フジテレビの三宅正治アナウンサー

 目くじらを立てるほどのものではないと、おしかりを受けるかもしれないが、やはり見逃すこと、聞き逃すことはできない。

 フジテレビ系朝の情報番組『めざましテレビ』の中、ベテランアナウンサーによる茶化した感じが、やはり今の時代にはそぐわないと受け止めた。

最高の笑顔で佐々木朗希投手を見つめ返す松川捕手

 7月13日の放送。ニュースのネタのひとつとして、女性誌『an・an』(マガジンハウス)の7月20日発売号が取り上げられた。

 表紙を飾るのは、プロ野球千葉ロッテマリーンズの完全試合バッテリー、佐々木朗希投手と松川虎生捕手。背中合わせに立った2人の横には、「ふたりだから、強くなれる。」というコピーがレイアウトされている。

 テーマは「バディの化学反応」で、8ページにわたるインタビューに貴重な写真も掲載されているという。スポーツ専門紙ではない一般の雑誌に2人して登場するのも今回が初めて。

 番組では2人の表紙を紹介すると同時に、向かい合っている写真には、こんなナレーションがかぶさった。

「ちょっと照れた笑顔を見せる佐々木朗希投手の視線の先には、最高の笑顔で佐々木投手を見つめ返す松川選手」

 その後、2人の実績紹介の映像が挟まり「バディの化学反応に期待しましょう」とナレーションが閉められた直後に、信じられない発言が飛び出したのである。

「お二人が笑顔で見つめあう写真は、付き合ってんじゃねえかっていう(笑)。仲よさそうなね」

 男性2人が見つめあう写真について、「付き合ってる」と決めつける認識と、それを「付き合ってんじゃねえか」と砕けた表現でアナウンスするセンス。茶化したとも受け取られても仕方ない。

『めざましテレビ』で“問題発言”をした三宅アナ

LGBTQの時代に合わせるべき

 発言の主は、番組のメインキャスターを務めるベテランの三宅正治アナウンサー(59)。三宅発言を引き取った同じくスポーツキャスターの酒主義久アナ(35)が慌てた感じで「僕も欲しいです」と収めたが、言葉は元には戻らない。

 台本にはないフリーの発言に、アナウンサーやキャスターは本音を漏らしてしまったり、意識的ににおわせたりする。普段は注意していることでも、思わず無意識に口をついてしまうことは、その人物の考え方なりがむき身になる瞬間だ。

 フジテレビ関係者に伝えると「社内で問題視された、という話は聞いていない」というが、アナウンサーの内面の感覚を、LGBTQの時代に合わせバージョンアップをしておかないと、いつ、とんでもない発言をしてしまうかわからない。59歳の三宅アナに、そんな対処ができていたかどうか。疑いたくもなる。

 メディアの発言者は、誤解を受けることのないように細心の注意を払った発信を心がける必要がありそうだ。

〈取材・文/薮入うらら〉