6月29日未明、元KAT-TUNメンバー・田中聖が覚せい剤所持の疑いで現行犯逮捕された。6月20日に名古屋地裁から懲役1年8カ月・執行猶予3年の判決を受けてから、わずか9日目の“再犯”に、ネットには田中を批判する声が上がっている。
「中でも“意志が弱い”“心が弱い”などと、再び薬物に手を出した田中自身の気持ちの弱さを指摘するような意見も散見されます。もちろん、犯罪であることから処罰を受けること自体は当然ですが、ただ、依存症は“自分の意志ではやめられない病気”であることへの理解を深める必要もありそう」(全国紙社会部記者)
田中逮捕のニュースが一斉に報じられると、2016年に同じく覚せい剤取締法違反の容疑で逮捕された高知東生は、自身のツイッターで《田中聖君の逮捕、一般の人には理解できない再犯かもしれない》とコメント。高知は現在も、薬物依存からの回復を目指している段階にあるという。
厚生労働省のHPによると、薬物はもちろん、アルコールやギャンブル等も含めた特定の物質や行為・過程に対して、やめたくても“やめられない”“ほどほどにできない”状態を「依存症」と定義している。そして“どうしてやめられないのか”には、
《周囲がいくら責めても、本人がいくら反省や後悔をしても、また繰り返してしまうのは脳の問題なのです。決して「 根性がない」とか「意志が弱いから」ではありません》
個人の心の強さや弱さが問題ではなく、脳に直接訴えるのが依存症であり、《特定の行為を自分の意思でやめたり、減らしたりできない病気です。》と、自分だけで克服するのは難しい“病気”としての理解を促している。
高知によると、田中も自助グループに参加して懸命に回復に努めていたようだが、それでも薬物への依存を断ち切ることができなかったということか。
現在も依存症に苦しむ清原和博
強靭な肉体、そして精神力を備えていたはずの元プロ野球選手・清原和博氏も、依存症に苦しんでいる1人だ。
清原氏が逮捕されたのは2016年のことで、懲役2年6カ月、執行猶予4年の有罪判決を受けた後は薬物治療を受けつつ、自身の体験を各メディアのインタビュー等で発信。厚労省主催の薬物依存症の啓発イベントにも毎年参加するなど、“更生”に努めている。
そして2020年6月に執行猶予が満了したのを機に、同年末にツイッターを開設しては、仕事やプライベートの投稿とともに、薬物とうつ病治療の経過、そして治療の一環として取り組んだ禁酒の報告を綴っている。
《月に一度、薬物の病院で先生に薬物と鬱病のカウンセリング、尿検査。そして、今日の自助グループミーティングは回復する為に行って良かった!! 仲間のみなさんに感謝です!! 田中りこさん 高知東生さんのYouTube是非観てください!! 自分も必ず出ます!!》(2021年1月27日)
《トレーニング後、慌ただしく準備して厚生労働省主催「依存症の理解を深めるためのオンライン音楽イベント」へ!参加させて頂き今回で3年目!社会貢献できて凄く嬉しい!! これからも頑張るで! 負けへんで!!》(2021年3月17日)
およそ1か月に1度、通院後の報告をしていた清原氏。当初は「強い気持ち」が前面に出ていたツイートだったが、
《今日、トレーニング後、薬物依存についてのインタビューを受けた。少しでも薬物で苦しんでいる方に力になれればと思い受けたが自分の思い上がりだった。インタビューの最中にフラッシュバック、自己否定でどんどん辛く苦しくなった、自分はまだまだ薬物依存に苦しんでる。》(2021年5月6日)
《今日も薬物病院に行き先生に色々と話しをしてきた。先生に話すと凄く心が楽になる。突然の怒り、悲しみが一日中襲ってきて、ギリギリで生きてる。こんなに短いスパンでの通院は逮捕されて以来初めて…》(2021年5月17日)
《今日、病院に行ってきた。ここ4週間間で3回目の通院 二人の息子達の存在が自分の生きる力になってます。》(2021年6月7日)
突然やってくる“フラッシュバック”や、うつ病の影響もあって弱音を吐くことも。
褒めてもらいうれしかった
《今日は薬物病院へ行った。自分が元気になったことを先生は医学的には解明できないと驚いていた。そして鬱の薬も減らしてくれた。あと来月の8日で断酒をして7ヶ月になることも先生にすごく褒められて嬉しかった。》(2021年7月26日)
《今日は雨の中、薬物病院に行ってきた 松本先生に薬物・アルコールの欲求を聞かれたので正直に話して『一番辛いこの時期に良く頑張りましたね』と言われて嬉しかった。断酒を始めて今月が一番辛かった…》(2021年11月22日)
《今年最後の病院へ行ってきた。12月も苦しい日々が続いた… 松本先生に色々と話しを聞いてもらい『断酒をしていなければ危険な事、最悪の事態を招いてたかもしれませんね…良く頑張りました』と褒めてもらい嬉しかった。》(2021年12月20日)
それでも治療に当たってくれた医師のサポートもあって、苦しい状況も何とか乗り越えていく清原氏。2022年で通院生活も6年を迎えた。
息子たちが自分の生きる力や
《今日は今年2回目の薬物病院へ行ってきた。松本先生から…他の患者さんが『清原さんも頑張っているので自分も頑張れてます』と話していたことを聞きました。人の役に立てているんであれば良かったと思いつつ、昨日の命日で二十七回忌だったおじいちゃんやご先祖様へあらためて感謝をしました。》(2022年2月14日)
《つい最近病院へ行ったばかりだったが… 昨晩、苦しくて苦しくて先生にメールしたところ『明日来て下さい』と。誰にも言えない苛立ちや辛抱してる事を聞いていただき落ち着いた。》(2022年3月18日)
《今日は薬物病院へ行ってきた。4月は2回病院へ行く程苦しかったが、なんとか持ち直した!そして…昨日は次男の誕生日!! 散髪へ行き、スッキリ!息子達が自分の生きる力や!!》(2022年5月2日)
うつ病の影響もあってか、その時々で気持ちの変化が起き、なおかつ薬物の後遺症やフラッシュバックに悩まされ、苦しみながらも1日1日を過ごしている様子が伺えた。
「それでも清原さんが闘えているのは、彼自身が依存症への理解を深めていること、信頼できる医師のサポートに恵まれていること、そして2人の息子たちという大きな人生の支えがあるからこそでしょう。田中もまた、今後の人生を全うするために治療を含めて、自分自身と向き合う必要があるのかもしれません」(前出・社会部記者)