「本日ももりもり営業中です!」
SNSでバイトする飲食店の宣伝をするのは、松岡俊介。バイトが板に付いてきたようで、ワンオペで店を切り盛りする日もあるようだ。
松岡といえば、1990年代にモデル・俳優として活躍したがその後「仙人生活をしている」とテレビ番組で紹介される機会が増えていた。そんな中、今年5月『週刊女性』は彼が都会で働き始めたことをキャッチ。松岡本人とその家族に直撃していた。
(以下は2022年5月28日に配信した記事の再掲載です。年齢は掲載当時のまま)
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南伊豆の山中に“仙人”のような生活を送っていた元俳優がいる。
「松岡俊介さんですね。『メンズノンノ』などでモデルとして活躍した後、1993年にフジテレビ系で放送されたドラマ『白鳥麗子でございます!2』で俳優デビュー。イケメンで人気もありましたが、2009年に芸能関係の仕事を辞めてしまいました。13年前から、今いる南伊豆で暮らしています。2020年6月放送の『爆報!THEフライデー』で“仙人生活”が紹介されていました」(テレビ誌ライター)
『週刊女性』も2年前に松岡の家を訪ねた。当時は東京でアパレルの仕事もしていると言っていた彼だが、コロナ禍の今、どうしているのか。細い山道を上って久しぶりに会いに行ったが、松岡の姿は見当たらない。
「主人は2か月に1回くらいしか、こちらには帰ってきません。生活が苦しくなって、今は横浜の飲食店で働いているんです。飲食店を何店舗かを経営している知り合いがいて、お世話になっています」
そう教えてくれたのは、松岡の奥さん。4人の娘と山中で暮らしている。
自然に囲まれた山暮らし
「娘は上から中1、小5、小3、5歳です。あとはネコが2匹、犬とヤギ、トカゲ15匹と一緒です」
テレビはなく、家庭用ゲーム機もない。
「電気はあって、電話線も通っていますが、なるべく便利なものには頼らないようにしているんです。ウチは“不便の中から楽しみを見つける”ということをやっています。食事は畑で作った野菜が中心で、肉はたまに買うくらい。
そういったことを子どもたちには強要しているわけではなく、みんながおいしい、うれしいと思うから、この生活を続けているんです」
家で飲むのは薬草茶。子どもたちには友達の家でジュースを出されたら飲んでもいいよと伝えているが、あまり飲まないそう。
「ここで暮らしていると、朝はたくさんの鳥の声に癒されます。贅沢なことだなって、何年たっても思いますよ。ただ、この山がなにか災害があったときにどこまで耐えられるかという不安はあります。大雨が降ると、道に大きな石が転がっていることもあります。ここはナビがアテにならないから、救急車も消防車を呼んだとしても迷いがちなんです」
自然に囲まれた山暮らしは楽しいが、苦労もあるようだ。
田舎を取るか、都会を取るか
では、一家の主・松岡はどこにいるのか。奥さんに教えられたのは、横浜・白楽にある『カメヤ食堂』という小さな飲食店。さっそく向かってみると、ラフなTシャツ姿で、2年前よりもさらにヒゲが伸びた松岡が出迎えてくれた。
「1年くらい前から、子ども4人を食わせていくのが厳しくなりました。切羽詰まっていたタイミングで、こうして雇っていただける店があったんです。このヒゲ? 今が人生でいちばん伸びてるね」
松岡は1996年にファッションの仕事を始め、2018年には自らのブランドも立ちあげた。しかし、コロナ禍で経営が行き詰まってしまう。
「細々とアパレルをやるというのも大変。Tシャツ20枚、30枚という発注だけで利益を上げるのは厳しい。自宅の近くで働こうと思っても、俺が運転免許を持っていないから難しい。田舎を取るか、都会を取るかで悩みますが、まずは稼がなきゃと思い、でも、ちゃんとこの仕事をやるぞというつもりで頑張っていきます。いつか伊豆に店を出すなら戻る可能性もありますが、今は早く帰りたいとか、そういう気持ちで仕事はしていないですね」
ーー伊豆では奥さんが薪を割ったりもしていました。
「けんしょう炎になって大変みたいだけど。妻はYouTubeで『4姉妹ドキドキチャンネル』というのを始めて、田舎暮らしの様子を発信していますよ」
――アパレル業に戻ることはない?
「未練はないですね。月に2、3人は、また洋服のデザインやりませんかって言ってきますが。在庫管理して、梱包して、ネットにアップするとか、すべてはできないです。今はコロナ禍も含めて、やる時期ではないですね」
――俳優業のほうは?
「俳優の世界は今、適材適所で人を使うという業界ではなくなっているし、後ろ盾がないとダメになっている。この店にも知り合いの映像監督さんが来てくれて“脚本を直したら出て″なんて言ってくれますが、それも実現するかどうかはわからないですね。
15年も役者をやってないヤツが“はい、ただいま″で通用する世界ではないですよ。もっと気合い入れないとダメでしょって思いたいし」
――今は家族のために、飲食店を続けるしかない?
「そう思ってここに来たのが1年前。人と接するのは好きですから。お客さんに"この店に俳優がいるんですか?"って聞かれたことがあって、"俺です"って言ったらビックリしてました(笑) 」
伊豆の山中にいる奥さんと子どもたちの近況を話すと、
「みんな、いい子でしょ」
と満面の笑みを浮かべた。離れていても、松岡はいつも家族を思っている。
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伊豆の山奥での暮らしを始めて11年。松岡家はスマホがなくても、お金がなくても、日常の些細なことを楽しんでいる。幸せな田舎生活を維持するため都会で働く一家の主人・松岡は、家族のことを常にいちばんに考えて今も懸命に生きている。