7月1日、テレビ朝日系列で放送された『タモリステーション』の第3回「タモリ、カーリングを勉強する。」。これまで高視聴率を記録してきただけに期待度は高かったが、待っていたのは“視聴率半減”という思わぬ結果だった。
「『タモリステーション』は今年の1月から不定期に放送されている特番で、初回はメジャーリーグのMVPに輝いた大谷翔平選手の活躍を分析し、15・9%という高視聴率を叩き出しました。3月には第2回としてウクライナでの戦争を“緊急生放送”で取り上げ、こちらも13・5%を記録。しかし今回のカーリング特集は世帯視聴率が7・0%と、大幅に落ち込んでしまったんです」(テレビ誌ライター)
北京五輪で日本史上初の銀メダルを獲得した女子チーム『ロコ・ソラーレ』を中心に、“カーリングの魅力を掘り下げる”と打ち出していた今回の放送。決勝では北京五輪期間最大の世帯視聴率29・2%を記録するなど、視聴者の興味関心は高かったはず。いったいなぜ視聴率が半減してしまったのか、テレビウォッチャーのかわむらあみりさんに話を聞いた。
「驚きましたね……2回とも高視聴率だっただけに、今回も10%は堅いと思っていたのですが。コロナの自粛ムードも収まってきて、金曜日の夜に飲みに行く人が増えているとはいえ、前番組の『ザワつく!金曜日』と後番組の『報道ステーション』は共に10%以上を記録していますから、時勢を理由にすることはできないでしょう。裏番組を見ても10%以上を記録している番組はありませんし、他局に視聴率を奪われた、という見方もできません」
フィーバーから4か月での特集
外的要因ではなく、番組内容そのものに原因があったと続ける。
「カーリング女子は確かに日本中にフィーバーを起こしましたが、あれから4か月がたって盛り上がりも落ち着いてきています。このタイミングで敢えて取り上げるというのは勇敢なチャレンジだったのかもしれませんが、数字を見ると“読みが外れた”と言わざるを得ないでしょう」(かわむらさん)
しかし今回は、タイミングだけでなく、番組構成も“特番”としては物足りない内容だった。
大谷翔平特集では、日本ハム時代の監督である栗山英樹氏や球界レジェンドの王貞治氏が大谷について分析。ウクライナの戦争を取り上げた際には、“ジャーナリズム色”が強く出ていたが……。
「これまでと比べて“バラエティー寄り”だったと感じましたね。ロコ・ソラーレの結成秘話や地元ロケなど、これまでほかのメディアで取り上げられていたような内容で、既視感を覚えた視聴者も多かったのではないでしょうか。カーリングという競技そのものについて徹底的に深掘りするというよりは、メンバーのキャラクター性に焦点を当てていたような気がします」(かわむらさん)
『タモステ』の打ち切りはあるのか
テレビ朝日会長の早河洋氏の肝入り企画としてスタートした『タモリステーション』。局の6月期の広告収入が急失速し、会長から送付されたと報じられた“檄文メール”には、
《ショッピング番組の拡大や、ドラマスペシャルをはじめ高収入が見込める各種の特番、『タモリステーション』、『バラバラ大作戦』の舞台化、あるいはパッケージセールスなどのビジネス展開》
とあったように、相当な熱意をもっていることがわかる。今回の失敗を受けて“打ち切り”もありえるのだろうか。
「視聴率半減という結果になってしまいましたが、とはいえこれは3回目の放送です。番組としてはまだまだ試行錯誤の段階にあるのでしょうし、これまで視聴率がよかったので今回限りで終了とはならないでしょう。次回は何をテーマに据えるのか、どのような切り口で取り上げるのか、楽しみに見ていきたいと思います」(かわむらさん)
視聴率の低下も“そだね~”と受け流せるか。