秋篠宮さまと紀子さまが32回目の結婚記念日を迎えられた6月29日の午前中。次女・佳子さまのお姿は、横浜のシンボルである大観覧車の対面に位置するホテルにあった。
「乳がんの研究や診療の向上を目指す『日本乳癌学会』の創立30周年を記念した式典に臨席されました。佳子さまにとって、医療に関する公務に臨むのは初めて。いつになく緊張されたご様子でした」(皇室担当記者)
左右の車窓を全開にされて
会場に出入りする佳子さまをひと目見ようと、炎天下、長時間にわたって待ち続けた女性が振り返る。
「ホテル付近の沿道に集まった人々を見つけた佳子さまは、車窓を開けて軽く会釈してくださいました。ただ、普段のようなお手振りはなく、少し不安げにも見えましたね」
同学会の行事に皇族が出席するのは初めてであり、スピーチの内容にも注目が集まっていた。
「自分で日常的に行う“セルフチェック”と、専門家による定期的な検診によって、乳がんの早期発見の可能性が高くなると発言されました。脳裏に浮かんだのは、美智子さまのお姿です」(前出・記者)
'19年8月、美智子さまの左胸に乳がんが見つかった。初期の段階で摘出することができたのは、美智子さまが定期的に検診を受けてこられたからだといわれている。
「式典に臨むにあたって、罹患当時のご心境や“がん対策”について美智子さまに尋ねられたのではないでしょうか。佳子さまが神妙な面持ちで発せられるおことばには重みがありました」(同・前)
40分間ほどの式典を終えた佳子さまは、安堵した表情で会場を後にされたという。
「ホテルの玄関先でお見送りをした数人の関係者に対し、佳子さまは、名残惜しそうに1人ずつご挨拶されていました。繰り返しお辞儀してから車に乗り込んだ後は、左右の車窓を全開にして、沿道の人々に笑顔を振りまいてくださいました」(前出・女性)
コロナ禍の影響で外出を控えていたため、東京都外での公務に臨まれるのは約2年9か月ぶりだった。お出ましの機会を増やす中、7月12日、13日にかけては、北海道恵庭市で行われる『全国都市緑化祭』への臨席が予定されている。
「姉の小室眞子さんから引き継がれた同行事では、式典でのご挨拶や記念植樹、『庭園出展コンテスト』で表彰を受けた代表者との交流もあります。前回大会にオンラインで参加された佳子さまは、“直接、お庭を見てみたい”というお気持ちをにじませていらしたとか。念願の地方公務再開です」(前出・記者)
昨年10月に結婚して皇室を離れた眞子さんから『日本テニス協会』の名誉総裁や『日本工芸会』の総裁職などを引き継がれた佳子さまは、皇室内での存在感を高めている。
お孫さまたちに美智子さまが厳しいしつけを
「自分が関心を持っているかどうかというよりも、いただいた仕事をひとつひとつ大切にしながら取り組んでいくべきだと考えております」
'14年12月、佳子さまは成年会見の場で、そう見解を示された。
皇室を長年取材するジャーナリストで文化学園大学客員教授の渡邉みどりさんは、「有言実行」だと称賛する。
「公務を“いただいたお仕事”と表現された女性皇族は、佳子さまが初めてだと思います。利発で控えめな印象を受けました」(渡邉さん)
佳子さまは、昨年5月以来、『日本ろうあ連盟』の非常勤嘱託職員として週3回のテレワークを続けられている。そのお姿は、天皇陛下の妹である黒田清子さんとも重なるようだ。
「清子さんは大学卒業後、『山階鳥類研究所』の非常勤研究助手として、13年ほど勤務されました。“非常勤”という立場に身を置かれたのは、内親王としての公務を優先させるため。結婚されるまでに国内で約270回、海外で8回にも及ぶご公務をこなされました」(宮内庁関係者)
それまで大学を卒業せずに降嫁するのが当たり前だった女性皇族において、清子さんは史上初めて“公務ができる内親王”となった。
「内親王の“先輩”にあたる清子さんを眞子さんや佳子さまは“ねぇね”と呼び慕い、ロールモデルとして尊敬してこられました。新しいスタイルの内親王をお育てになった美智子さまは、きちんとした“しつけ”と“お手本”の存在が、次世代の内親王に脈々と引き継がれることを、見越していらしたのだと思います」(渡邉さん、以下同)
美智子さまは、孫娘に対しても時に厳しくしつけられたという。幼い眞子さんや佳子さまが御所を訪問された、とある夏の夜のこと─、
「お庭で花火を楽しまれていたお孫さまたちに、美智子さまは、花火をする前に打ち水をすることや、花火に顔を近づけないことなどを口酸っぱく、念入りに注意されたそうです。大事な孫娘だからこそ、甘やかすことなく愛ある教育を施されたのです」
“皇室脱出”への願望は、眞子さん以上
佳子さまは、上皇ご夫妻について「学ぶことが多い」と、前出の成年会見で述べられた。さる宮内庁関係者は語る。
「佳子さまのめざましいご活躍ぶりに、美智子さまは目を細めていらっしゃるとお見受けします。それと同時に、結婚されてからも清子さんのように、“実家との絆”を大切にしてほしいとの期待を膨らませておられるに違いありません」
定期的に“里帰り”して、上皇ご夫妻を精神的に支えてこられた清子さん。皇室の方々の集まりにも、たびたび顔を出し、交流されてきた。
「'17年6月には、皇族や皇室出身者が代々務めることになっている伊勢神宮の『祭主』に就任されました。神嘗祭や新嘗祭といった神事のほか、今年4月に秋篠宮ご夫妻が挙行された“お伊勢参り”への奉仕など、祭主の活動は多岐にわたります」(宮内庁OB、以下同)
それまで29年間務めていた上皇さまの姉・池田厚子さんがご高齢となったことに伴い、清子さんがお役目を引き継がれた形。
「祭主は家を留守にする機会も多く、体力的な負担も大きい。いずれは清子さんも、その座をどなたかに引き渡すことになるでしょう」
かつては、眞子さんが祭主を引き継ぐのではないかとも囁かれていた。
「天皇家の長子である愛子さまはもちろんですが、悠仁さまの姉君にあたる佳子さまにも、“祭主を務める覚悟”を持ち続けてほしい。そう願う気持ちは清子さんも美智子さまも同じでしょう。ただ、佳子さまが抱く“皇室脱出”への願望は、眞子さん以上だとも報じられています。清子さんのように、この先も皇室に関わってくれるかどうか、美智子さまは気がかりなのでは……」
祖母が胸の奥に抱える“一抹の不安”を、佳子さまは払拭されるだろうか─。
渡邉みどり ジャーナリスト。文化学園大学客員教授。60年以上にわたり皇室を取材し、『イギリス王室 愛と裏切りの真実』(主婦と生活社)など著書多数