとても気さくで、やさしくて、礼儀正しくて、本当にいい方。“子どもの面倒をお願いします”と声をかけてくれていたら、あんなことには……」

 と、容疑者宅近くに住む主婦は後悔を口にしたーー。

 北海道警釧路署は10日、釧路市の10代で無職の妻と夫で会社員の阿部光浩容疑者(35)を、生後4か月の次男と2歳の長男を自宅に13時間余り放置したとして、保護責任者遺棄の疑いで逮捕した。

生後4か月の男児を“13時間”放置

「夫婦は8日の朝8時30分ごろから、午後10時ごろまで2人でパチンコに出かけていました。自宅に戻って、次男の意識がないことに気づいた阿部容疑者が119番通報。病院へ搬送されましたが、すでに手遅れだった」(地元紙社会部記者)

 警察は死亡した次男の司法解剖の結果をまだ公表していないが、

「現在の容疑は保護責任者遺棄ですが、遺棄が死因に影響していれば、保護責任者遺棄致死となって罪が重くなります。そこを見据えて公表には慎重になっているんだと思います」(同・社会部記者)

 阿部容疑者と妻は今年2月に結婚。長男と次男は妻の連れ子だった。だが、冒頭の近所の主婦はこの妻と子どもらのことをまったく知らなかったという。

「ご主人(阿部容疑者)が注文住宅を建ててここに引っ越してきたのはおよそ3年前。そのときには前の奥さんがいたのよ。ふたりの間には男の子も生まれたんだけど、約1年前に離婚して奥さんが子どもを連れて出ていったの。そのあとは独り身だと思っていて、友人や同僚女性が家に出入りしていたのは見ていたけど、まさか奥さんがいたとは……。本当に見たことないんですよ」

 前妻と生活していた頃の阿部容疑者は明るく社交的だったという。近所と挨拶を交わし、付き合いもよかった。夏になると、自宅の広い庭に友人らを招いて、バーベキューもしていた。

「若いのにあれだけ立派な家も建てられるんだから財力もあって、しかも人柄も素晴らしいんですよ。私が雪おろしをしていたら、“うちの庭に雪を置いてもいいですよ”と言ってくれた。いいイメージしかない」(別の近所の住民)

 しかし、前妻との離婚後は近所との交流をほとんどしなくなったという。

阿部光浩容疑者の自宅。注文住宅で外観もおしゃれだ

「きっと、離婚したことを聞かれたくなかったんだろうね。新しい奥さんとは20歳近く歳が離れていて、しかも連れ子が2人。そういうのって、自分から言いにくいものだから、近所付き合いもできなくなっちゃったのかもね」(同・近所の住民)

 阿部容疑者の再婚相手である18歳妻は、もともと札幌市に住んでいて、

「前夫と暮らしていたのですが、DV(家庭内暴力)がひどくて離婚したようです。その後、阿部容疑者と知り合って釧路市に移り住んだ」(前出・社会部記者、以下同)

 そうして事件当日を迎える。釧路は気温が10度に届くかどうかの寒い日だった。

「朝の8時32分ごろ、子ども2人を残して容疑者らは車で出かけた。パチンコだけではなく、食品などの買い出しもしていたようです」

言ってくれれば、私があげたのに…

 結婚してまだ数か月、2人きりの新婚気分に浸っていたかったのかもしれない。前出の近所の主婦によると、

「子ども2人はずっと家の中にいたようですが、大きな声も、鳴き声もまったく聞こえなかった。とくに4か月の子どもは3、4時間おきにミルクが必要なのは、母親ならわかっていたはず。言ってくれれば、私があげたのに……」

釧路市内には大型パチンコ店が数多く存在する

 阿部容疑者の勤務先は、太陽光パネルつき住宅の販売会社。独身の頃は、釧路市近郊のワンルームのアパートに暮らしていた。近所の住民はこう話す。

「雪かきをしていたときにスコップを貸してあげたら、“では、お借りしますね”って、若いのにずいぶん丁寧な言葉遣いをする人だなと思いました。女性が1人、いつも来ていたね」

 おそらく、その女性が前妻だったに違いない。ここでも阿部容疑者は好印象だった。

 気配りができる大人がなぜ幼い子どもを13時間も放置できたのか。容疑者らは子どもに対して日常的に暴力を振るうことはなかったようだが、子どもの命を奪うほどの“虐待”をしたも同然と言えるだろう。