超人気YouTuber・HIKAKIN(ヒカキン・33)の顔をテレビ画面で見ない日はない。やたらとCMに出ているからだ。
「出前館」「ライフネット生命」「ソフトバンク」「アサヒビール『スーパードライ』」。YouTubeを見る習慣のない人でもHIKAKINのことは知っているだろう。
YouTuberがCM界に進出、企業側の“思惑”
CMに出演中のYouTuberはHIKAKINに限らない。はじめしゃちょー(29)はHIKAKINと「出前館」のCMで共演しているほか、「Yogibo(ヨギボー)」「富士急ハイランド」のCMにも出ている。
ヒカル(31)が率いる9人組YouTuberのNextStageはゲーム「ラグナドール 妖しき皇帝と終焉の夜叉姫」のCMに出演。竹脇まりな(32)はauのCMで松田翔太(36)と桐谷健太(42)、濱田岳(34)が演じる三太郎を相手にエクササイズを指導している。竹脇のYouTubeでのウリもエクササイズだ。
どうして人気YouTuberたちは次々とCMに起用されるのか? CM事情に詳しい芸能プロダクション代表に聞いたところ、「どれくらいの人たちに関心を持たれている人物なのかが分かるから」と解説してくれた。
例えばHIKAKINのチャンネル登録者数は約1080万人で登録者数ランキングでは国内3位。HIKAKINがこれだけの人に興味を持たれているのが分かる。
漠然と「人気がある」とか「好感度が高い」などと言われている人たちとは違う。YouTuberは世間の認知度や人気が登録者数によって目に見えるのである。
だから、企業としては起用しやすい。「CMに起用してみたら、思ったほど知名度がない人物だった」といったミスマッチが起こらない。
ちなみに、はじめしゃちょーのチャンネルの登録者数は約1020万人。芸能人で断トツの登録者数を誇る米津玄師(31)ですら約629万人だから半端じゃない人数だ。ヒカルは約476万人。竹脇は約328万人以上。企業は惹かれるはずである。
YouTuberのCM契約金は?
気になるのはCMの契約金。前出の芸能プロ代表はこう話す。
「契約金は相手の企業によってバラバラだが、HIKAKINなら1社当たり年間2000万円以上。ほかのYouTuberは同じく1000万円以上と見て間違いない」
安く感じるかも知れない。だが、米倉涼子(46)ら大物と呼ばれる芸能人すら実際の契約金は3000万円から5000万円程度。それ以上はあり得ない。そんなに宣伝費がかけられる企業など存在しない。契約金が1億円を超えるのは商品を世界にアピールするために大谷翔平(28)や大坂なおみ(24)らトップアスリートが起用されるときくらいである。
企業側は限りある宣伝予算を有効に使いたいので、芸能人をCMに起用するときもInstagramなどSNSのフォロワー数をキャスティングの参考にしている。YouTuberの登録者数を判断材料にするのと考え方は一緒だ。
Instagramのフォロワー数も参考に
インスタのフォロワー数約986万で国内女性芸能人トップの渡辺直美(34)のCMは「アサヒビール『アサヒFRUITZER Lemon&Lime』」「Google アプリ」「アディダスジャパン」「味の素『クックドゥ・香味ペースト』」「VISAカード」など。圧巻である。
昨年4月に生活拠点を米国に移したあとも、海外ブランドファッション通販「BUYMA(バイマ)」のCMが新たに始まった。やはり企業にとって数多くのフォロワーは魅力なのだ。
フォロワー数約794万人で女性芸能人2位はローラ(32)。所属芸能プロと軋轢(あつれき)があったため、2020年にフリーになり、活動拠点も米国ロサンゼルスに移した。そのせいか、テレビ番組への登場は極端に少ないが、CMは絶えない。「Boucheron(ブシュロン)」「エステティックTBC」「DMM Bitcoin」などに出演している。フォロワー離れが起こらない限り、安泰に違いない。
フォロワー数約687万人で女性芸能人3位の水原希子(31)もテレビ番組出演は多くないものの、CMは多い。「パナソニック『ヘアードライヤー ナノケア』」「LUX」「マース ジャパン『BE-KIND(R)』」などに起用されている。イメージの良いCMが目立つ。スイスの高級時計「OMEGA」のアンバサダーも務めている。
CM界で引っ張りダコの女性芸能人はことごとくインスタのフォロワーランキングで上位だ。
「JCBデビット」「味の素『クノール カップスープ』」「HOYA『アイシティ』」など7社のCMに出演している永野芽依(22)はインスタのフォロワー数ランキングで女性芸能人※の6位に位置する。(※国内を拠点に活動している女性芸能人に限る)
今田美桜(25)は8位。やっぱりCMは多く、「P&G『パンテーン エクストラダメージケア シャンプー』」「第一三共ヘルスケア『トラフルBBチャージa』」「第一生命」など11社に起用されている。
変わってきたCMキャスティング
かつて企業が芸能人をCMに起用する際の物差しはビデオリサーチなどが実施する好感度調査が中心だった。SNSの普及が十分とは言えなかった2010年ごろまではそれが続いた。今も好感度調査は使われているものの、SNSのフォロワー数を優先して考える企業が増えているとされている。
例外は芦田愛菜(18)。ニホンモニター社の調べによると、今年1月から6月までに「ECC」「Uber Japan」「リクルート『タウンワーク』」など15社のCMに起用され、上半期のCM女王になったが、インスタのランキングは圏外。SNSは一切やってないからだ。現在、高校3年生。SNSデビューは卒業後と考えているのではないか。
インスタのフォロワー数は国内女性芸能人2位ながら、不思議と現在はCMがないのがタレントの森咲智美(29)。アイドルグループ「OS☆U」の元メンバーで人気者だが、セクシーなところを売り物にしており、「日本一エロすぎるグラドル」の異名を持つから企業側に敬遠されたのではないか。ただし、支持は厚いので、今後は分からない。
2020年に開設したYouTubeチャンネル「エガちゃんねる」が登録者数300万人を突破した江頭2:50(57)にもCMの話が次々と舞い込んでいる。
今年は「代々木アニメーション学院」「クーポンアプリ『みせとく!』」(広島県限定)「赤城乳業『ガツン、とみかん』」(ウェブ限定)のCMに出演。YouTuberになるまでの10年間はCMがほとんどなかったのだから、大躍進である。
「SNSはやらない」と決めている芸能人もいる。けれどCM出演が視野にあるのなら、SNSはやったほうがいいようだ。