《自分の推しが出てないファンの方にも見てほしかった》
8月14日、終戦記念日の前日となる日に、ジャニーズの人気グループ4人が戦争体験者から話を聞いたドキュメンタリー番組『僕たちは戦争を知らない ~1945年を生きた子どもたち~』(テレビ朝日系)が放送された。
戦争の悲惨さと平和への思いを伝え続けた故ジャニー喜多川さん(享年87)の遺志を受け継ぐべく、今回選ばれたのはジャニーズ事務所の若手4人。
バラエティーとは違う一面を見せた4人
この番組で、戦争を体験した証言者の声を聞くため、全国各地を訪ねたのは、菊池風磨(Sexy Zone・27)、中間淳太(ジャニーズWEST・34)、松村北斗(SixTONES・27)、阿部亮平(Snow Man・28)だ。
『ヒルナンデス!』(日本テレビ系)でレギュラーの中間は、ディズニーやファッションに強く、メンバーの中では最年長ながら、いじられ役。そんな彼が訪れた先は、国内唯一の地上戦の地となった沖縄だ。
過酷な状況の下、従軍看護助手として働いた女性に取材し、野戦病院として使われていた洞窟へと訪れる。洞窟の中で「心までも死んでいきそうな気がする」と口にし、ショックのあまり、その場に座り込んでしまった中間の姿に共感する声がSNS上でも散見された。
松村は原爆が投下された長崎を訪れ、「実際に77年間生きてきた方々の心の内側だったり、人生、人の思いをもっともっと知るべきだと思いました」と語り、菊池は危険な任務についた男性と戦争孤児となった女性に取材。「人の心を失くしてしまう、それをもたらす戦争はすごく悲惨なものだなと。だからこそ、とにかく知ることだと思います」と語った。
ジャニーズで初めて大学院を修了したSnow Man・阿部は故ジャニー喜多川さんが第2次世界大戦時の疎開先であった和歌山を訪れ、爆弾に家族を焼かれた男性から話を聞き、保管されていた爆弾の破片を手にし、絶句。その姿に心を打たれた視聴者もいただろう。
普段のバラエティー番組や音楽番組では見せていない4人の真摯な姿勢には、それぞれのファンだけでなく、たまたまこの番組を目にしたという視聴者からも、称賛の声が上がっていた。
故ジャニー喜多川の思いとは?
華やかなアイドルと凄惨な戦争。それは一見似つかわしくないと思う人もいるかもしれない。しかし「ジャニーズと戦争というテーマは関係が深い」と話すのは芸能プロ関係者だ。
「アメリカで日系2世として生まれたジャニーさんは、日本に戻った後、第2次世界大戦が始まると和歌山へ疎開し、そこで大空襲にあったそうです。その経験を舞台の演出に盛り込むことで、若い世代に戦争のむごさや平和の尊さを訴え続けていました」
『平和だからこそショーは続けられる』との思いで戦争の悲惨さを語り続けたジャニー喜多川さん。その思いは亡くなった今も若手ジャニーズたちが受け継いでいる。
中でも嵐の櫻井翔(40)はキャスターとして、度々戦争について取材している。櫻井の不用意に見える発言に、炎上する事態に陥ったこともあるが、戦争に対する櫻井の思いには強い使命感があるようだ。
そんな櫻井に続く、ジャニーズのキャスター候補として、今回の4人はどうだったのか? テレビ誌編集者に話を聞くと。
「NHKの朝ドラ『カムカムエヴリバディ』で戦死した雉真稔(きじまみのる)役を演じた松村さんが、戦争特番に出るということで注目されていました。取材相手に向ける真剣な眼差しと、聞き取りやすいナレーションに、傲りがなく思慮深いとSNSでも評価されていましたね。
中間さんは取材相手への深い気遣いが見られました。高齢の取材相手に対し、背中に手を添えたり、優しい言葉をかけていたのが印象的です。
菊池さんは、相手の話を聞く姿勢が良かったですね。話しやすい間と相づちで、取材相手も心を開いて話をしていたようでした。
阿部亮平はなんといってもその知識力でしょうね。前もってしっかり勉強してきたんだろうなと見受けられました。それでも取材相手の生の声を聞いて絶句するシーンには、見てる視聴者にも伝わったものがあると思います。
全員が取材相手に実直に接し、本来は話したくないであろう辛い話を引き出していました。この中から、櫻井翔に続く次のキャスターが生まれるかもしれませんね」
ネット上でも彼らのこの取材での経験を評価する声が高かった。
《とても貴重な番組だった、、、。淳太くんの涙…。最後の言葉で泣いた。人の心に寄り添う淳太くんの声で聞けて良かった》
《話の聞き手として格段に上手いのは菊池風磨。ナレーションが心地よいのは松村北斗 》
《阿部ちゃんが語る言葉とか体験者が話す言葉はずっしり重く沁みます。阿部ちゃん達がこれを伝える意味がちゃんとあって また来年も再来年も続けて欲しいなと思いました》
アイドルとして日々ファンを魅了する彼らだからこそ、若い世代に戦争という出来事を届ける役目にふさわしいのかもしれない。彼らを好きなファンが、彼らをきっかけに、彼らを通して戦争を知る。それが戦争を体験し、平和な世の中を望んだ故ジャニー喜多川さんの遺志を受け継ぐことにもなるだろう。
(取材・文/志村結衣)