新型コロナウイルスの流行「第7波」が急拡大し、全国での感染者数が連日のように過去最多を記録。スポーツ界にも直撃している。とりわけ、プロ野球は深刻だ。
「7月以降、12球団の選手や監督、コーチ、スタッフを合わせて230人(7月22日現在)の感染が確認されています。特に巨人では原監督をはじめ、73人が感染。1軍の試合に出場可能な支配下登録の選手69人中37人が陽性となり、チーム編成が困難なため、7月22日から24日の試合が中止になりました」(スポーツ紙記者)
《夜遊びしすぎでしょ》という厳しい声も
SNSでは、《陽性者73人って、対策してたのか》《管理体制に疑問をもってしまう》《夜遊びしすぎでしょ》といった球団に対して厳しいコメントも見られたが、実情はどうなのか。
プロ野球はどの球団も育成選手含めて70人以上の選手を抱え、監督やコーチ、スタッフまで含めると1チームに関わる人数は100人を優に超える。だからこそ、できる限りの感染対策は行ってきたはずだ。日本野球機構(NPB)の『新型コロナウイルス感染予防ガイドライン』には、起床時や球場出発前に検温を行い、シャワーやロッカールームも時間差利用するなど可能な限り濃厚接触を避けるようにといった対策が記載されている。
「球団によって異なりますが、外食もチーム内のメンバーのみで時間や人数を限るなど、完全に禁止していた時期に比べれば緩くはなっていますが、しっかりと感染対策を心がけています。多くの感染者が出た巨人の山口オーナーは“1軍と2軍で一気に感染者が増えてしまうことは想定していなかった”と頭を抱えていました」(前出スポーツ紙記者、以下同)
対策しているはずの野球界でこれほどまでに感染者が増えている原因はどこにあるのか。
「定期的にスクリーニング検査を行ったり、チーム内に1人でも陽性が確認されたら、全員が検査を受けたりして、検査する母数がそもそも多いので、無症状でも陽性判定となる人も出てきます。“症状がないんだから、検査しなかったらわからないのに”と漏らす球界関係者もいました」
ほかにも野球だから蔓延する理由があるという。
寮生活のような共同生活の感染リスクも
「他のスポーツと比較して試合数が多かったり、試合時間が長いことも一因として挙げられますが、若手選手は1軍、2軍関係なく寮で生活しているというのも影響していると思います。巨人のケースでも、最初は2軍の選手が陽性判定を受け、その後に同じ寮で生活している1軍の選手も感染が確認され、そこからどんどん陽性者が出る事態になりました。過去にも今年1月に自主トレをしていた選手内で感染が広まるケースや、2月に行われた阪神の2軍の春季キャンプで感染者が続出し、途中で打ち切りとなったこともありました。どんなに気を付けていても、共同生活では感染拡大のリスクはあると思います」
たしかに、部屋制で共同生活をする大相撲でも、新型コロナの影響で名古屋場所を172人(7月22日現在)もの力士が休場する事態になっている。
今後、プロ野球では7月26日には福岡で、同27日には松山でオールスター戦が行われるが、22日の時点で出場予定だった7人が陽性判定のため辞退することを発表。開催が危ぶまれる状況だが、“ファンのために”と行う方向で進んでいる。
「21日のオーナー会議でも、できるだけ公式戦への影響を少なくして、今シーズンは最後までやり切ろうと改めて確認しています。そのためにも、シーズンの一時中断や検査の頻度や方法などを含めて、対策を考え直した方がいいという意見が出てきています」
なんとしてもこの緊急事態を乗り越え、シーズン途中で打ち切りなどというファンをガッカリさせるような事態は避けてほしい。
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