滝沢カレン(30)は物書き泣かせだ。よく、芸人泣かせだともいわれるが、それと同じ意味である。
滝沢カレンにしかない謎のセンス
プロでも思いつかないような表現をするので、芸人は食われがちだし、物書きとしてはいじりにくい。その表現を紹介する以上に、面白い文章が書けない気がしてしまうのだ。
そんなカレンが結婚して、インスタグラムでその報告をした。相手は「建築のお仕事」をしている一般人だというが、一般人ではついていけないようなユニークな表現がいきなり出てくる。
《記憶をほとんどその日に置いてくる私ですが、出会ったときの季節、景色を今でも思い出せます。それは私の見ている景色をいつもより色とりどりにしてくれる人でした》
かと思えば、中盤は犬の話。自分の飼い犬1匹に、相手の飼い犬2匹が加わったそうで、こんな紹介をしている。
《顔の大きい(体も)優しくて、食べ物のことばかり絶対考えていて、でも名前を呼ぶとご飯を食べていたってやってきてくれる海みたいに強くてフワッと近くにいてくれます》
なぜか結婚相手のことより詳しい説明があり、最後はこう締めくくる。
《これからは二人と3匹たちで、さらに楽しい冒険に出発します》
とまあ、カレンワールド全開なわけだが、ここからが筆者の本番だ。はたして、この人はどう論じればいいのか。
もちろん、最大の売りはヘンテコな日本語だろう。『全力!脱力タイムズ』(フジテレビ系)の人気コーナー『THE 美食遺産』では、それが存分に発揮される。料理作りの実況だが、頻繁に噛んだり読み間違えたり、ともすれば失礼なツッコミやたとえも交えながら、彼女にしか不可能な笑いを巻き起こすのだ。
ただ、この手のタイプは一発屋に終わりやすい。戦場カメラマンの渡部陽一や、ローラの二番煎じ・水沢アリーなどがそうだ。しかし、この人は息が長く、かれこれ6、7年、この芸風で人気を保っている。
本物の天然か、計算も働かせているのか。ドラマなどではそれなりに芝居もできているので、真相は謎だが、最近は謎のまま、そういうものとして認知されつつあるようだ。
また、父がウクライナ人であることから、今年は別のかたちでも注目された。ロシアがウクライナに侵攻した10数日後、架空の国が侵攻された悲劇を描いたアニメ映画について、
《訳もわからぬ量泣きました。(略)こんな悲しい世界があるのならいまの世界はどれだけ幸せなのだろう》
という感想をインスタで投稿。フィクションに託して、平和への思いを語ったのではと話題になった。
彼女は不思議ちゃんでありながら、いたってまじめな人でもあるという受け止められ方なのである。
これと似ている人が、別のジャンル(?)にいる。大食いタレントのギャル曽根(36)だ。この人もかつては謎めいた存在だった。が、最近はその異能について、もはやそういうものなのだと認知されつつ、その主婦的な普通っぽさでも支持されている。
ちなみに、ギャル曽根の夫はテレビマンの名城ラリータで、前出の『脱力タイムズ』の制作総指揮をしている。興味深いつながりだ。
なお、ギャル曽根は結婚、出産によって、タレントとしての安定感を増した。カレンもそうなりそうな予感がする。
それにしても、夫になった一般人はどういう男性なのだろう。カレンとの会話、楽しそうだが、ついていくのはやっぱりちょっと大変かも。