安倍晋三元首相(享年67)が奈良市での参院選の演説中に銃撃されて死亡した事件で、殺人容疑で送検された無職の山上徹也容疑者(41)。
事件を起こした動機について、母親が信仰する世界平和統一家庭連合(旧統一教会)に恨みを持ち、安倍氏が旧統一教会とつながりがあると思い、襲撃したと供述している。
事件が起きてから今まで、安倍氏への謝罪や反省は口にしていないという。
山上容疑者のために始まった「減刑を求める署名活動」
そんな山上容疑者に対し、署名サイト『Change.org』にて、検察庁長官宛てに「山上徹也容疑者の減刑を求める署名」と題した署名活動が7月15日に開始された。
署名活動には、まず2点の“伝えたい点”として、
《(家族の自死や母親の教団への寄付による破産など)過酷な生育歴を鑑みての温情》
《本人が非常に真面目、努力家であり、更生の余地のある人間である事》
が挙げられており、
《今回の事件以降、SNSでは沢山の統一教会(現世界平和統一家庭連合)をはじめとする新興宗教の二世による苦悩の実態が明らかにされました。親の信仰によって、生活も精神も追い詰められる人が非常に多いです。このような状況で物心ついた時から生活していた山上徹也容疑者に、どうか寛大な見解をお願いします》
とまとめられている。
この署名活動には、2週間あまりで2000人を超える署名が集まっている。
署名活動発起人の斉藤恵氏は署名を立ち上げた当日、自身のTwitterで
《これは、山上容疑者の非常に辛かった生育環境、境遇に対しての情状酌量、また、非常に真面目で努力家な人柄であり更生の余地が大きい事を訴える署名です。いかなる理由でも殺人を肯定するものではありません》
と記していた。
判決前に減刑の署名活動、批判の声
また、7月29日配信のABEMA TIMESのインタビューでは、自身も山上容疑者と同じ宗教2世だと明かした上で、まだ起訴もされていない段階で減刑を求める署名活動は時期尚早ではないかというネット上の声に対し、こう説明している。
「ネットニュースで極刑を求める署名が集まったというのを見て、すぐに減刑を求める署名を立ち上げてしまったっていうのが実際で、知識不足はあったなと思っています」
そんな署名活動にはTwitter上でこんな声が。
《奴の生い立ちだったり母親に失望するのは分かるけど、山上を崇拝してる連中は自分の大切な人が殺されたらその加害者を擁護するって事ね》
《殺人犯に同情するのは勝手だが、罪は罪であり償うべきもの。テロを正当化するなよ》
《理不尽な理由で最愛の旦那を失った昭恵さんの事を思うと、山上容疑者への減刑を求めるという行動はとれない。自分の家族が同じ目に遭い、外野が減刑を求めたら嫌でしょ?》
また、お笑いタンレトの三浦マイルド(44)は29日、自身のツイッターで今回の署名活動について、署名が集まっているというニュースを引用し
《ホンマ狂っとるな》
《此奴は世間はおろか昭恵さんにも謝罪がないんだぞ。何が更生の余地だ。毎日昭恵さんが一人泣いてるのではないかと想うと胸が痛いわ》
と投稿した。
2000人超の参加者を集めている「減刑を求める署名」だが、世論の大勢は批判的な見方のようだ。
発起人の斉藤氏は22日、自身のFacebookで「肉親の情はいかなるものよりも優先されるはず、と信じて疑わないのに逆に驚く」としながら、こう綴っている。
「もしも両親が悪い事をして地位や財産を得ていて、その犠牲になった人間が恨み、殺したのであれば、それは仕方ないかな、と私なら思うのだ」
山上容疑者への同情から署名活動を立ち上げたようだが、「殺人を肯定するものではありません」と、言い切るにはやや難しいのでは?