「ふたりはラブラブで、手を繋いで買い物に出かける姿をよく見かけましたよ。女性はほとんどスッピンだったからか、40歳も歳の差があるようには見えなかった」
と同じアパートの住民は突然の出来事に驚いていた。
埼玉県警大宮署は9日、同県さいたま市北区のアルバイト・内田芳夫容疑者が自宅アパート内で、交際していた女性Aさん(30)に8日から9日にかけて暴行を加えたとして、傷害の疑いで逮捕した。
「容疑者は就寝中のAさんの顔面などを手拳で、両足をゴルフクラブで複数回、殴打した。容疑者がその時酒を飲んでいたのかはまだ不明だが、暴行後にそのまま寝てしまった。翌朝になってAさんが起きてこないことから、事の重大さに気づいた容疑者が慌てて119番通報。救急車が到着したときには、すでにAさんは亡くなっていました」(全国紙社会部記者)
仲良しだった“年の差”カップルにいったい何があったというのか。
ふたりはおよそ3年前に交際を始め、同居していたと報道されている。40歳という年齢差があるものの、ふたりとも結婚を望んでいたが、
「内田さんの90代になる母親が反対していたみたいです。“歳の差がありすぎるし、彼女には子どもがいて、前夫とちゃんと別れているかどうかもわからないから”って」(同アパートに住む主婦)
内田容疑者は幼稚園とスイミングスクールの送迎バスの運転手を掛け持ちするほどの働き者だったという。
「内田さんは約8年前からこのアパートに住んでいたけど、彼女と会うまではずっと独身。口数が少なく、穏やかな人でね。今でもあんなことをするような人とは思えないよ」(同・主婦)
容疑者のアパートは築40年で、間取りは2DK、家賃月5万円だった。そこにAさんが転がり込んできたという。
「彼女もおとなしい人で、こちらから話しかけないと話さない人でね。昼間、内田さんが働いている間は家でお酒を飲んでいたみたい。内田さんも酒好きだから、いつも大量のビールの空き缶がゴミに出ていた」(同・主婦、以下同)
別の住民からはこんな話も。
もしかしたら酔った勢いでカッとなって…
「内田さんが“Aさんはずっと家にいるのに家事を全くしない”と愚痴っていました。もしかしたら酔った勢いでカッとなって彼女を殴ってしまったのかもね……」
事件の真相を知るべく、まずは容疑者の母親を訪ねた。するとドア越しに、
「事情がまったくわかりません。相手の方のことも何もわからないので……」
と応じただけだった。
そこで、亡くなったAさんの母親を訪ねた。60代の母親は、中学生になるAさんの息子と団地暮らしをしていた。母親は、Aさんの遺影を見つめながら、
「写真が全然見つからなくて、18歳のころのものなんですが、かわいいでしょ? 私にとっては、自慢の娘でした」
と、悲しげな顔で微笑んだ。そして、本誌にふたりの関係をすべて打ち明けてくれた。
「ウッちゃん(内田容疑者)と同居していたと報道されていますが、違います。この団地で私と孫(Aさんの子ども)と3人で暮らしていたのです。ときどきウッチャンのアパートへ通っていた。彼が車で送り迎えしてくれてね。そのまま2、3日は帰ってこないこともありましたけど」(Aさんの母親、以下同)
母親は内田容疑者のことを“ウッちゃん”という愛称で呼ぶほど親しい間柄だった。
「ウッちゃんは、もともとは私の30年来の知り合い。あの子が幼いころに離婚した夫の友人なんです」
前述した通り、ふたりは3年前から付き合い出した。
「でも私も結婚には反対でした。やはり歳の差がありすぎましたから」
娘は21歳からアルコール依存症だった
容疑者のAさんに対する暴行については、いまさら恨み言を並べてもわが子は返ってこないと言いながらも、
「やっぱりウッちゃんを絶対に許せない! 娘は21歳のころからアルコール依存症だったんです。だから、肝臓や腎臓も悪くて、薬も服用していた。普通の生活ができないことをウッちゃんも知っていたのに……あんな暴力を振るっていたなんて理解できないし、酷すぎる」
Aさんは中学校を卒業後、派遣会社などで働いていた。その後、25歳年上の男性と結婚し、17歳で出産したという。
「だけど、前夫とは5年ほどで離婚。ウッちゃんもそうですが、娘はずっと年上の男性が好きなんです。あの子の物心がつかないうちに、私は主人と別れてしまった。それ以来、母一人、子一人で生活してきた。親子ほど離れた男性に惹かれるのは、“父親の愛”が足りなかったからかもしれないですね」
母親を失った孫が不憫でならないという。
残された息子は部屋に籠もって…
「中学生の男の子ですから、私の前では強がって、悲しい顔を見せませんが、ときおり部屋に籠もってじっと考え込んでいます。娘は料理がすごく上手で、手料理を私や孫によく作ってくれました。うちでは優しい、いい母親だったんですよ」
今後、内田容疑者の容疑が、傷害だけでとどまるか否かが最大の焦点となる、と捜査関係者。
「死因は、いまのところ不詳です。容疑者による暴力が原因で死亡したのか、それともAさんの病気などが原因で死亡したのかが容疑が確定するポイントになる。現状は傷害の容疑だが、前者であれば、“傷害致死”となって罪は重くなる」
2年ほど前、ちょっとしたトラブルが起きていた。Aさんが同アパートの住民にSOSを求めたことがあったのだ。
「急いで救急車を呼んであげたんだけど、Aさんはお腹がパンパンに膨れあがっていた。さらには“部屋の中を金魚がいっぱい泳いでいる”などのような妄言もしていて……。何かの病気なんだろうなとは思っていました。内田さんは“うちのはおかしいから”と口癖のように言っていましたね」(前出・アパートの住民)
わずか30年しか生きることができず、その間も苦労が絶えなかったAさん。短いながらも懸命に生き抜いた彼女の人生と遺族に報いるためにも、徹底した捜査が待ち望まれる。