日本の女性の睡眠時間は世界の中でもっとも短いといわれている。さらに40代を過ぎたあたりから、更年期に起因する不眠が加わり、「睡眠負債」(寝不足や熟睡できない状態が続くこと)を抱えることになる。質の悪い睡眠を続けていると、肌が劣化し、白髪が増えて、体重も増加し、老化に向かってまっしぐら。
エイジングケアの専門医でもあり、理事長を務めるグランプロクリニック銀座などで睡眠美容外来を開始した岩本麻奈先生は「エイジングケアはどんな美容施術よりも眠りを味方につけることが王道です」と、睡眠こそが若さを保つ秘訣だと話してくれた。
「眠れない」ではなく、「眠るためにどうするか」……。その参考になるのが、いつでも若く美しい、女優や女性タレントたちの睡眠法。良い睡眠をとるために実践しているさまざまな工夫は必見だ。
「明日はきっといい日」自己暗示が効く!
寝室の電気を消して、布団に入ったときに、何を考えて眠りにつくか。
指原莉乃の入眠儀式はちょっと面白い。「なんかモヤモヤする日は、眠る前に“目覚めたら気分晴れている”って自分に暗示をかけておくと朝にはスッキリ」だという。
すうっと眠れてしまう日はいいが、寝つけないときなど、どうしてもあれやこれやと考えてしまうものだが「指原さんの、入眠法はとってもいい。脳にとって現実は関係ないので、事実と違っていても気にすることはありません。より楽しいことを考え、笑顔で妄想するのも効果的」とは前出の岩本先生。
脳は寝ている間に、嫌なことは忘れ、いいことは覚えているように記憶の選択をしているといわれている。
「寝る寸前に嫌なことを考えたり見たりすると、ネガティブな思いが固定されてしまいます。精神的な安定は、睡眠にとっても重要」(岩本先生)
ニュースを見てから眠るという人も注意が必要。楽しいニュースよりも嫌なニュースが多かったり、さらに昨今はコロナやウクライナの戦争など、心の痛むことが多く、気持ちがモヤモヤしたまま眠ると、良い眠りにつながらない。
夫婦ゲンカや親子ゲンカも眠る前にことさらしてはいけないのだ。さらに、絶対にやってはいけないのが、布団の中での「ひとり反省会」。失敗したこと、悔しかったこと、悲しかったことを暗闇で思い出していると、嫌な記憶が脳にとどまってしまう。
それでも心がざわざわして眠れない、そんなときは「頭皮のマッサージがおすすめです。耳と、耳の周りを中心にグッと圧をかけるようにほぐすと頭に血が巡りスッキリして寝つきもよくなります」(睡眠改善インストラクター・小林麻利子さん)
これは、梅雨時期の気候変動などによる不眠症状にも有効だ。
「“ありがとう”とか“明日はいい日になる”など、自分の気持ちが明るく前向きになるような言葉を唱えてから眠ると、睡眠の質もよくなります」(岩本先生)
これなら簡単にできそうだ。サッシーのように自分の好きな言葉を探して、唱えてみよう。
【解説をしてくださったのは…】
岩本麻奈先生
東京女子医科大学卒業、パリで抗老化医学、予防医学などを学ぶ。現在は最先端再生医療や美容医療に携わり、2021年より睡眠美容外来を開設。健康や美容のためにいかに睡眠が重要か啓発。主な著書は『睡眠美容のすすめ』など多数。
小林麻利子さん
睡眠改善インストラクター、SleepLIVE(株)代表。「美は自律神経を整えることから」を掲げ、睡眠に課題を抱える3000名以上の悩みを解決。監修した、眠りをサポートする天然製油100%のアロマアイテム『SLEEP STEP』発売中。