5人に1人が年収200万円以下という時代に突入した。低年収でも実際、暮らしていけるのか? 手取り14万円というユーチューバーのこはくらいふ。さんに今ある収入で自分らしく、楽しく暮らす秘訣を聞いた。
お金の使い方に優先順位をつける
現在30代のYouTuber「こはくらいふ。」さんは契約社員の薬局事務員として働いている。年2回のボーナスはあるものの月々の手取りは約14万円。その月収でひとり暮らしを楽しむ姿を動画で公開している。
「最初にYouTubeで生活費を公開し始めたのは、初めてのひとり暮らしでちゃんと暮らせるか不安だったからなんです。コメントを寄せてくれる方も多く、節約生活の励みになりますね」(こはくさん、以下同)
前職は薬局での処方箋受付で、手取りは今より多い15万~16万円ほど。残業手当もプラスされたが一日中立ちっぱなしで、仕事に追われる毎日だった。このままではいけないと考え、転職を決意。
「家族には30歳になっても結婚していなかったらひとり立ちする、と宣言していたので、言葉どおりに実家を出ました(笑)。ひとり暮らしに備えて貯金はしていて、不安より楽しみのほうが大きかったですね。以前からお昼は自作のお弁当でしたし、実家暮らしと比べて金銭感覚も大きな変化はありません」
毎月の生活費以外に大学の奨学金返済も抱えているが、経済的な焦りや不安にとらわれることはないという。そのワケは自分に合ったストレスフリーな環境を選択しているからだ。
「私は内向的でひとりの時間がないと息苦しくなってしまうタイプ。インドア派でもあるのでYouTubeの動画を作成して発信するのは、ひとりでできてお金もかからない新たな趣味になりました」
お金に頼らず心豊かに生活するためのコツは“自分の「好き」に優先順位をつけること”だ。
「今は衝動買いをしなくなりました。服は断捨離して白と黒、ベージュをベースに着回しています。お菓子もコンビニではなくスーパーで買うなどして節約はしていますが、食べたいものは我慢はしていないつもり。先月は暑くてお茶のペットボトルを数回買っていたら出費が増え、ちょっと失敗しましたが(笑)」
たまにはクーポンを使い、アラサー女子らしくまつげパーマをすることも。
「舞台が好きなので、チケットは高いですが劇場にも足を運びます。物欲はないほうなので、自分が満足できることにお金を使いたいですね」
キャッシュレスで生活費の「見える化」を
こはくさんは節約のために家計管理を徹底している。毎月の固定費は家賃と奨学金返済を合わせた6万2400円。
それ以外を食費や光熱費、通信費、日用品費、美容費、趣味の舞台鑑賞のための自由費などに分類する。
「支払いは現金を使わず、ほとんどが楽天ペイやWAON、クレジットカードでのキャッシュレス決済。レシートをもらったらすぐにスマホの家計簿アプリに入力し、捨てます。その月の収支が少しでもプラスになるとうれしいですね」
キャッシュレスにすることで ポイントを貯め、活用している。さらに、つみたてNISAで毎月貯蓄も行う。
「最初は月3000円で始めました。大きい額を設定して、残った金額でやりくりできるのか不安もありましたから。ひとり暮らしに慣れてきて、十分やっていけるとわかったので、今は1万円に設定しています」
ただ、ひとり暮らし開始からまだ1年しかたっていないため、これから先の明確な貯金の目標額は立てていない。
「年間でNISA分の12万円、年2回のボーナスで10万円ずつと考えて、だいたい年間30万円くらい貯めていければいい、というざっくりした感じです」
彼女の節約術を見ると、決して無理して切り詰めているわけではなく、豊かに生きる手段として節約自体を楽しんでいるように見える。
「『節約するぞ!』という強い意識はないんです。生活費を見える化すると、自分が使える金額が把握できるので、ただその範囲内で生活しているという認識。それが結果的に節約につながっているのだと思います」
こはくさんの毎月の支出表(すべて目安額)
家賃……48,000円
奨学金返済……14,400円
食費……20,000円
光熱費……10,000円
通信費……6,000円※サブスク、端末代含む
日用品費……5,000円
交通費……2,000円
医療費……2,000円
美容費……3,000円
プレゼント費……2,000円
つみたてNISA……10,000円
合計……122,400円
お話を伺ったのは……
こはくらいふ。さん
薬局事務員。30歳で初のひとり暮らしを始め、YouTubeチャンネル「こはくらいふ。」を開始。自身が生きやすくなる毎日を目指しながら、家計簿やルーティンなどを発信中。
〈取材・文/オフィス三銃士〉