『栃木ゴールデンブレーブス』に入団した『ティモンディ』の高岸宏行

「真夏の暑さに負けず、みんなのパッションを感じましたし、選手もそうですけどコーチ方も熱く盛り上げてくださって、楽しくできましたね」

 プロ野球独立リーグ・ルートインBCリーグの栃木ゴールデンブレーブスに入団したティモンディの高岸宏行。7月25日に栃木市のエイジェックさくら球場でチーム練習に初参加し、キャッチボールやサインプレーの練習などを約2時間行った。

芸能人最速の142キロ

「高岸さんは愛媛県にある野球の名門・済美高校出身で、高校時代はプロから育成選手で指名する話も来ていたほどの実力の持ち主。卒業後は東洋大学に進学して野球を続けましたが、3年生のときにけがをしてプロの道を断念。お笑いの道に進んだという経緯があります」(スポーツ紙記者)

 名門校で汗を流したものの、高校時代にも挫折を経験している。

「愛媛大会では決勝戦で敗退し、憧れだった甲子園のマウンドに立つ夢が叶えられなかったんです。そのため同じチームで頑張っていた相方の前田裕太さんは、“芸人として売れて、高岸を始球式で投げさせるのが夢”とずっと語っていました」(お笑いライター)

 デビューから5年がたった2020年、神宮球場で行われたヤクルト対広島戦で初めての始球式に挑んだ高岸は、夢を叶えたうれしさから“男泣き”。キャッチャーを務めた前田と抱き合う姿は、多くの反響を呼んだ。

「昨年4月に行われた札幌ドームでの日本ハム対ロッテ戦の始球式では、“芸能人最速”となる142キロを計測。そんな実力を評価した栃木ゴールデンブレーブスが、今年6月に高岸をスカウト。トライアウトに無事合格したことでプロになる夢を叶えました」(前出・スポーツ紙記者)

事務所が採用を見送っている理由

 現在は練習生扱いで公式戦出場を目指している高岸。今後は所属事務所と球団でスケジュールを調整しながら、芸人とプロ野球選手の二刀流を続けるという。彼が夢を叶えることができた背景には、所属事務所の方針が大きいとテレビ局関係者は語る。

サンドウィッチマンと担当マネージャーが立ち上げた事務所ということもあり、設立当初から“芸人ファースト”なんです。サンドウィッチマンの2人は“どれだけ忙しくなっても、ライブ活動は続けていきたい”という思いを強く持っているのですが、毎年オール新ネタで挑む単独ライブ前は、事務所の収益は二の次でテレビなどの仕事をセーブして、ネタ作りにあてていますからね」

 ティモンディの所属事務所は、今年3月に行われた『R‐1グランプリ』で優勝したお見送り芸人しんいちに加えて永野やカミナリ、東京ホテイソン、ランジャタイとブレイク芸人を次々と輩出している。所属希望者も殺到しているようだが、ある理由で現在はほとんど採用を見送っているという。

サンドウィッチマン

「規模が大きいとは言えない事務所なので、スタッフの数も5人ほどと多くありません。そのため“これ以上、芸人を増やしてしまうと今いる芸人に目が届かない”という理由で、よほど可能性を感じた芸人以外は採用しないようにしているんだとか。芸人愛に溢れる事務所だからこそ、プロを目指していた高岸さんの気持ちを汲み取り、栃木ゴールデンブレーブスからのオファーも快諾したのでしょう」(同・テレビ局関係者)

 初練習後の会見では「みんな、夢は叶う!」とプロを目指す球児などにエールを送っていた高岸。夢を叶えた背景には、挫折を経験しながらも自分を鼓舞し続けたポジティブな精神と、隣でサポートし続けた相方の前田。そして、芸人ファーストなスタッフたちの支えがあった。

チーム練習に初参加した『ティモンディ』の高岸宏行
チーム練習に初参加した『ティモンディ』の高岸宏行

 

チーム練習に参加した『ティモンディ』の高岸宏行
チームメイトと話す『ティモンディ』の高岸宏行

 

事務所先輩のサンドウィッチマン・伊達に絡んでうれしそうなしんいち(公式ツイッターより)
サンドウィッチマン 撮影/吉岡竜紀