「僕たちの夢は、世界一のスターになることです!」
7月13日、アメリカの人気オーディション番組『アメリカズ・ゴット・タレント(AGT)』に出場したTravis Japan。ステージから流暢な英語でそう呼びかけると、大歓声と拍手が沸き起こった。
「彼らのオリジナル曲である『夢のHollywood』を英語バージョンで披露しました。観客は大興奮でスタンディングオベーション。アカペラの歌唱とキレキレのダンスは、会場にいた人の心をつかみ、3人の審査員も絶賛でした」(音楽ライター)
成功が肩書きになるのはもったいない
Travis Japanは“トラジャ”の愛称で親しまれるジャニーズJr.の7人組グループ。マイケル・ジャクソンの振り付けも務めたトラヴィス・ペイン氏が'12年に選抜したメンバーで結成された。
「“武者修行”のため3月下旬に渡米。現地で共同生活をしながら、語学やダンスの練習に勤しんでいます。日本での活動を休止して“本場”で技術を磨くなか、AGTでのパフォーマンスは幸先のいいスタートになりました。ただ、7月19日にはメンバーの吉澤閑也くんが体調不良で活動休止するとの発表もありました」(スポーツ紙記者)
デビュー前ながら米国で結果を残した。“凱旋帰国”すれば熱狂的な歓迎を受けそうだが、ファンの間では“帰国しなくてもいいのでは”という声が上がっているという。
「AGTでの成功が“単なる肩書になってしまうのはもったいない”というんです。アメリカ向きの世界観も掲げているのに、日本ではアイドルの“色眼鏡”で見られてしまいますからね」(前出・スポーツ紙記者)
BTSが切り拓いたアジアボーイズグループ市場
『ジャニーズは努力が9割』(新潮社)の著書があり、ジャニーズ事情に詳しい霜田明寛氏に、トラジャの魅力について聞いた。
「AGTの盛り上がりにはびっくりしました。ジャニーズ事務所は海外進出に意欲はあると思うんです。ただ、なかなかタイミングが合わずに半世紀が過ぎてしまった。
トラジャは少年隊以来30数年ぶりにアメリカの舞台に出ていったわけですが、日本の市場と違って“勝ち筋”が見えているわけではありません。現地のリアクションを見ながら、壮大な“実験”をしている。その第一段階として結果が出たということです」
アメリカの“土壌”が変化したことも有利に働いた。
「『BTS』のおかげもあると思います。彼らの成功で、アジアのボーイズグループが受け入れられる“素地”ができていました。そこにトラジャが得意とする“シンクロダンス”を完璧に披露してみせた。トラヴィス氏にも選ばれたということで、もともと外国人の審美眼にかなっているわけだし、ショー要素も強い。日本では同世代の『King & Prince』や『Snow Man』がいて飽和状態にも見えますし、トラジャがアメリカで頑張ってチャンスをつかむ戦略はアリだと思います」(霜田氏、以下同)
不安な要素があるとすれば、休養を発表した吉澤だ。
「彼は振り付けも担当していますし、本人もグループ全体への影響も心配ですね……」
苦難をはねのけ“世界一のスター”を目指せ!
霜田明寛 文科系WEBマガジン『チェリー』編集長。ジャニーズに造詣が深く、テレビやラジオにも多数出演している。'19年には『ジャニーズは努力が9割』(新潮新書)を刊行