大谷翔平と鍵山優真

《初観戦 楽しかった》

 北京五輪フィギュアスケート男子で銀メダルを獲得した鍵山優真が自身のTwitterに投稿した。6月上旬からアメリカで合宿を行っていたが、日本時間12日に練習の合間を縫ってメジャーリーグ大谷翔平の試合を生観戦。実は対面の話もあったこの計画は“極秘”で進められていた。

野球とフィギュアの共通点

「両者のケガなど、不測の事態も考慮し、近い関係者だけで話を進めていたそうです。メジャー担当の記者も鍵山選手が球場に来るまで知りませんでした。鍵山側からの希望で5分ほど対面できるように調整もしていたそうですが、タイミングが合わなかったため実現はせず。

 大谷選手は試合後に鍵山の来場を知ったようです。それでも、鍵山選手は試合観戦後に“刺激をもらえたらと思っていたけど、想像以上でした”と喜んでいました」(スポーツ紙記者)

 野球とフィギュアスケート。全く違うスポーツのようにも思えるが、スポーツライターの梅田香子さんはこう話す。

「野球の試合時間は長いけど、バッターで立つのは数分間。そういう点では、同じく数分の演技で勝負が決まるフィギュアスケートと似ていると思います。だから、刺激を受ける部分もあったんでしょうね」

 ほかにも共通点はある。

「スケーティングの技術や技と技のつなぎの部分、プログラムの構成、曲の解釈、観客やジャッジへのアピール、この5点すべてそろった選手をオールラウンダーと呼びます。宇野昌磨選手や羽生結弦選手などがそうで、鍵山選手もそこを目指しています。競技は違っても、投打で活躍する大谷選手から学べることも多いでしょう」(梅田さん)

次のWBCに大谷が出場する可能性

 実際に鍵山も大谷について「僕も自分のスポーツの中ではオールラウンダーを目指している。違うスポーツではあるんですけど、すごく尊敬しています」と話している。
世界を舞台に活躍する2人。くしくも来年3月に、野球では国別の世界一を決めるWBC、フィギュアスケートでは世界選手権が待っている。

「日本ハムに所属していたときの監督である栗山英樹さんが日本代表の監督を務めていることもあり、大谷選手のWBC出場に期待する声は高まっています。栗山監督も“ピッチャーの翔平とバッターの翔平の両方に声をかけます”と二刀流での起用に意欲的です」(前出・スポーツ紙記者)

'17年の前回大会はケガで辞退したため、大谷はまだWBCに未出場。日の丸を背負って活躍する姿を見たいが、過去にはダルビッシュ有などメジャーリーガーが出場を辞退したケースもある。大谷が出場する可能性は─

「エンゼルスは大谷選手の意向を尊重すると言っています。大谷選手も、前回出られなかった悔しさも、日本代表として勝ちたいという思いもある。ケガなどがなければ出ると思います」(梅田さん、以下同)

日本代表の監督を務める栗山英樹

 鍵山も2年連続で2位となっている世界選手権制覇に意欲を見せているよう。

「オールラウンダーを目指して、毎年毎年が勝負。1位になりたいという思いはすごく強い選手なので、世界選手権は一番の目標だと思います」

 大谷は日本時間17日の試合で今季5勝目を挙げ、鍵山も米国で新プログラムを練習して帰国。この2人なら“W世界一”も夢物語ではない。


梅田香子 '86年、『勝利投手』で第23回文藝賞佳作を受賞。その後はスポーツライターとして、MLB、NBA、フィギュアスケートなど幅広く取材活動を行っている。'09年から在米