8月12日、黒島結菜(25)主演のNHK連続テレビ小説『ちむどんどん』の第19週『しあわせのアンダンスー』の本編が終了した。当週の放送では、黒島演じるヒロイン・暢子と宮沢氷魚(28)演じる青柳和彦の披露宴が執り行なわれた。
視聴者「朝ドラ史上最も駄作だと思う」
前田公輝(31)演じる幼なじみの砂川智は、長年想いを寄せていた暢子にフラれたため披露宴に来るつもりはなかった。だが、上白石萌歌(22)演じる末の妹・歌子が仮病を装い無理やり智を出席させ、智はぶっつけ本番で友人代表スピーチもさせられるというストーリーが描かれた。
これに対し、視聴者からは「智の扱い酷すぎるやろ」「智にいきなり挨拶をふる。ここまで深くて暗い地獄を見たことがないよ」などと暢子にプロポーズしてフラれ、その約半年後に失恋相手の披露宴でスピーチを強要される智を不憫に思うコメントが多数寄せられている。
さらには、「ただただ不愉快にさせられる、朝ドラ史上最も駄作だと思う」「本当に最低最悪のドラマ…こんな酷いの今まで見たことない…」「コワイもの見たさで何とか見続けてきたけど、これはもうあかん。NHK史上最低最悪のドラマでは?」という厳しい意見が上がってしまっている。
「暢子が和彦と両想いになるまでの“恋愛編”が4週間、鈴木保奈美(55)演じる和彦の母・重子に結婚の許しを請う話が3週間続きました。NHK連続テレビ小説じゃなくても見られる、かなりどうでもいい話に7週間も費やされた……視聴者やメディアからは、1961年から続く朝ドラの約60年の歴史で、“史上最低レベルの作品”と酷評されてしまっていますが、9月30日の最終回まで残り1か月半と時間がありません。
今後も、竜星涼さん(29)演じる兄・賢秀の金銭トラブルが再び発生する予定らしく、これまでと似通った展開となりそう。残り1か月半で視聴者の支持を取り戻すことはもはや不可能でしょうし、『ちむどんどん』は朝ドラ史上ワースト酷評作品はすでに確定している感じですね……」(テレビ誌編集者)
朝ドラ60年の歴史でワースト作品となりそうな『ちむどんどん』。出演する黒島結菜、竜星涼、宮沢氷魚らにも厳しい声が飛んでしまっているが、どうしてここまで酷評されるドラマとなってしまったのか――。
『NHKドラマ・ガイド ちむどんどん』(NHK出版)のPart1では、脚本の羽原大介氏が最終週までのプロットを作成し、制作統括の小林大児氏、演出チーフの木村隆文氏を含む3名が中心となって展開を相談し、より具体的に検討して脚本を作成したことが明かされている。
「彼らがガイドブックの対談で明かしているように、『ちむどんどん』は“おじさん3人”でストーリーが作られたようです。
大不評の恋愛描写に関しては、『ちむどんどん』のプロデューサーの高橋優香子氏や羽原氏の助手など、“比較的若い世代の女性たちにも協力してもらって、微妙な塩梅を検証しました”と、羽原氏が『ちむどんどん FANBOOK』(宝島社)で語っていましたが、結局は脚本制作の責任者に女性が1人もいなかったということ。
その結果として、朝ドラのメイン視聴者層である女性が全く共感できない話になってしまったのではないでしょうか」(前出のテレビ誌編集者)
ド天然で自由奔放な主人公の暢子が、周囲をグサグサ傷つけながら成就させていく恋愛描写に関しては、視聴者から「ちむどんどん舐めてたわ。恋愛編マジで苦痛だ」「これほど周りに酷な恋愛の朝ドラあったか?」といった批判が上がってしまっている。
暢子らの恋愛だけでなく、第14週「渚の、魚てんぷら」に登場した西郷親子のエピソードも「あまりにデリカシーがない」と批判されている。高木渉(56)演じる西郷久雄は、死別した妻の担当だった看護師との再婚を娘・めぐみの誕生日に切り出す。娘は一度拒否するが、結局はすぐに再婚を許してくれた。
女性視聴者が共感できないのはなぜ?
「これには、“母が病気で苦しんでいたときに、父は看護師を恋愛対象としていたのは娘にとって相当ショックなはずだ”“気持ち悪すぎるのに、娘の気持ちがすぐに変わるなんてあり得ない”という猛批判がされていました。
『ちむどんどん』は総じて、リアル感が薄く、実際にはあり得ない話が多すぎるんですよね。だから気持ちが悪い。重鎮脚本家、NHKで出世に成功した偉い制作統括と演出チーフの“おじさん3人”が独走して作った、根本的なところがずれた脚本のせいで女性視聴者の共感が全く得られない酷いドラマになってしまったのではないでしょうか」(前同)
「朝ドラ史上最低のドラマ」と言われてしまっている2つ目の元凶は、『ちむどんどん』の中心人物・比嘉四きょうだいがあまりにも自分勝手で、視聴者から共感を呼べないキャラになっている点だろう。
視聴者からは、暢子ら比嘉家のきょうだいを評して、毎日のように「本当に比嘉家のお方たちは自分勝手で呆れる」「暢子も賢秀も、そして良子も、暑苦しくて自分勝手で、正直うっとうしいのよ」といった意見がSNSに寄せられている。
7月5日放送の第62話で、暢子は、飯豊まりえ(24)演じる和彦の婚約者・大野愛に「うち……和彦くんのことが好き。和彦君は前から愛さんのことが好きで、愛さんと付き合っている。だから好きだけど、きれいさっぱり諦める。でも愛さんにウソはつきたくないから全部言ってしまいたくて……。困らせるようなこと言ってごめんね」とぶちまけてしまう。
「暢子の愛への“ぶちまけ告白”は、“言われた相手の気持ちを考えていない”とか“愛ちゃんにわざわざ言わなくていいだろ”と、視聴者から大不評でした。まさにコメントの通りで、暢子自身がすっきりしたいがためだけの告白ですよね。
それ以外にも、自分は自由奔放に振る舞うことを良しとしているのに、相手にだけ求める比嘉一家の自分勝手ぶりが視聴者から批判されています。
兄の賢秀はカネを盗む、借金癖、暴力癖で事件を引き起こすが謝罪はしない。川口春奈(27)演じる姉の良子は数年もの間、山田裕貴(31)演じる夫・石川博夫にだけ実家の説得をさせ、妹の歌子に晴海の育児を任せて仕事復帰する。歌子はおかしな行動は少なかったですが、第19週では暢子と和彦の披露宴に仮病を装って智の善意を利用し、出席を渋っていた彼を連れてきて、視聴者から不興を買いました」(前出のテレビ誌編集者)
3つめの元凶は「荒さ」
そして3つ目の元凶は、「すべての考証、ディテールがあまりにもずさんすぎる」という点だろう。
「今までの朝ドラにもいいかげんと思えるシーンは多くありましたが、ここまで突っ込まれることはなかった。それはひとえに、脚本が面白かったり、登場人物が共感を呼ぶ存在だったりしたから多少のアラは気にならなかったということだと思われますが、『ちむどんどん』はそれにしても酷いですよね」(前出のテレビ誌編集者)
例を挙げればきりがないが、たとえば、沖縄産のサツマイモ類は、指定害虫のイモゾウムシやアリモドキゾウムシが寄生している可能性があるために2022年でも本土への持ち込みが禁止されている。にもかかわらず、食品卸業を営む智が沖縄産の紅芋を本土へ輸送していた。
そのため視聴者からは「紅芋って作物のまま本州に持ち込んじゃいかんやつでは」「沖縄取材してたら空港で絶対芋持ち出し禁止のポスター見てるはずだし智のシーンも生のまま仕入れるように聞こえる会話には書かないはず」と猛ツッコミが発生してしまった。
また、8月10日発売の『週刊文春』(文藝春秋)では、『ちむどんどん』では暢子らの出身地、沖縄北部・やんばる地方の方言が再現されていないことが指摘されていた。
ドラマの公式ホームページに掲載された沖縄ことば監修の藤木勇人(61)のインタビューでは、「全国の人が聞いて『沖縄らしいな』と感じつつ、きちんと意味が伝わることば選びを大切にしています。
物語の時代も意識していますが、当時やんばる地域で使われていた方言を忠実に話すと、おそらく私でも意味がわからない言葉が多いと思います。
なので沖縄北部のみなさまにはご理解いただき、私流の『ウチナーヤマトグチ』ということばを駆使させていただいてます」と、やんばる方言を忠実に再現すると視聴者に伝わりづらいために独自の『ウチナーヤマトグチ』を使用しているとのことだった。
「リアリティと視聴者に伝わりやすい表現のはざまで制作陣が苦心していたのは理解できますが、だったらやんばる地方を舞台にした理由は何だったのでしょうか。
そして、ドラマの番組説明にある“個性豊かな沖縄四兄妹の、本土復帰からの歩みを描く”ことも全く実現できていないという指摘もあります」(前同)
1972年5月15日の沖縄の本土復帰については、暢子が上京したバスにかけられた「祝 本土復帰」という垂れ幕1枚で終了し、今なお沖縄北部に多くある米軍基地や米兵は登場せず、1975年に沖縄北部・国頭郡本部町で開催された沖縄国際海洋博覧会は完全に省かれてしまった。
「肝心なところ、作品にとってとても重要だと思われるところは描かず、恋愛編や姑説得編で7週間も費やす……いつも朝ドラを楽しみにしている視聴者からも猛批判の声が上がってしまうのは当然なのではないでしょうか。
大酷評されている『ちむどんどん』ですが、視聴率はほぼ16%前後で安定しています。もはや、視聴者もツッコミどころを探すためにドラマを見るという状況になっていそうですね……」(前同)
史上ワースト酷評朝ドラ『ちむどんどん』は、いったいどのような大団円を迎えるのだろうか?
NHK総合 月~土 8:00~8:15、12:45~13:00(土曜は一週間の振り返りを放送)
公式サイト:https://www.nhk.or.jp/chimudondon/