「信者になった方々の財産は丸裸にされている」
「すべての財産は神様にすべて捧げなさいというのが残念ながら統一教会の教えですからその結果、家庭崩壊になってしまう」
7月12日に開かれた会見で全国霊感商法対策弁護士連絡会の山口広弁護士が宗教団体「世界平和統一家庭連合(旧統一教会)」についてこう非難した。安倍晋三元首相の銃撃事件を起こした山上徹也容疑者が同教団に恨みを持っていたことが明らかになってから、旧統一教会を巡る報道が後を絶たない。
「山上容疑者は調べに対し、“母親が多額の献金をして破産し、家庭生活がめちゃくちゃになった。(旧統一教会を)絶対成敗しないといけないと思い、教団のトップを狙ったが接触が難しかった”と供述しています。山上容疑者は安倍氏が教団に映像でメッセージを送っているのを見て“繋がりがあると思って狙った”と述べています」(全国紙記者)
90年代後半、“聖本”は貢献度の高い信者に贈呈された
これにつけて旧統一教会は11日に緊急で会見を開き、山上容疑者が教団の信者ではないと主張。母親は現在も信者であると公表した。「献金は本人の信条に基づく」としたうえで、トラブルの存在は否定した。その翌日に行われたのが冒頭の会見だ。現在も聖本や印鑑、壺などの霊感商法による被害が続いていることについても言及した。去年だけで3億円以上もの被害相談が寄せられたとしている。また、山口弁護士はマスコミのカメラを前に同教団の“聖本”を掲げて、このように声を張り上げた
「これが単なる本なんですが、これを統一教会はいくらで信者に買わせるか。3000万円です。こんな普通の本が3000万円です。常識外れ」
すでに報道されているところによれば、山上容疑者の母は同教団に対し1億円近くの献金をしており、1999年に祖父の家を売却、2002年には自己破産をしたとある。同弁護団は、会見で旧統一協会による霊感商法の一つがこの聖本の販売だと主張している。
「3000万円と言われている聖本は90年代後半に日本に出回ったもので、教祖の文鮮明(ムン・ソンミョン)のサイン入りの教祖の教えが書かれた説教集だと言います。
教団はとあるメディアの取材に対して“この聖本については売り物ではない、貢献度の高い信者に贈呈するもの”と回答しています」(宗教問題に詳しいジャーナリスト)
──いま、この“聖本”がフリマアプリの『メルカリ』で売りに出されて話題になっているというのだ。
半年以上前に売りに出された『統一教会 天聖経』と題されたこの商品、説明文には《母が他界した為出品します》との文言が添えられている。
《母は熱心な統一教会信者でツボ、本、天福箱など殆どのものは有ります。私は入信してないので、価値のわかる方が持っていた方が良いと思い出品しました。初版発行品です。聖本など3000万勝利して譲り受けた文鮮明様直々のサイン入りのものもございますのでその際は金額を添えてください》
設定価格はなんと“430万円”。
統一教会に問い合わせてみたところ……
「もともとは350万円で売りに出されていたのですが、当時から高額ということでなかなか買い手がついていなかった。しかし、会見で“3000万円聖本”が話題になってからは430万円に価格が引き上げられています。商品ページには《購入を検討しています。天聖経、聖本、天一国経典がついているのですか?》との購入希望者と思しきユーザーのコメントもあれば《喉から手が出るほど欲しいです!信者になりたいです!よろしくお願いします! 300円でお譲りください》といった、野次馬のコメントも多数寄せられており、コメント欄は荒れた状態です」(ウェブメディア編集者)
山上容疑者の一件でフィーチャーされてしまった聖本。ほかのフリマアプリも含めて同書の使用が異なるバージョンや壺などが売りに出されていることが複数確認できる。
旧統一教会の広報に今回のフリマアプリ出品について問い合わせてみると、「初めて確認しました」としたうえで、以下のようなコメントを寄せた。
「貢献のあった信者さんの出品ということで、売りに出されている姿を見るのは悲しいです」
安倍元首相を銃撃した山上容疑者が出した旧“統一教会”の名前──。今後も余波は続きそうだ。