7月に入り、夏ドラマが続々スタート! 中でも“教師と生徒の禁断の恋”をテーマに、暑い夏をさらに熱く盛り上げてくれそうなのが『純愛ディソナンス』(7/14スタート、フジテレビ系、木曜22時)。謳い文句は“ドロドロエンターテインメント”で、早くも波乱尽くしの予感──。そこで、全国の20〜50代女性1000人に「ハマった教師と生徒の禁断の恋ドラマ」をアンケート。
1位『高校教師』(真田広之、桜井幸子)262票
1位に輝いたのは'93年放映の『高校教師』(TBS系)。高校教師の羽村(真田広之)と生徒の繭(桜井幸子)の禁断の恋に、親子間での性暴力どを描いた作品で、最高視聴率は33%。約30年前の作品ながら、圧倒的支持を集めた。
「見たこともない衝撃的な内容」(45歳、会社員)、「いろいろヤバくて、今となっては問題がありすぎて見ることのできないドラマ」(46歳、アルバイト)と、アンケートでもそのインパクトの強さを挙げる声多数。ドラマ解説者の木村隆志さんは、「『高校教師』により日本のドラマはひとつの転換期を迎えた」と分析する。
「かつて教師と生徒の恋は禁断というよりコメディーが主流で、例えば'70年の『おくさまは18歳』もそう。その後、バブル崩壊を経て、トレンディードラマが飽きられつつあるなか、あえてタブーに挑戦したのが『高校教師』で実験的な側面がありました」(木村さん)
脚本はヒットメーカー・野島伸司。『101回目のプロポーズ』('91年、フジテレビ系)をはじめ純愛モノで一時代を築くも、『高校教師』を機にシリアス路線へ。以降いじめや差別と社会の闇に切り込み、『人間・失格〜たとえばぼくが死んだら』('94年、TBS系)『未成年』('95年、TBS系)など問題作を発表していく。また桜井幸子も本作で認知を一気に高め、スター女優の道へ。
「野島伸司さんのドラマがドロドロ期に移行したのはこの作品以降のこと。単に教師と生徒という障害だけではなく、背景にさまざまな問題を描くことで視聴者を惹きつけていきました。二枚目の真田広之さんと無垢な美少女の桜井幸子さんという組み合わせもよく、ドラマに背徳感を与えた」(木村さん)
2位『中学聖日記』(有村架純、岡田健史)154票
2位は『中学聖日記』('18年、TBS系)。中学教師の聖(有村架純)は生徒の黒岩(岡田健史)と恋仲に。しかし婚約者の川合(町田啓太)や黒岩の母(夏川結衣)ら幾多の壁が2人の前に立ちふさがり……。
「現実味がありドキドキした」(30歳、アルバイト)、「主人公も脇役も切なさを抱えているのが伝わってきた」(42歳、専業主婦)。視聴率は1桁止まりだったものの、女性の共感を呼びランクイン。
「“聖”がセクシービデオを喚起させると揶揄され、放送開始時は損をした作品。実のところ非常に丁寧な作りで、主人公や周囲の人間の葛藤を無理なく紡いでいった。その結果、ドラマを見た人の満足度は高く、評価されました」(木村さん)
岡田健史はオーディションを経て本作で俳優デビュー。
アンケートでは中学生に見えないという意見も多々ありつつ、ピュアな魅力で視聴者の心をつかみブレイクを果たす。
「無名だった彼が演じながらどんどん成長していき、そこに視聴者も惹かれていった。ラストでは10歳上の先生と結ばれてもおかしくないくらいたくましくなり、物語に説得力を与えました」(木村さん)
3位『魔女の条件』(松嶋菜々子、滝沢秀明)124票
3位は『魔女の条件』('99年、TBS系)。松嶋菜々子と滝沢秀明が主演で話題を集めた。「主題歌も良かったし、滝沢くんが美しかった」(40歳、会社員)、「女性が年上というパターンが当時は新鮮だった」(40歳、専業主婦)
脚本は『家政婦のミタ』('11年、日本テレビ系)の遊川和彦。宇多田ヒカルの主題歌『First Love』もドラマを盛り上げ、最終回は29.5%と高視聴率を叩き出した。
「タイトルからしてかなりの確信犯だと思いますね。松嶋菜々子さんを魔女に見立て、ジャニーズの中でも超優等生のタッキーと恋愛をさせるという設定。ドラマの勝因は主演2人の強さもあります。彼らほど引きのある役者はめったにいませんから」(木村さん)
4位『大切なことはすべて君が教えてくれた』(三浦春馬さん、武井咲)45票
4位は『大切なことはすべて君が教えてくれた』('11年、フジテレビ系)。三浦春馬さん主演、生徒役は武井咲。「三浦春馬さんがカッコいい」(36歳、専業主婦)という意見多数。
「フジ月9の影響力がまだまだ大きかったころ。ミステリータッチでもあり、禁断の恋とは少し毛色が違う印象です。今見るとなかなかいい作品だけど、キャラの魅力が伝わりづらくインパクト不足だったかも」(木村さん)
5位『ストロベリー・オンザ・ショートケーキ』(石田ゆり子、窪塚洋介)14票
5位は『ストロベリー・オンザ・ショートケーキ』('01年、TBS系)。滝沢秀明主演の学園ドラマだ。「教師役の石田ゆり子と生徒役の窪塚洋介のやりとりにドキドキ」(52歳、会社員)というとおり、教師と生徒の恋愛要素も。
「清楚な石田ゆり子さんが生徒と恋愛しちゃうんだ、という意外性があった作品。窪塚洋介さんは先生が好きで2年留年するという強引な設定ながら、両者の魅力に視聴者も納得したことでしょう」(木村さん)
教師と生徒の恋愛ドラマはいわば王道ネタ。しかしかつてと違い、近年は禁断ムードが薄らいできた傾向に。
「93年の『高校教師』のころはまだ先生=聖職の時代。禁断の恋なんてさせちゃいけない、PTAが黙ってない、という雰囲気がありました。
だからこそドラマに背徳感が生まれましたが、現在では教師が生徒に……というニュースがあふれるように。そこを乗り越えるのが、今後のドラマの課題」(木村さん)
見る人に背徳感を感じさせることが重要
もともと恋愛モノで視聴者を惹きつけるには1つのセオリーがあると木村さんは言う。
「重要なのは見る人に背徳感を感じさせること。“周囲から猛反対を受ける”という障害はその方法の1つです。『中学聖日記』も周囲に反対させて禁断ムードを演出した。
でも、あまりやりすぎると今の視聴者は作為を感じてしまう。『純愛ディソナンス』は“ドロドロエンタメ”と謳い、作為を乗り越えエンタメと言い切っているから潔いですね」(木村さん)
中島裕翔が初の教師役に挑むことでも話題の『純愛ディソナンス』だが、その勝算は?
「中島さんの人気はもちろん、生徒役の吉川愛さんは子役出身で演技力があり、その期待感は強いです。ただ、それ以前に最近の恋愛ドラマはネットで盛り上がりつつ見てもらうという手法が主流。
純愛をベースに、思わずつぶやきたくなる要素を入れて、確信犯的に視聴者を楽しませていく。同枠で放映された『やんごとなき一族』も毎回SNSで盛り上がってトレンドランキングに食い込んだ。
今作品も狙うのはそこで、これは始まってからの勝負。今後の行方に注目しましょう」(木村さん)
【禁断の恋ドラマ ランキング】
1位『高校教師』262票
(1993年、TBS系/真田広之、桜井幸子)
2位『中学聖日記』154票
(2018年、TBS系/有村架純、岡田健史)
3位『魔女の条件』124票
(1999年、TBS系/松嶋菜々子、滝沢秀明)
4位『大切なことはすべて君が教えてくれた』45票
(2011年、フジテレビ系/三浦春馬、武井咲)
5位『ストロベリー・オンザ・ショートケーキ』14票
(2001年、TBS系/石田ゆり子、窪塚洋介)
6位以下には『First Love』(2002年、TBS系/渡部篤郎、深田恭子)、『高校教師』(2003年、TBS系/藤木直人、上戸彩)、『初めて恋をした日に読む話』(2019年、TBS系/深田恭子、永山絢斗、横浜流星)などがランクイン。アンケートは6月27日にFreeasyで全国の女性1000人を対象に実施。
(取材・文/小野寺悦子)