「テレビをご覧のみなさん、テレビは核兵器に勝る武器です。テレビは国民を洗脳する装置です。テレビは国民が知るべき真実を隠しています」
6月16日、『報道ステーション』(テレビ朝日系)で生放送された参院選党首討論。リモート出演となったNHK党の立花孝志氏は「国民の安全をどう守る?」とのテーマで、順番が回ってくるなり、衝撃の持論を展開したのだった。
「岸田文雄自民党総裁ら9党の党首がそれぞれの意見を述べるなか、立花さんは“YouTubeが……”と、安全保障とは全く関係のない話を続け、“番組サイドから、テーマから逸脱する発言は控えてくださいと言われた”と発言。すると、それにかぶせるようにメインキャスターの大越健介さんが“そうですよ”と制しました。穏やかな進行でおなじみの大越さんがあんなにピリついているのは初めて見ましたよ」(テレビ誌ライター)
立花氏の演説は、大越キャスターの遮る声で内容が聞き取りづらい状態のまま「求められていた発言でないので、ここで打ち切らせていただきます」との合図とともに、強制終了となった。
N党から出馬のガーシーとタッグ
この直後から、SNS上は大混乱。
《なぜ映像を切った?》
《何が起きたんだ》
と、視聴者の不満の声が多数噴出する結果に。
“放送事故”ともとれる内容の真相は、前日に投稿された立花氏のツイッターに遡る。
《明日、立花孝志がテレビ朝日の生放送に出演します(中略)あたしは綾野剛の淫行について言及する予定です》
もちろんこの投稿は、今話題の暴露系ユーチューバー、“ガーシー”こと東谷義和氏がN党から出馬を表明したことと大きく関係している。
「芸能人の裏の顔を暴露することで一躍話題のガーシーさんですが、繰り返し“口撃”を続けているのが6月26日スタートのTBS系ドラマ『オールドルーキー』に主演する綾野剛さん。女性問題に触れ、“ドラマに出演させていいのか”と、局とスポンサーに訴え続けています。ガーシーさんと立花さんは結託し、選挙に乗じて地上波で強行暴露をしようとしているのです」(芸能プロ関係者)
立花氏のツイートを受けてから、テレ朝内部は大混乱だったという。
「参議院に議席を有する政党の党首討論ということで、立花さんの出演を避けることはできませんでした。そのため“万が一、綾野さんの件に触れたら音声を落とす”ことは事前に決められていました。立花さんにも“テーマにそぐわない話をしたときはしかるべき対応をとる”と文書で伝えていましたね。綾野さんの名前が出る前に突然の終了となったのは“念には念を”という配慮のためです」(テレビ朝日関係者)
『報ステ』とほぼ同時間帯に放送された『news23』(TBS系)では事前収録の映像ということで、映像の一部がカットされていた。
政見放送は編集されない
党首討論の放送を終えた立花氏は、YouTubeのライブ配信を実施し、
「YouTubeで言えるのに、なぜテレビではカットするんでしょうかね」
と、苦言を呈しつつ、
「今日のテレビ朝日やTBSは編集権で(カットを)やれるんですけど。政見放送となってくるとこれまた違ってくるので。(中略)政見放送にはバシバシ綾野剛という名前が出てきますので、超ご期待いただきたいと思います」
と息巻いた。
はたして本当に炎上必至の“暴露”を地上波で放送することができるのだろうか─。過去を遡れば2016年の東京都知事選で後藤輝樹氏(無所属)は突然歌い出したり、卑猥な単語を羅列するなど、支離滅裂な政見放送を行った事例がある。
このとき、NHKは冒頭に“公職選挙法第150条の2の規定をふまえて、音声を一部削除しています”とテロップを表示させたうえで、音声のほとんどをカットして放送している。立花氏のケースはどうなのか。政治ジャーナリストの角谷浩一氏によれば、
「公職選挙法に基づいて、発言や行動は守られています。討論会は別ですが、立候補者の政見放送であるならば、政治信条に基づくものでしたら基本的に編集などはできないため、そのまま放送される可能性は高いです」
もし目論見が外れても、立花氏にダメージはない。
「彼は『news23』で自身の発言が編集されたことについて配信で、“YouTubeに誘い込むための作戦でもある。カットされたら仕方がない”とも語っていました。発言が電波に乗ろうが乗るまいが、どちらに転んでも彼にとってプラスなのでしょう」(スポーツ紙記者)
坂口健太郎、小栗旬の暴露を計画か
近々行われる政見放送だけでなく、今後も民放では、党首討論が放送される予定だ。各局は情報網を駆使し、立花氏と東谷氏の動向について飛び交うさまざまな情報を共有し合っているようで、
「今後は綾野さんと同じ事務所の俳優に絡めながら、各局で別の暴露をする予定だとの話もあります。例えばフジテレビでは、7月にスタートする月9ドラマ『競争の番人』で杏さんとW主演する坂口健太郎さんのネタ。NHKでは、放送中の大河ドラマ『鎌倉殿の13人』で主人公を熱演している小栗旬さんのネタというようにです。
このような攻撃をするウラには、社長を“追い落とす”目的があるのだそう。ガーシーさんは、事務所がテレビ局や政界と蜜月の関係にあると考えており、芸能界の浄化を目指していると豪語しています」(同・スポーツ紙記者)
6月13日に、綾野の所属事務所はこのような声明を発表している。
《現在、インターネット上で弊社及び弊社所属タレント等の名誉を毀損し業務を妨害する事実無根の投稿が複数なされております。弊社はこのような虚偽の投稿を決して容認できません。従って然るべき法的手続等の対応を行っております》
例外を除いてはその政見をそのまま放送しなければならない政見放送は、ある意味“究極の地上波番組”。政治信条を伝えるはずの時間が、暴露の場と化してしまうのはあまりにも悲しい……。