楽しいはずのバーベキューがまさかの…

 BBQシーズンになると毎年、爆音で音楽をかけたり、散々食い散らかしてゴミも炭もそのままという、ぶっ飛んだ迷惑行為の被害報告も続々と寄せられます。都内の河川敷で家族でBBQをしていた早川るい(仮名・36歳)さんも、あるグループの怒涛の迷惑行為を目撃したそうです。

当記事は『女子SPA!』(運営:扶桑社)の提供記事です

まず登場からすごいんです。深夜のクラブで流れているようなテンポの早い音楽をガンガンかけて、車の窓からはビールやタバコを持った手を出して、『うぇーーーーーーーい!』と、大声で叫びながら登場。幼稚園や小学校低学年くらいの子どもも、大人と一緒に窓から身を乗り出していて、『落ちる落ちる!』ってこちらが慌てちゃうくらいでした。そんな一家が車三台、三家族で、平和だったBBQ場に“乱入”してきたんですよ。思わず、ええ……ってどん引きしちゃいました

 登場からかなりのインパクトを与えたこの三家族ですが、もちろんそれだけでは終わりません。

「大声で喋りながらそれぞれの車の荷物をおろしていたのですが、『誰がBBQコンロ持ってきたのー!?』『は? 〇〇さんちが持ってきてくれるんじゃなかったの?』『えー、てっきり言い出しっぺが用意してくれるんだと思ってた』って、コンロすら誰も用意してないんですよ。全員が人任せ」

カオスな状況のなか全員飲み出して

それだけじゃなくて、お肉とか野菜もそう。三家族10人以上いるのに、全員持ってきたのがウィンナーや野菜、フランクフルトや焼きそばなど安い食材だけ。コンロは一人が急いで近所のホームセンターに簡易的なものを買いに行ってましたが、『誰かが肉を持ってくると思ってた』『肉は高いから誰かにお願いしちゃおって(笑)』って三家族の大人たちが、不満そうにブツブツ文句を言っているんですよ。なにこのカオスな状況!? って、めちゃくちゃ突っ込みたかったです

 まさにセコくてケチな“セコケチ家族大集合!”ですね。常識的な価値観の家族がいたらきっとすべてを押し付けられて犠牲になっていたかも……。

 肉なし、魚介類なしのBBQが始まり、さらに音楽は大音量で鳴りまくり。周囲の迷惑をかえりみず、セコケチ三家族はどんどん盛りあがっていきました。

「もうどうしても気になって見ちゃうじゃないですか。そうしたら、大人たち全員がストロング系のチューハイ(飲みやすいがアルコール度数が高いお酒)をガブガブと浴びるように飲んでいるんですよ。……え? 全員飲んでるじゃん。誰が運転するの? って

ズラリと並ぶストロング系飲料

 その間、放置された子どもたちはどうしていたんでしょうか?

子どもたちは好き勝手に遊んで、川に入ったり、ほかにBBQをしている家族に乱入して『お腹すいたー!』ってご飯をもらったり、何でもありの状態でした。うちにもその三家族の子どもたちが4人も一気に来て、『なんかちょうだい!』『お肉!』って。申し訳ないけど、じっくり作って楽しみにしていたローストビーフはそっと隠して、仕方ないので保冷剤代わりのアイスをあげました。それでも親たちはお礼どころか、一切こちらを見ることすらありませんでした」

 うわあ……。酒だけはすべての家族が大量に用意していたのですね。子どもたちの食事よりも飲み優先とは。

「トイレ行くのめんどくせーからここで」

 セコケチ三家族の食事風景もなかなかのインパクトだったとか。

彼らの持ってきた食材はやはり足りなかったようで、大人たちや子供たちがそれぞれお互いに『一口ちょうだい!』と勝手に人の物をバクバク食べ合って、奪い合っていました。

『〇〇ちゃんは太ってるんだからダイエットしなよ!』とか、『食べてあげるよ!』って、ドロ沼の食料争奪戦が……(笑)。大人も子どもも一緒になってですよ?『一口ちょうだい!』『あー! 勝手に盗んだ! じゃあ二口もらうからね』『三口よこせよ!』って、もう笑っちゃいけないけど、やってることがぶっ飛びすぎてコント状態でした」

 なにがあっても、絶対に関わりたくない家族ですね……。

ほかにも、大人の男性も子どもも川でそのまま立ちション(立ったままおしっこ)をしたときは、思わずやめてーーーーーーー!!! と叫びたくなりました。しかも大人が『トイレ行くのめんどくせーから、ここでやっちゃえよ!』って子どもたちを誘っていたんです。いや、誘うなよ! うち、下流にいるから! しかも今まさに子どもが川で遊んでるのに。

 でも注意したら逆上して何を言われるか怖かったので、周りの家族は全員シーンとしていて。みんな絡まれたくないから、どんどんテーブルやコンロを遠くに持って行って、全員ゆっくりと後退していって(笑)。一部始終を私と見ていた中学生の息子が、ぽつりと『触らぬバカにたたりなしだね……』って。ほんとそれ、まさにそれ」

 そしてセコケチ三家族の周りにほとんど人がいなくなり、やっと片付けをして帰るとおもいきや……。

大騒ぎをしていたのに、あっという間にそれぞれの車で解散したんです。『車でいなくなったけど、飲酒運転じゃないの!?』って呆れました…。私たちが気づいてないだけで、飲んでない人もいたのかもしれませんが……。

 片づけの手際だけはめっちゃ早いなと思っていたら、まさかのコンロに炭がそのまま! しかもまだ消火していないし、真っ赤なんですよ。小さめの簡易コンロは中の炭が河原にバラまかれていて、こちらは申し訳程度に水がかけられていたけど、一部はジュクジュクと燃えていて……。ヘタすればボヤ騒ぎだってあるし、なにより子どもたちや動物が触って大やけどしかねません。本当に、もう二度とBBQをやらないでほしい」

 昨年の2021年も東京都大田区の多摩川の河川敷で、「BBQ後に燃えたままのコンロや炭を放置されていた」とTwitterに画像が投稿されて話題になりました。

 毎年うんざりするほど絶えない、BBQの迷惑行為。自分たちさえ楽しければそれでいいと大騒ぎする大人たちを見て、子どもたちは何を思うのでしょうか。

 BBQの文化の普及と啓蒙を目指す活動をしている「日本バーベキュー協会」は、安全に楽しむための「バーべ九則」を提案しています。その中には「子供相客(あいきゃく)に心せよ」「飲んだら運転しない」「来た時よりも美しく」とあるのですが、セコケチ三家族は100%知らないことでしょう。

 マナーを守ってこそ、BBQを最後まで楽しめるというもの。それでこそ、極上の夏の思い出になるはずです。

<取材・文 赤山ひかる>