1987年に結婚し、今年結婚35周年を迎えた歌手の研ナオコさんと夫の野口典夫さん。コロナ禍に始めたYouTubeでの2人のほのぼのとしたやり取りが、今、「理想の夫婦」と反響を呼んでいる。夫の立場である野口さんが心がけている、夫婦で楽しく暮らすためのコツとは?
夫婦ふたり、ケンカや言い合いはない
「お母さん(研さん)は2人で家にいるとき、2~3時間平気でテレビを観ていたり、沈黙していられるタイプ。僕は反対で、何かしていたいんですよね。2人でいると、つい間をもたせたくて次々と冗談を言ったり、よくふざけたりします。10個ぐらい冗談を言って3つ笑ってもらえたら上出来かな。たまに『お父さんうるさい』って言われちゃうけど(笑)」
と、野口さんは2人の性格の違いを教えてくれた。
話しかけるのは、研さんの空気を読むという意味合いもあるという。
「お母さんがしゃべらないのは機嫌が悪いとかではなくて、何かに集中していたり、単にぼーっとしていることもある。ときには『今はひとりになりたいんだな』と思うこともあるので、そういうときは干渉しないようにします」(野口さん、以下同)
以前は子育てについて意見が食い違うこともあったが、夫婦2人暮らしになってからはケンカや言い合いをしたことはないそうだ。
「ただ2年に1回ぐらいのペースで、お母さんの中で『何か違う』と思うことはあるみたいですね(笑)。そんなときは何も言わずに寝室にこもって、2日後ぐらいにどんな違和感があったかを具体的に話してくれます。だからお互い冷静に話し合える。僕も怒ったり、感情をそのまま人にぶつけることはしません。それはどんな人間関係でもよくないことだと思うんです。そこはお互い似ているかもしれませんね」
摘出手術を受けたふたりの食事ルール
現在は研さんが所属する事務所の代表を務めている野口さん。2人とも忙しく、家事については結婚したときから自然にどちらか手が空いている方がやるようになったそう。
「子どもが巣立ってからは僕が料理をすることが多いですね。でも、食後に仕事の電話がかかってきたりすると、お母さんが食器を片づけてくれます。洗濯物も溜まったことに気づいたら方がやります。僕も結婚前はひとり暮らしをしていて家事はひと通りできたし、家のことをするのは嫌いじゃない。若い頃は厨房でアルバイトをしていたこともあるんで」
研さんは何を食べたいと言うことはほとんどなく、メニューは野口さんが決めている。
「お母さんが口にするときは絶対食べたいときなので、それに合わせて作ります。僕は50歳の時に大腸がんで、お母さんは胆のう炎で、それぞれ摘出手術を受けているので、あまりガツガツと量は食べないんですが」
朝ごはんは基本的に一緒に食べるのが習慣。食卓がコミュニケーションの場になっているようだ。
真面目だから、何をやっても面白い研さん
「お母さんはオンオフの切り替えがほとんどない。なので、僕もお母さんに対して『事務所の社長』と『夫』との切り替えをする必要がありません。有名なプロデューサーでもヘアメイクさんでも態度を変えないのがすごいですよね」
芸能界の大御所でもある研さんだが、どんなときも自然体で飾らない。だから仕事で一緒にいてもラクだし、2人でいれば楽しいと話す。
「家を建てて20何年経っているのですが、テラスの花は手入れをするのに、興味がない裏庭には1回しか行ったことがなかったり。前から何をやっても面白い人だなと思っていたけど、コロナ禍で時間ができてYouTubeをやるようになって改めて思いました」
YouTubeでは特に2人仲の良さがうかがえるやりとりが人気。野口さんは会話ではお互いの“間”を測ってほどよい距離感を保つようにしていると話す。
「お母さんは実はすごく気をつかうし、真面目に物事を考える人。結婚してからの2年間は僕に対してすごい気を使ってるな、と感じていました。全く気を使わないことはできないでしょうが、どちらかが遠慮するのではなく、相談してお互いが納得できる部分を探っています。お母さんにとって安心できる存在になれたらうれしいですね」
研さんが在籍する芸能事務所「ケンズファミリー」の代表を務める。現在62歳。ブログ「ナオコの旦那」(https://ameblo.jp/guchino1020/)も人気