ウェザーニュースLiVEの檜山沙耶(ひやまさや)アナ ※PRTIMESプレスリリースより

「YouTubeのおすすめ動画に良く『ウェザーニュース』やその“切り抜き動画”が出てくる。ウェザーニュースを見たことがないのに」

 SNSや、まとめサイトでよくそんな声が聞かれるようになった。インターネットやモバイル端末向けにお天気予報のみを配信する『ウェザーニュースLiVE』だが、なぜかネットユーザーにじわじわと知名度を高めている。

檜山沙耶らアナウンサーと視聴者のやり取りが話題に

 同番組の人気気象アナウンサーである檜山沙耶(ひやまさや)や、大島璃音(おおしまりのん)の視聴者とのやり取りの所だけを切り取った動画が一部のチャンネル主によって大量に公開され、多くの人のおすすめに掲出されているというのである。

 どんな動画が切り抜かれているかというと、例えば、「暑い夏」という言葉を檜山が「なついあつ」といい間違えたとリアルタイムチャットで指摘が入り、檜山が「そんなこと言ってませんよ? あれ? なついあつ?」などとゴマかして照れ笑いするゆるーい一部始終など。

ウェザーニュースLiVE』には、YouTubeやニコニコ動画を通して視聴者がコメントできるライブチャット機能がある。女性気象アナウンサーらは放送中もチャットを見ながら、視聴者とフランクなやり取りを行なっている。

衣装は自前?」とか「衣装が部屋着みたい」のような、まるで飲み会のような“フリ”が視聴者から飛び交い、「部屋着じゃないです!」などとアナたちがそれに答えるファンにはたまらない親近感マックスのやり取りが毎日繰り広げられているのである。

ウェザーニュースLiVEがなぜかおすすめに

視聴者とのやり取りに笑顔を見せる大島璃音アナ(YouTube・ウェザーニュースLiVEより)

 なぜ『ウェザーニュースLiVE』を利用したことがないユーザーにもおすすめされるのか?

「はっきりとはわかりませんが、おそらく30〜40代の男性、とか他に◯◯の動画をチェックしている人、のような特定の属性の中でハマって繰り返し再生する人が多く、YouTube側でそのような属性のユーザーを選んでおすすめしているのでしょう」(ITジャーナリスト ※取材は編集部)

 そんなウェザーニュース女性気象アナ陣の中でも“エース”といえるのが檜山沙耶アナだ。

 7月8日の時点で「フォロワー数が38万人(さや)になったら、感謝の気持ちで何かしたいなと最近考えていました」とツイートしていることから、この1か月あまりでさらに1万人以上もフォロワー数を伸ばしたことになる。檜山の趣味であるゲームについて発信する「おさやのゲーム部」なども、これまで何度かトレンド入り。

 また、アニメ好き、コスプレ好きでも知られ、少年マンガ誌のグラビアでコスプレ姿を披露するなど気象キャスターでもトップクラスの注目度を誇っている。

「週刊少年マガジン」33号で人気漫画『シャングリラ・フロンティア』のコスプレを披露する檜山沙耶アナ

 写真週刊誌『FLASH』も大手広告代理店が今春おこなった「好きなお天気キャスター」の3000人アンケート結果で檜山沙耶が2位に輝いたと報じている。(1位は『THE TIME,』のお天気コーナーに出演する嶺百花)。

 特に天然コメントの数々はファンのあいだでは有名だ。お好み焼きの画像を見て「平べったいたこ焼き」と称したのは、檜山伝説のひとつである。また、たまにカメラの存在を忘れたかのように笑いがとまらなくなるところもおもしろい。お笑い芸人・なかやまきんに君の持ちネタ「どっちなんだい」や「パワー」がツボにハマりやすい檜山。

 視聴者もそのことが分かっていて、ネタを仕向けるのが定番化。「パワーとかいきなり言わないで(チャット投稿しないで)ください、笑いそうになるんで!」と笑い声をこらえながらお願いする一幕もあったほど。そうやって番組内でありながらファンとの交流をたのしむ、朗らかな一面が視聴者を惹きつけている。

檜山沙耶ら気象キャスターが人気の「理由」

照れ笑いしながら言い間違えをとぼける檜山沙耶アナ(YouTube・ウェザーニュースLiVEより)

 2022年6月3日放送回では「突然企画」として一問一答コーナーが始まった。視聴者からの「(『呪術廻戦』の)五条悟と一日デートするならどこに行きたい?」という質問には、

「五条先生は完璧すぎるのでどうしましょうって感じですね。見ているだけで幸せなのかもしれません」と、檜山特有のテンションがあがったときに声がひっくりかえる様子も見せながら答えていた。そうやってチャットでのやり取りの中からにじみ出る、檜山の「人間味」がウケているのではないか。

 ちなみにこの「人間味」が、天気コーナーは非常に重要だと考える。

 気象情報を知りたいだけであれば、ネットのお天気ページをチェックすれば良い。その方が早いし、分かりやすい。そんななか、気象予報士や気象キャスターが番組の枠を超えて親しまれているのは、科学的には分かりづらい専門分野且つ、ある意味で無機的なものだからこそ、それを伝える予報士やキャスターのパーソナリティが余計親しみ深く映り、視聴者を引きつけるのではないか。

 例えば、『情報プレゼンター とくダネ!』(フジテレビ系)に出演していた気象予報士・天逹武史と、同番組司会の小倉智昭だ。天気コーナーになると小倉が、「あまたつぅーっ!」と景気良く呼びかけ、人気コーナーになったのはつとに有名だ。

 そのついつい口にしたくなるかけ声と、天逹本人の柔和な口調や雰囲気が朝の番組にぴったりだった。そして、子どもからお年寄りまで幅広い層からの好感度を得た。

 以降も、たとえば『ひるおび!』(TBS系)の天気コーナーを柏木由紀らAKB48のメンバーが日替わりで担当するなど、各番組はいろんなアイデアで天気コーナーを進行。天気は、ほぼすべての人の生活に関わりがあり、なんらかの影響をおよぼすもの。

 だからこそ、いかに視聴者との距離が縮められるかが重要なのだ。そういったことが番組構成的に、多種多様なアイデア、そしてキャスティングに結びついているように思える。そして檜山のような愛すべきキャラクターが生まれるようになった。

 現在は、Snow Manの阿部亮平、AKB48の武藤十夢といった人気アイドルも気象予報士の資格を取って、活動の際のアピールポイントにしている。かつては石原良純が「気象予報士タレント」の代表格だったが、これからさらにジャンルとして開拓されていきそうな予感がする。

 檜山人気を象徴として、「天気」という軸は変わることなく、しかし伝え方や伝える人のスタイルは今後さらにおもしろく変わっていくのではないだろうか。

インスタグラムでアニメ『SPY×FAMILY』のヨル・フォージャーのコスプレを披露した檜山沙耶アナ
「週刊少年マガジン」33号で人気漫画『シャングリラ・フロンティア』のコスプレを披露する檜山沙耶アナ

 

 

 

「暑い夏」を言い間違え、指摘される檜山沙耶(Youtube・ウェザーニュースLiVEより)