さすが「ナニワのおしゃべりクイーン」、レギュラー番組が減ってもどっこい元気だ。
上沼恵美子のことである。
『上沼恵美子のおしゃべりクッキング』(朝日放送制作)が2020年4月、『快傑えみちゃんねる』(関西テレビ制作)が2020年7月に相次いで終了し、引退説も囁かれたが、YouTubeの世界に殴り込み。
7か月ほど前に「上沼恵美子ちゃんねる」を立ち上げ、どの動画もコンスタントに数十万再生回数を叩き出している。
旦那との別居を度々語る上沼恵美子
そんな上沼だが、最近「旦那との別居」について語ることが多い。
元テレビプロデューサーの旦那とは、1977年5月に、上の写真のような美しい花嫁姿で挙式(挙式の別カット多数、ニュースサイトでご覧の皆様は週刊女性PRIME本サイトでお楽しみください)。その結婚は今どうなっているかというとーー。
《長くすれ違いを感じた夫とも、だらりとした関係を絶つべく5年前から別居。「結婚40年で離婚を申し出たんですが、向こうが激怒して。もう邪魔くさいですし」と手を止めている。》
【スポーツ報知 web版 7月2日配信記事より抜粋。本人インタビューより】
《「昨日のお昼、主人が帰ってきまして、今別居中なんですよ。別居は皆さん、お勧め!」と話し、「ちょうどええ感じです」と報告した。》
【スポニチアネックス 7月18日配信記事より抜粋。ABCラジオ「上沼恵美子のこころ晴天」での本人のトークを報道】
《「週末だけ、ご飯に来ます。それで一泊して、朝ごはん食べて、旅館の朝ご飯みたいにどわーっと並べて、それを当たり前のように食べる主人。そして『チャオ』って帰って行きます。でもその感じがちょうどいいんですよ」》
【スポニチアネックス 2月2日配信記事より抜粋。テレビ朝日系「徹子の部屋」での本人のトークを報道】
5年ほど前に上沼から離婚を申し出たものの、旦那の反対や手続きが面倒で諦め、週末だけ会うことにしているようだ。だがその距離感が心地よく、今ではかえって関係が良好になり、会う頻度も上がっているのだとかーー。
この関係は、本人は名言していないが、おそらく、10年ほど前から急速に浮上してきた「卒婚」という結婚生活の形態なのだろう。
卒婚とは、知恵蔵mini(朝日新聞出版)によると、「結婚という形を維持しながらも、夫と妻が互いに干渉せず、それぞれの人生を自由に歩んでいくという夫婦関係」で週末のみ会う上沼夫婦にまさにあてはまる。
ウエディング研究家・戸板女子短期大学服飾芸術科教授の安東徳子さんによると、
卒婚が急速にポピュラーになってきた背景として、「女性が自立し、経済的にも男性を頼らずに生きていける人が多くなったこと」を挙げる。
「旦那に経済的に依存する妻が多かった時代では、“私の人生従うばかり”と恨みが積み重なって熟年離婚というケースが多かったですが、現在では50代60代で夫婦関係を“味わいきった”夫婦が次のステップに行きます、というニュアンスで卒婚を選ぶことが多いですね。愛情は薄れたけれど、憎しみ合うというほどではないので、いいお友達のように安定した関わりを持っていくイメージでしょうか」(安東さん)
上沼も手続きが面倒ということで離婚は踏みとどまったというが、やはり旦那への愛情はゼロではなかったからこそ卒婚を選んだのかもしれない。また、
「またある程度地位がある方たちが、世間体を保つというか、別居をやわらかいポジティブに表現することもありますね。私たちは結婚を超越しましたというブランディングのように」(安東さん)
確かに上沼ほどの大御所タレントになると、結婚という次元を超えたスゴみと“トークの肥やし”という両方を得るのかもしれない。
一方、前出の安東さんは、卒婚を検討する上での注意点も挙げる。
「支え合って生きることが必要な老後なので、卒婚で旦那との関係を整理しても良いのかは慎重に考えるべきでしょう。また財産の整理でトラブルになることもあるのでそこも気をつけた方が良いでしょう」
新たな人生ステージに進み、ますます迫力を増すおしゃべり女帝のトーク。そして今後「卒婚」がシニアの夫婦にどれだけ浸透していくのかは興味深いところだ。
【お話を聞いたのは】
安東徳子さん
ウエディング研究家/戸板女子短期大学服飾芸術科教授。
一般社団法人日本ホスピタリエ協会代表理事、株式会社エスプレシーボ・コム代表取締役。30年の長きに渡りウエディングビジネスに関わる中で培われた日本独自のホスピタリティをユニバーサルな視点から再構築、理論化し広くサービス業に広めてきた。
単なるマナーではなくビジネスに貢献できるコミュニケーションスキルとしてのホスピタリティ教育は産学両分野からの定評がある。著書に『共感力の鍛え方』『ハネムーンでしかできない10のこと』『世界・ブライダルの基本』(監修)など。
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