「マスクしていていいですか。いや、昨日からちょっと熱っぽいものですから」
8月12日、第2次岸田改造内閣で農林水産大臣を任命された野村哲郎参議院議員が、新型コロナウイルスに感染していることが発表された。野村農水相は無症状で自宅待機中、保健所による濃厚接触者の調査が行われたーー。
この2日前の8月10日、議員事務室で報道陣が見守る前で総理秘書官からの電話を受け取った同相は、「いよいよきたなと。さあ、今から官邸だなと。鹿児島の皆さんのおかげで連続4回当選させてもらい、その結果が今回大臣につながったと思いますので、本当に県民の皆様のおかげだと」
78歳にしての初入閣に、気を引き締めながらも終始ご機嫌な様子だったよう。このやりとりの前に記者たちに明かしていたのが、冒頭の発言だったという。テレビ局報道部のディレクターが明かす。
「なんでも真顔で“ちょっと熱っぽい”と話した野村大臣は、記者に“えっ?”と聞き返されるとイタズラな表情を浮かべて声を出して笑っていたみたいですね。さらに“冗談ですか?”と問われると、“本当よ。ちゃんと体温を測ったら平常だったんですけどね”と。
この“自覚症状”が事実かどうかはわからずじまい。場を和ませるための冗談だったのかもしれませんが……、マスクからは鼻も出ていたようです」
天皇陛下とも“接触”か
この後に早速、SPに守られながら首相官邸に赴いた野村農水相は“食糧の安全保障”を訴えるも、ここでもやはり“鼻出しマスク”姿。岸田文雄首相と閣僚らとの初閣議、恒例となっている階段での記念撮影に臨んだのだった。
「いつもの官邸ロビー“大階段”が改修工事のため、旧官邸の”西階段”で撮影が行われたのですが、通常よりも隣同士とは近く肩が触れ合う距離。撮影の際にはマスクを外していますから、そこでおしゃべりをしていなければいいのですが……」(前出・ディレクター)
野村農水相と写真に収まったのは、岸田首相を含めた23人。しかし、記念撮影が行われる前にも大臣らと“接触”している人物がいる。そう、天皇陛下だ。
内閣を正式発足させるためには皇居・宮殿「松の間」にて行われる認証式を経て、各国務大臣らは天皇陛下と謁見し、認証を得る手順を要する。つまりは野村農水相も「熱っぽい」と話した日に陛下と“接触”したということになるが……。
皇室事情に詳しい全国紙社会部記者に詳細を聞くと、
「正式には“認証官任命式”と言い、コロナ禍で閣僚はもちろんのこと陛下もマスクをご着用の上で臨まれます。また、陛下が官記(任命書)を直接手渡されるのではなく、通常は首相、または法務大臣の役目になるために閣僚らと接触することはありません。
陛下の方から“重任ご苦労に思います”とのお言葉がかけられますが、閣僚は終始話すことなく、十分に距離を取ったまま官記を手に頭を下げて退室。よって現在の濃厚接触の定義に当たらないと思われます」
失言が懸念されるタイプか
この認証式の時点で万が一、野村農水相に発熱症状があったとしても、陛下が濃厚接触者に問われることはなさそうだ。とはいえ、一連の行動に大臣の資質を問う声も。
「コロナに感染したこと自体は咎められません。が、本当に体調に不安があったのならば官邸への登庁、ましてや陛下との謁見を避けるべきでしたし、判断を違えてしまったのかなと。
たとえ“熱っぽい”発言が偶然だったとしても、それでもコロナを冗談のように扱ったのは非常識に思えますし、大臣は余計なことを言ってしまう、今後も失言が懸念されるタイプなのかなと」(前出・ディレクター)
8月15日、岸田改造内閣として2人目となる、岡田直樹地方創生相の新型コロナ感染が明らかになった。野村農水相と同じく初入閣組だけに、思わずマスクなしでおしゃべりをしてしまったのだろうか。