トップユーチューバー・ヒカキン(HIKAKIN)が珍しく炎上に見舞われている。事の発端は7月12日、自身のYouTubeチャンネル『HikakinGames』に投稿した動画。
この日、人気オンラインゲーム『Apex Legends(エーペックスレジェンズ、以下Apex)』の実況プレイを配信したのだが……。
「Apexはプレイヤー同士で3人のチームを組んで、フィールド内にいる他チームとのバトルロワイヤル形式の対戦ゲームになります。チームマッチングはランダムで編成され、勝ち抜くにはチームの協力プレイが不可欠。でも、当然ながら上級者や初心者、またプレイスタイルが合わない人もいるわけで(苦笑)」(ゲーム専門誌・メディア担当者)
ヒカキンも例外なく、ランダムマッチされたプレイヤー2人とチームになったのだが、のっけから雲行きが怪しい。決戦に備えて、フィールド内に落ちている武器やアイテムを集めるヒカキンに対し、なぜかチームメイトの1人であるプレイヤー「K(編集部伏字)」から攻撃されたのだ。思わぬ“妨害行為”に、
《何やってんの?こいつ、ウッザ!こいつとやりたくねぇわ、オレ。お前やべえわ。苦手だわ》とイラッとするヒカキン。
その後も継続される攻撃に、《この怒りを敵にぶつける。それが大人だろ。今のは子どもだ、許してやれ》と自分に言い聞かせながらゲームを進めるも、チームワークが成り立つはずもなくあっけなく全滅。
1度は我に返るも怒り収まらず
すると怒りの感情を発散させようとしたのか、無言で両手をパンっと叩きつつもプレイデータを振り返ると、Kが自分よりも点数を稼いでいたことでさらに機嫌を損ねて、《ウゼェ〜》《むかつくわ〜》を連発。
ここでハッとした様子で口元に手を当てて、《すいません、口が悪くて》と視聴者に謝ったものの、再びゲーム画面に目を戻すと今度は舌打ち。《こいや、おい!お前、こいよ》とKを煽り続け、ついには《こいつです》とKのプロフィール情報をクリックして、動画上に晒してしまったのだ。
YouTube界のパイオニア的存在として絶大な支持を得るヒカキン。同じトップユーチューバーのヒカルやラファエル、シバターら“炎上軍団”とは一線を引き、またコロナ禍での大人数飲み会を開くことなく、また女性がらみのスキャンダル、事件を起こしたこともない。そんな炎上とは無縁のスタイルを貫いていることから、時に“聖人”としてファンから崇められている。
それだけに、普段は見せたこともないような暴言と態度に、動画コメント欄では擁護する声がある一方で、《こんなヒカキン見たことない》《想像以上に器小さくて草》《本性出過ぎて》などの批判的な声も多く寄せられている。
しかも、そもそもの仲間割れの“発端はヒカキン”と見るコメントも散見された。前出のゲーム専門誌・メディア担当者が解説する。
「動画を見返してみると、確かにプレイ開始早々に“K”さんはフィールド上にある武器を“ほしい”とチャット機能で意思表示し、先に“ピン(シグナル)”を立てていますね。おそらくヒカキンさんはこの合図を見逃していたのでしょう。Kさんが確保していた武器を後から横取りしてしまった形で、つまりは“マナー違反”をしてしまったのです」
先にApexの“暗黙ルール”を破ったのはヒカキンであり、プレイヤー・Kからすれば逆に妨害をされたと思ったのだろう。
ゲーム配信で不適切発言をする背景
この方々からの指摘を理解したのか、それとも炎上していることに焦ったのか、7月19日になって《ランパートのパッシブも、あの場でディボ取りたがってたのも全くわかりませんでした K(編集部、伏字)さん、申し訳ありませんでした》とコメント欄にて謝罪をしたヒカキンだった。
「不適切発言で炎上したプロゲーマーと通じる部分があると思います」とは先のメディア担当者。近年、スポーツ競技として注目を集める『eスポーツ』だが、そのプロゲーマーたちが動画配信中に不用意な発言をして炎上を招く事態が相次いだ。
「身長170cm以下の男性は人権がない」との旨の発言をした女性ゲーマーは所属チームから契約解除され、プレイ中のチームメイトに対して「お前障がい者やろ、マジで」と罵った男性ゲーマーは活動停止、報酬カットの処分を受けている。
「ゲームプレイ動画配信は、新規ユーチューバーにとってもお手軽なコンテンツと見られがちですが、実はとても難しく危うい面もあるんです。特に瞬時の判断力、集中力を要するゲーム、またApexのようなオンライン対戦ゲームは熱中しすぎて配信していること自体を忘れてしまいがち。独り言のように思わぬ言葉が口から出てくることもあるでしょう」(前出・メディア担当者、以下同)
社会経験の乏しいプレイヤーも
自宅でゲームをしている時に思い通りのプレイができずに1人、「クッソ、ふざけんなよ」など口からこぼれたり、また友人との対戦ゲームで勝てない、また何かしらの妨害をされた時には喧嘩に発展した経験もあるかもしれない。
特に相手の素性が見えない、関係性の薄い相手とプレイするオンラインゲームの場合はそれが顕著に現れ、また“荒らし”と呼ばれるワザと妨害・悪質行為を繰り返すプレイヤーとも遭遇することから、いつも以上に攻撃的になりやすい面もあるのだとか。
「また“人権ない”発言も、ゲーマー界の隠語で“プレイする資格がない”という意味も含まれるのですが、一般の目にも触れる動画配信にも関わらず、ゲーマー同士の身内ノリで会話をしてしまったのかな、と。それに煽り煽られも多い世界ですからね。
もちろん、アスリートのようにストイックに打ち込んでいるプロもいますが、社会的経験も乏しく、独特の閉鎖的な世界でプレイしていたのが、ゲームが上手いことでいつの間にかチヤホヤされる存在となって、その一方でプレイ中に暴言が多かったり、人間的にガッカリされるゲーマーもいるということ。
もしかしたら、動画配信を生業にしているユーチューバーにもそういう人はいるのかもしれませんね」
ヒカキンも“聖人”ではなく、感情ある1人の人間だったということで。