7月5日から放送が始まったドラマ『ユニコーンに乗って』(TBS系)。教育系スタートアップ企業を舞台に、主演の永野芽郁や西島秀俊、広末涼子ら実力派俳優たちが“大人の青春物語”を繰り広げるというストーリーだ。
これまでの平均視聴率は8・5%とまずまずのスタートを切ったように思えるが、さっそく“パクリ疑惑”を指摘されることに。
「2015年にアメリカで公開された映画『マイ・インターン』と似ていますね。女性CEOがひと回りもふた回りも年上の男性部下を雇い、その助言を得ることで成長するという設定が、『ユニコーンに乗って』の永野さんと西島さんの関係とまったく同じなんです」(テレビ誌ライター)
疑惑を指摘されている作品は、これだけではない。
「Netflixで配信されている韓国ドラマ『スタートアップ:夢の扉』と似ているという声もSNS上では多く見受けられます。こちらは高卒の女性主人公が起業して、仕事や恋愛に振り回されながら成長していくという物語。“パクリ”を指摘されている両作品はともに、多くのファンを抱える名作なので、類似点に気づく視聴者が多いのでしょう」(同・テレビ誌ライター)
最近では、テレビ朝日系列で放送されている『六本木クラス』をはじめ、海外で人気となったドラマを日本の民放がリメイクすることは珍しくない。配信サービスで人気となった作品を参考にすることは、“テレビ離れ”を食い止める方法として理にかなっているとも言えるだろう。
貧乏設定なのに“レア靴”履いてる
しかし、『ユニコーンに乗って』には“パクリ疑惑”だけでなく、永野が身につけていたあるモノに対してのツッコミも寄せられている。
「第1話では、貧しい家庭で育ったため、大学に通えない学生時代の主人公が描かれていますが、このとき永野さんは『コンバース』のスニーカーを履いています。ただ、この靴は日本では販売されていない『チャックテイラー‘70』というアイテムで、手に入れるには直接アメリカに行って購入するしかありません。入手のハードルが非常に高いことから、“貧乏って設定なのにレアな靴履いてる”とSNS上では指摘の声が相次ぎました」(ファッションライター)
該当のシーンを確認すると、永野の苦学生っぷりを強調するためか、履き古されたコンバースを強調するようなカットがある。その結果、思わぬ角度からツッコまれてしまったわけだが、そもそもなぜこの靴は日本では売られていないのだろうか。コンバースの輸入問題に詳しい弁理士の栗原潔氏に話を聞いた。
「この靴を日本で販売すると“商標権侵害”になってしまうんです。商標権とは、商標が付いた商品を他人が商売として輸入・販売等することを禁止できる権利のこと。商標権は国ごとに発生するため、大手ブランドメーカーは各国で商標権を取得しています。しかしコンバースについては、アメリカでは『ナイキ』が、日本では『伊藤忠商事』が商標権を持っており、同じコンバースのブランドでも別会社の商品になるんです。したがって、アメリカの正規のコンバース製品を日本で輸入販売すると、伊藤忠商事の商標権を侵害することになってしまいます」
永野が履いていた『チャックテイラー'70』はアメリカのコンバース製品となるため、日本では模倣品、すなわち“偽物”扱いとなってしまうわけだ。
“非正規商品”が人気になると困る
では、日本で販売すると商標権侵害となる製品を、ドラマで使用することに問題はないのだろうか。
「個人が海外から輸入することは取り締まりの対象ですが、個人的な使用に関して問題となることはありません。しかし、伊藤忠商事の立場からすると、“非正規の商品が、日本で人気になると困る”という事情から、ドラマでの使用を疎ましく思っていてもおかしくないでしょう」(前出・ファッションライター)
実際に、アメリカのコンバース製品に対しては2011年に伊藤忠商事が輸入差止申立てをしていたという経緯もあり、積極的に取り締まる方針にも思える。
伊藤忠商事の傘下であるコンバースジャパン株式会社に今回の件について問い合わせたところ、
「回答は差し控えさせていただきます」
“偽物”をドラマで使用することとなってしまったTBSにも問い合わせてみると、
「制作の過程については、お答えしていません」
とのことだった。
キャスト、スタッフともに現場には若い人材が集まっているというが、本作はTBSにとっての“ユニコーン”になれるのだろうか……。