熱中症対策でエアコンの利用が推奨される一方、電気代の値上がりが家計を直撃……。そんな今夏を乗り切る注目のクールアイテムは? 家電のプロ3人に、トレンドを聞いた。
携帯できて節電も叶えるアイテムが飛び売れ
まずは、熱中症対策として定番化した“首掛け”グッズ。身体を効率的に冷やすため、首周りを冷却するアイテムへの注目が高まり、街で見かけない日がないほどに。
「コロナ禍が続き、マスクで顔が蒸れるというのも売れた理由」(サンコー・﨏さん)
さらに、酷暑で外でも家でも涼しく快適にという需要も。
「手軽に“涼”を感じられるグッズが飛ぶように売れました。小型扇風機など屋内外で使えるものも人気。アウトドアブームも後押ししています」(ヤマダデンキ・高山さん)
「エアコンを効率よく使うためのアイテムが求められている」と家電プロレビュアーの石井さんは指摘。電気代節約のため、エアコンの設定温度を下げずとも、個々が涼を感じられるものがヒット。
今年大注目の涼アイテムはフェイス周り!
“どこでもひんやり&節電”が今夏のキーワード。まだまだ暑い夏後半に向け、今からでも欲しくなるアイテムをセレクト!
今夏一大ブームを起こした暑さ対策の新定番
■クールネック(DAISO/1100円)
冷蔵庫や流水で冷やせば24度以下で自然凍結。繰り返し使え、結露しない。同様の商品も巷にあふれているが、コスパのよさでダイソーのこの商品が品薄に。
マスク内の蒸れを解消する専用小型扇風機
■マスクエアーファン(DAISO/550円)
マスクに直接取り付け、マスク内の空気を循環させる小型ファン。約22gの軽量設計で目立ちにくく、クリップで簡単に着脱が可能。充電用ケーブルと持ち運び用の巾着付き。
小型冷蔵庫と同じ冷却方式で体感温度-17℃
■ネッククーラーSlim(サンコー/6480円)
電源を入れると約2秒で冷却。強弱ゆらぎモードの3段階で冷たさを持続する。コンパクトに畳め、持ち運びも便利。「4月に発売し累計11.5万台以上を売り上げています」(﨏さん)
進化する外出時のウェアラブルグッズ
首掛けタイプや衣類一体型のファンなどが本格的に市民権を得た今年。
「日傘を使う男性も増え、ウェアラブルなクールアイテムを誰もが気軽に使える時代に。外出先だけでなく、ガーデニングや家庭菜園のときに使う人も多いですね」(﨏さん)
ファンの風やミストが出る日傘や冷却プレート付きのハンディーファン、卓上でも使える小型扇風機など、携帯できるだけでなく多機能で使い勝手のよいアイデアが光る。
「今、家電業界はデザインにも注力。見た目もワクワクする商品が増えたことも持ち歩く人が増えた要因だと思います」(高山さん)
日差しをカット&ファンの風で傘内が爽快
■折りたたみファンブレラ(サンコー/5980円)
傘の内側中央部に3枚羽根のファンを搭載。持ち手の電源ボタンで2段階の風を送れる。「持ち歩きしやすい折り畳み式にこだわりました」(﨏さん)。晴雨兼用、UVカット率98%。
服の中にさわやかな風を送ってくれる!
■腰ベルトファン3(サンコー/2380円)※今年は完売
ベルトにひっかけて、服の内側に風を送る空調ファン。付属のストラップで首に掛けたり、卓上扇風機として使うこともできる。残念ながら今年分は完売。来夏の販売に期待!
おでこや首筋をシャキッと冷やせる手持ち扇風機
■ピタファン(サンコー/3980円)
小型冷蔵庫で使われるペルチェ冷却装置を搭載したハンディーファン。「扇風機とネッククーラーのいいとこ取りで人気です」(﨏さん)。折り曲げて置き型にできるタイプも。
取り付けカンタンどこでも涼風
■クリップファンKFF-0618(小泉成器/1430円※編集部調べ)
リュックや日傘など、クリップでさまざまな場所に取り付け&置き型でも使える直径約110mmのミニ扇風機。「360度回転可能だから好きな向きに風を送れます」(高山さん)
手軽に「涼」を感じる激売れグッズ
雪のような粒で衣類を一気に冷やすスプレーや今年新登場した炭酸飲料OKの魔法瓶など、アウトドアでも活躍するアイテムが人気に!
シュワシュワ感が続く炭酸ボトル
■真空断熱炭酸ボトルMTA-T050(タイガー魔法瓶/5401円※編集部調べ)
独自の炭酸飲料対応栓構造と炭酸が気化しにくい特別加工。「今年の新発売時は品切れに!」(高山さん)
お出かけ必携の保冷剤とポーチが一体化!
■保冷剤入りポーチ(Can★Do/330円)
ポーチの片面が凍らせても固まらないポリマー素材の保冷剤に。溶けやすいお菓子やおしぼり入れに。
“雪”が出るスプレーで一気にひんや~り
■COOL SUMMER SNOW(コジット/1078円)
タオルや服、帽子などにスプレーすると、雪のようなパウダーが噴出。そのまま着用すると心地よい冷たさに。
お家の中でのパーソナルスペースを冷やす!
「40℃に迫る気温になると、エアコンが“効きづらい”と相談に来る方が増えました」
と猛暑日の売り場を振り返る高山さん。リビングダイニングにエアコンがあってもキッチン部分だけが暑いといった主婦の悩みも多く、エアコンの風を効率よく部屋じゅうに行き渡らせるためにサーキュレーターを選ぶ人が爆増。前年比で1・5~2倍売れたと話す。また、持ち運べるエアコン“スポットクーラー”も話題になった。
「クーラーが取り付けられない部屋などにも使えると注目されました。しかし、ダクトから温風が出るので効率的に部屋を冷やせない。各メーカーは、まだまだ改良の余地はあるのかも」(石井さん)
家族それぞれが好みの涼で快適に過ごせる、売れ筋最新アイテムに注目しよう。
持ち運び・設置場所・高さ調節が自由自在!
■充電式小型扇風機J'aime(ジェイム)SJM-E908(エスケイジャパン/14080円※編集部調べ)
USB充電で最大15時間使用可能。高さを約48~94cmに自由に調節できる。持ち運びしやすく、好きな場所で使えるので便利。使用後は折り畳んでコンパクトに。収納の場所もとらない。
ガードも羽根も取り外して丸洗いOK
■洗えるサーキュレーターYAR-DDW151(山善/9980円)
上下左右自動首振りで広範囲に風をお届け。本体以外は丸洗い可能。「工具不要で簡単に分解できるので、お手入れが本当にラクです」(石井さん)。背の高いリビングタイプも。
やわらかな風で冷えすぎを抑制
■シャープ プラズマクラスター扇風機 PJ-P3DS(シャープ/21563円※編集部調べ)
なめらかな風を生む独自ウイング、空気浄化や消臭効果のプラズマクラスターを搭載。「部屋干しのときに助かる“衣類消臭モード”も。最新の多機能型扇風機です」(高山さん)
冷水を循環させて熱帯夜も朝まで快適♪
■水が流れる冷感ひんやりマット(サンコー/19800円)
水を循環させて冷やす冷水式の冷感マット。電源を入れると本体からマットに水が流れ、身体の熱を奪った水は再び本体へ。「ひと晩じゅう、ひんやり眠りたいという声から開発しました」(﨏さん)。本体は冷風機として使用可能。
お家の中でも「涼」を楽しむ激売れグッズ
コロナ禍をきっかけに、家族で楽しく、身体の内側から涼を取るアイテムが定番化。「外食より節約できますし、家の中でリフレッシュできるので大きく売り上げを伸ばしています」(石井さん)
ヒーターで氷を温めてふわっと食感に
■電動わた雪かき氷器プレミアム DSHH-20(ドウシシャ/10780円)
ヒーター機能搭載のかき氷機。氷を温めてやわらかくして削るので「専門店のようななめらかな口どけに!」(高山さん)
水以外の飲料も簡単に炭酸入りにチェンジ!
■ドリンクメイト シリーズ620 スターターセット(シナジートレーディング/18568円)
同梱物は炭酸飲料メーカー本体に60L用ガスシリンダー1本、専用ボトル(1L)1本、専用ボトル用キャップ1個。
電源不要で炭酸注入が可能。「ジュースやワインなども炭酸にできるので家族で楽しめます」(石井さん)
お話を伺ったのは……
「あっこれいいね!!」と言いたくなるアイデア家電メーカー「サンコー」の広報部長。愛称はekky(エッキー)。明るくわかりやすい商品説明で、2021年だけで50以上のテレビ番組に出演。Twitter:@shirokuma_ekky
ヤマダデンキの創業の地・群馬の複合大型店舗「LABI1 LIFE SELECT 高崎」の販売員として白物家電の担当歴は約13年。家電だけでなく最先端の生活スタイルを提案する店舗で、住環境を加味した女性目線の商品説明が評判。
家電コンサルタント。茨城県に製品のテストスペースとして一戸建てタイプの「家電ラボ」を設立。白物家電を中心に製品レビューを15年以上行い、雑誌、テレビなどメディアで発信している。ブログ「家電blog」管理人。
〈取材・文/河端直子〉