重岡大毅インタビュー

「覚悟して死のうとしているはずなのに、お腹が減る。望もうが望むまいが、“生きる”ということを捨てられないのは、人間くさいなあと。そこが北の魅力かなと思います」

 放送中のドラマ『雪女と蟹を食う』で主人公の北を演じている重岡大毅。原作は同名の人気マンガだ。北は冤罪をかけられ人生に絶望。自殺を図ろうとするも一歩を踏み出せず、「北海道でかにを食べてから死のう」と思いつく。そして資金調達のため強盗に入った家の謎多きセレブ人妻・彩女(入山法子)と、北海道への奇妙なふたり旅が始まる――。

死のうと思ったことがない

 今まで演じてきた役柄とはかなり振り幅がある役。演じるには覚悟が必要だったという。

「原作を読んで、これは相当気合を入れていかなあかんなと思いました。死のうと思っているのを演じるって、大変なんですよね。僕は思ったことがないから、自分の中のどういう気持ちを使えばリアルなのか、北になれるのか。そこを噛み砕くのが大変でしたね。ただ、自分の感情を押し殺すことはあるなと思いました。そういうときって、やっぱりツラい。そんなことをすごく考えました」

 “自殺は自分の中にはない”とサラリと語り、生きることにとても熱い男に見える重岡。その原動力を聞くと、「え!? わかんないなあ。死にたいと思わないんだもん」と苦笑しつつ、

「シンプルに、生きていたいと思うんですよね。楽しいことをしたいから。幸せになりたいし、夢もかなえたいし……。でも単純に眉毛が太いから、そう見えるだけちゃいます?(笑)」

 では、もし自分が北のように冤罪に巻き込まれたら?

「うーん……必死に否定すると思うなあ。北は誰も信じてくれなくてみんな離れていっちゃうけど、僕の生きているところでは、そうはならないと思うから。だから(北より)もっと抵抗できると思う。北は、そこがツラかったんだと思います」

北海道の夜、シャドーボクシングをしていたら

 撮影では北海道に長期滞在。ジャニーズWESTのライブや東京での仕事で何度も行き来し、そのたびにおみやげを持って帰っていたら、家がアンテナショップのようになったと笑う。

「北海道のグッズが山盛り。ひくくらい買ってしまいました(笑)」

 また、北海道のライブではおいしかったものを聞かれ、その答えに会場中が大興奮。

「みなさん、ジンギスカンとかみそラーメンと言うんかなあと予想してたと思うんですよ。そこで僕が、道民の方しか知らないであろう“セイコーマートのカツ丼です”って言ったら、どーん!と沸いたんです。一気に会場のハートをわしづかみにしました(笑)」

 1日撮影をして夜はおいしいご飯を食べて。「シンプルに楽しかった」というロケ生活では、ちょっとじんわりなエピソードも。

「運動不足を感じて、夜中に人けのないところで音楽を聴きながらシャドーボクシングをしていたんです。そしたら、サラリーマン風の男性がこっちに何かしゃべっていて。“怒られてるのかなあ?”と思ってイヤホン外したら、“きび、いるか?”って。“ボクシング頑張ってな!”と言ってもらって、ゆでたとうもろこしをいただきました。たぶんボクサーと勘違いされたんだと思う(笑)。翌朝、塩振って食べたらめっちゃおいしかったです!」

 撮影はすべて終了。走り終わって今、「この作品に関わらせていただいてよかったなって、すごく思う」と感慨深く語る。

「自分にとってターニングポイントになったと、もう勝手に思っています(笑)。ワンチームで、みんなが自己ベストを出そうと頑張った、本当にすてきなドラマ。ぜひ、最後まで楽しんで見ていただけたらうれしいです」

“これをせずに死ねるか!”ということは?

「おかんがひとり旅が好きで、アイスランドでオーロラを見たらしいんです。きれいだったって言ってたから、俺もいつか見たいなと思っています。あと、宇宙に行きたい! これは絶対行きたいです。わんぱく心が騒ぐというか、ロマンや夢がありますよね。で、年を取ったら孫になつかれてるイケてるじいちゃんになって、最後は大往生!」

ドラマ24『雪女と蟹を食う』
(テレビ東京系毎週金曜深夜0時12分〜)
(C)「雪女と蟹を食う」製作委員会